topmaintext『黒い手』シリーズ魔法先生ネギま!・クロスオーバー>見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.149
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 マジカルミステリーツアーを終えた横島一行は、木乃香達と合流するべく占い館へと向かっていた。
「あ、タダオ。私ココネと約束があるから」
「えっ、一人で行くのか?」
「アーニャちゃんには私がついて行きますよ。それと、向こうで美空とも合流しますから」
「コレットと美空ちゃんが一緒なら大丈夫か……? 分かった、頼む」
 ここでココネと一緒に祭りを見て回る約束をしていたアーニャが、コレットを連れて離脱。横島、アスナ、月詠の三人で木乃香の所へ行く事になる。
「アーニャちゃんがいないなら、私が肩車を……!」
「いや、それは無茶だろ」
 横島がアスナを肩車するのは身長差的に厳しい。
「やるならウチの方が……」
「ダメーっ! ここは三人で仲良くっ!」
「アスナはん、いけずやわぁ」
 月詠ならば何とかなりそうだったが、それはアスナが止めたので、結局二人で横島を挟んで腕を組んで行く事になる。
 祭りの雰囲気があるとはいえ、可愛らしい二人を侍らせて歩く横島。羨望の視線が突き刺さるが、こそばゆいこそばゆいと笑う余裕があった。

見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.149


 そのまま占いの館に到着すると、そこには行列ができていた。客として来た訳ではないので裏に回ると、そこには仕込み刀を担いだ刹那がいて、隙無く辺りを警戒している。
「あ、横島さん……」
 三人に気付いた刹那が、小さく息を吐く。随分と緊張しているようだ。
「すっごい繁盛してるわね〜」
 アスナがそう言うと、刹那は引きつった笑みを浮かべた。客の中に敵が紛れているかも知れないと考えれば、気が気ではないのだろう。
 フェイト達の目的は世界樹の方なので木乃香は無関係の可能性もあるのだが、だからといって警戒を怠る訳にはいかないのだ。
「ところでセンパイ、千草はんは? 先にこっちに合流する言うてはりましたけど」
「ああ、千草は……」
 どこか疲れた顔をした刹那が少し歩いたところで手招きする。そこには小さな覗き穴があって占いの館の中が見られるようになっていた。木乃香のいる場所と両隣は、こうやって中の様子が伺えるように仕込んだらしい。
 近付いた月詠は、そこから覗いて「あらまぁ……」と楽しそうに笑った。
 横島も交代して見てみると、中にはマントを羽織って占いをしている千草の姿があった。落ち着いた声色にしていて、なかなか様になっている。
「何やってんだ、あいつは……」
「並ぶ人が多過ぎて、このちゃんが頼んだんです」
「そういえば、午前の内は占い師が少ないって言ってたわね」
「皆が見て回る時間も必要ですから」
 どうもこの時間帯は、占いをする部員が少なかったらしい。祭りが始まってすぐは、お客も派手な方に回ると考えていて、自分達もその間に見て回ろうと考えていたようだ。
 ところがフタを開けてみるとこの大盛況。木乃香が助けを求めるのも無理のない話である。
「いっそ横島さんもやってみます?」
「その手の専門知識は無いから勘弁してくれ」
 結局横島達は、お昼時に交代の部員達が戻ってくるまで、そのまま裏で護衛を続けた。
 部員達は千草に驚いていたが、木乃香の知人で京都から来た陰陽師だと言うと納得してくれたようだ。
 「やっぱり表向きの立場があると便利ですよね」とは刹那の弁。神鳴流は正体を隠さないといけないので、色々と思うところがあるのだろう。
 それはともかく、これで木乃香も午後以降は自由になる。木乃香が一番恐れていたのは占い館にいる時に襲撃され、客を巻き込んでしまう事だったので、その点でも安心だ。

「次はどこに行きます?」
「まず昼飯だろ。アスナ達の教室に行こう」
 麻帆良祭のお昼と言えば『超包子』がお約束なのだが、当然ここは大混雑しているだろう。
 という訳でアスナ達は、お昼は教室に集まり、『超包子』にデリバリーしてもらう事になっていた。
 一度集まって情報交換する時間を作り、そして麻帆良祭の期間中は激務になるであろうネギのために休む時間を確保しようという意味もあった。
 教室への移動は月詠が千草と手をつなぎ、代わりに木乃香が横島と腕を組んだ。刹那が護衛として周囲を警戒する形だ。
 横島は、自分達はメインじゃないのだからそこまで真面目にやらなくてもと思わなくもないが、こればかりは彼女の性分なのだろう。教室へ行けば気を抜く事もできるはずだ。


 何事もなく麻帆良女子中に到着。ここでも出し物は行われているので客の姿がちらほら見えるが、大通りに比べるとまばらだ。
 教室に行くと、既にネギ達が集まっていた。
「おぉっ! 真名ちゃんのミニチャイナ!!」
「撃たれたいのかい?」
 デリバリーを届けに来たのは、真名。スリットから伸びる褐色肌が眩しい。
 去年は古菲と茶々丸が手伝っていたそうだが、今年は二人とも不参加なため、急遽彼女が雇われていた。
 あの真名が警備の仕事を一切受けずに『超包子』に専念しているというのだから、相当な金額が支払われたと思われる。
 ちなみに彼女はマジカルミステリーツアーにもGS役として出演しているが、あれは映像なので本人はその場にいなくても全く問題が無い。

 既に届けられていた中華料理の中から各々好きな物を選んでの昼食となるが、横島はまず真面目に情報交換しようとネギに声を掛けた。先に到着していたネギは、いつまた飛び出していくか分からなかったためである。
「よぉ、ネギ! そっちはどうだった?」
「ああ、横島さん。大変でしたよ〜。告白阻止とか、難しくて〜」
 実のところ、ネギ達は当初の予定よりも告白阻止に当てる時間が増えていたりする。
 西からや魔法界からの援軍で人手は増えたのだが、告白阻止だけは彼等に任せる訳にはいかないのだ。
 そのためネギは、夕方からも告白阻止をする事になっていた。
「普通に戦えば済むって訳やないしなぁ」
「そりゃ一般人を背後からどつく訳にもいかんよな。男ならいいと思うが」
「いや男でもダメでしょ」
 カモのツっこみを、横島は当然だと言わんばかりにスルー。横島ならば告白する側でもされる側でも男を攻撃対象にしていただろう。
「麻酔弾を使えばどうだ? 麻帆良祭の期間中、マヒして動けなくなるようにすれば、その後の告白も阻止できる」
「それダメですよーーーっ!!」
 そしてネギは、真名の物騒な提案に思わず大声を上げてツっこんだ。
 結局のところ問題なのは、世界樹の近くで告白すると世界樹の力でそれが呪いのようになってしまう事。そのため力の効果範囲外であれば告白しても問題が無いのだ。
 そのため告白しようとする者がいれば範囲外に誘導するのも、阻止する方法の一つとして推奨されている。もっとも、いかにして誘導するかが難しいのだが。
 結局のところ、多少の怪我をさせて範囲外に搬送させるという方法が手っ取り早いので、いかにその誘惑に耐えつつ知恵を絞るかで魔法使いの腕が問われる事になる。
「でも、実際難しいですよ。僕より小さい子とかに力づくという訳にはいきませんし」
 この言葉を聞いて、隣で肉まんにかぶりついていたアスナが思わず声を上げた。
「……ネギより? どれくらい?」
「多分、小学一、二年ぐらいだと思います」
「最近の子は進んでるのね〜……」
 呆れるアスナだが、かくいう彼女も中学生の割には色々と逸脱している事については触れてはいけない。
「そういうのって小太郎連れてっても役に立たんのと違うか?」
「アホ抜かせ、千草! 子犬に化けて告白の邪魔するとか、色々できるんやで!」
「さ、さよか……」
 可愛い子犬が足元に近寄ってきたら、そちらが気になってしまうのは分からなくもないが、それで告白をスルーされてしまうのも哀れな話だ。
 しかし、麻酔銃と比べれば、心が痛むだけで済む分マシかもしれない。
 ちなみにカモは、煽るのは得意だが止めるのは苦手だったようだ。適材適所である。
 何とか助言したいが向いてないカモは、ここで横島を頼る事にした。
「兄さん、何か良い方法無いっすかねぇ」 
「傷付けずに止める方法か?」
「ええ、その手の搦め手は得意でしょう?」
「そうだなぁ……」
 本当に困っているようなので、横島としても何とか助け船を出してやりたい。
 食べる手を止めて腕を組み、しばし考えた彼は、どこからともなくある物を取り出した。
「よし、このワラ人形を使おう!」
「……どーやって?」
「こう呪いを込めて五寸釘をカーンと!」
「子供に何教えてとんのや、おのれはーっ!!」
「へぷぅっ!?」
「横島さーん!?」
 勢い良く放たれる回し蹴り。流石の千草も渾身のツっこみを入れざるを得なかった。
「というか旦那さま、それ人形に髪の毛入れんと効かんのとちゃいます?」
「月詠、そういう補足は……」
「多分、無くてもいけるぞ? 気合を入れれば」
「……えっ?」
 刹那は信じられないといった顔で間の抜けた声を漏らしたが、実は事実だったりする。おそらく一種の霊能なのだろう。
 確かに有効だろうが苦しめる事には変わりない。ネギは少し迷ったが、使えそうにないという事で遠慮する事に決めた。
 難しいが、世界樹に関しては魔法使いの問題だ。自分達で何とかしなければならないという思いもあった。
「まぁ、殴りたくないなら何かで興味引いて誘導するのが一番じゃないか? 具体的にどうするかは分からんけど」
「ですよね、考えてみます」
 結局、最後についでのように出された意見が一番役に立ちそうだ。
 なんだかんでネギに相談された時はヒントは出すのが横島である。

 それからは適当にどこが面白そうかと情報交換しながら食事をしていると、ふと小太郎が何かを思い出して懐から一枚の紙を取り出した。
「あ、そうや横島。これ知っとるか?」
「ん? チラシか?」 
 受け取ってみてみると、そこには大きく「学園格闘大会参加者募集」と書かれていた。マジックで書いたものをコピーしたであろう手作り感あふれるチラシだ。
「賞金10万やで、10万! 横島も出えへんか?」
「今更10万もらってもなぁ……」
 小太郎は格闘大会に誘いたいようだが、横島の方はあまり乗り気ではない。
 というのもGSとして独立した今の彼にとって、10万円というのは小さい仕事をすれば得られる額なのだ。
 そして彼はネギと小太郎の強さを知っている。二人に勝たなければその賞金も得られないとなると、そもそも参加する意味が無いという判断になる。
「ん? 格闘大会?」
 ここで真名がチラシを覗き込んできた。こうなると横島の興味は彼女の着るチャイナドレスのスリットのみに集中される。
 俯く形になった横島の後頭部に肘を落とした真名は、チラシを手にとって小太郎に告げる。
「この大会、おそらく中止になるぞ」
「なんやて!?」
 驚いた小太郎が食って掛かるが、真名は表情を変えずに話を続ける。
「実は、麻帆良祭の期間中に行われている全ての格闘大会をひとつにまとめようという動きがあってな。それが実現したら、当然この大会も無くなる」
「まとめる? 誰やねん、んな無茶な事しようとしとるんわ」
「超だ。今、交渉を進めている」
「……ああ、あいつならやりかねんわ」
 その名を聞いた途端に納得してしまう。超の超たる所以である。
 真名によると、統合した大会の賞金はなんと1000万になるらしい。
「当然、私も出る。ルール上、銃は使えないがね」
 そう言って挑発的に笑う真名。横島は「使えてたまるか」と流したが、他の二つの影が動いた。
「真名も出るとなると、見逃せないアル」
「面白そうでござるな〜」
 古菲と楓だ。楓の方は忍者である事がバレないように抑える事を考えているようだが、その辺りの問題が無い古菲はやる気満々だ。
「こりゃ賞金に釣られて強いヤツが集まってきそうやな、ネギやるで!」
「いや、僕仕事あるから……」
 小太郎もその気になってネギを誘うが、ネギは時間的余裕があるかが気になっているようだ。
「アスナはどうアル?」
「う〜ん、1000万は魅力的だけど勝てるかな〜?」
 アスナも誘われているが、参加者を見て二の足を踏んでいる。
 そしてそれを見て笑う真名。その姿を見て横島はふと違和感を覚えた。
「なぁ、真名ちゃん」
「なんだい? 横島も出場するのか?」
「いや、そうじゃなくてだな……いくら貰った?」
「……何の事かな?」
「真名ちゃんは、雪之丞の同類じゃない。強敵が増えて喜ぶタイプじゃないし、わざわざ増やすのもおかしい。さては超に頼まれたな?」
「…………バレたか」
 真名は特に焦る様子もなく横島の推論を肯定した。
 実のところ彼女は、超が統合する格闘大会の見所となる参加者を集めて欲しいと依頼されていたのだ。
「まぁ、今晩発表されて、そのまま予選が始まるからな」
「スケジュール余裕無さ過ぎだろ。せめて予選次の日にしろよ」
「麻帆良祭は3日しかないから時間が無いんだ。葉加瀬もネットで噂をばらまいているし、私も有力そうな選手の勧誘に動いている」
「力入れてんなぁ……」
 何故かは分からないが、賞金を1000万も出すほどに力を入れている大会。やるからには派手に成功させたいのだろう。
 いうなれば挑発に乗ってしまった古菲達だが、大会の事を知ればどちらにしても参加していただろうと考えているため、特に気にした様子は無い。
「という訳で刹那もどうだ? きっと超が見栄えの良い衣装を用意するぞ」
「いや、遠慮しておく。このちゃんの護衛があるし……」
「あるし?」
「……私が出ると月詠が騒ぎそうだ」
「……ああ」
 二人揃って月詠を見ると、彼女はくねくねし始めた。
「センパイ、ほんまいけずやわぁ。ウチがそんなルールに守られた大会で満足するとでも?」
 そして刹那を見つめてニィ……と笑った。やはり『狂人』だと刹那は引きつった笑みを浮かべる。
「それにぃ、ウチはええ子にしとかんと旦那さまに小竜姫さま紹介してもらわれへんから〜」
 更に横島に抱きついて頬をすり寄せた。つまり興味が無い訳ではない。しかし我慢するという事だ。
 月詠らしからぬ答えに刹那は戸惑ったが、真名は流血沙汰で大会中止になる危険性を回避できたと、こっそり胸を撫で下ろしていたりする。

「そうだ、横島さんも出ましょうよ!」
 まだ踏ん切りがつかないネギが、横島を誘う。ネギも興味はあるので、皆が参加するという事にして背中を押して欲しいのかもしれない。
 しかし彼はやはり乗り気ではなかった。
「1000万ですよ、1000万。これなら問題無いでしょう?」
 先程は10万円に不満そうだったので、諦めきれないネギは新しい賞金額を出してみるが、横島は据わった目をして、ネギの両肩に手を乗せる。
「いいかネギ、よく聞け」
「ハイ!」

「1000万のためにお前らと戦うぐらいなら、10万の仕事100件やった方がマシだ」

「えーっ!?」
 しかし、横島には効かなかった。
「横島さんが出ないなら私も! 私は横島さんについて行きます!」
 こうなるとアスナも参加しない。月詠に負けじと自分も横島に抱きついた。
 横島忠夫、及び神楽坂アスナ。格闘大会不参加決定である。





つづく


あとがき

 横島が髪の毛無しで丑の刻参りができるというのは、原作で近畿剛一こと銀ちゃんを呪った時の描写が元になっています。
 髪の毛を取った様子が無かったので、無しでもできるある種の霊能だと判断しました。

 レーベンスシュルト城に関する各種設定。
 関東魔法協会、及び麻帆良学園都市に関する各種設定。
 魔法界に関する各種設定。
 各登場人物に関する各種設定。
 アーティファクトに関する各種設定。
 これらは原作の表現を元に『黒い手』シリーズ、及び『見習GSアスナ』独自の設定を加えて書いております。

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