topmaintext『黒い手』シリーズ魔法先生ネギま!・クロスオーバー>見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.201
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 今回のアスナ達の勉強ぶりは、様子を見に来た高畑が、かつての教え子達の変わりように驚き言葉を失うほどだった。
 なお、一番驚いたのは、その中に混じってエヴァも試験勉強をしていた事だったりするのは秘密である。
「今年で卒業になるだろうからな」
 夏休み中に『登校地獄(インフェルヌス・スコラスティクス)』を解除すれば、来年の3月には麻帆良女子中を卒業する事になるエヴァ。
 つまり今年の成績は記録として残るという事で、ちょっと本気を出してやろうという心づもりらしい。

 高畑と同じように、ネギも試験勉強中に顔を出したが、こちらは大丈夫だと判断したのか、試験対策をまとめたプリントだけを渡して自分の拠点に帰って行った。それだけ小太郎達の成績がヤバかったらしい。
 そんな忙しい中でも、教え子のために試験対策のプリントをしっかり作ってくるあたり、ネギも教師っぷりが板についてきていた。

「それじゃ横島さん。よろしくお願いします」
「いや、俺もそれどころじゃない」
「横島さんもですか……」
 なお、ネギは横島に任せておけば大丈夫だと考えていたようだが、横島は横島でそれどころではなかったようだ。
 レーベンスシュルト城の住人はほとんどが中学生。数少ない高校生である高音は、麻帆良祭期間中の穴埋めとして表の付き合いを優先しており夜まで帰ってこない。刀子とシスター・シャークティも同様だ。そして千草は月詠のフォローで大忙しだった。

「という訳で、助けてくれ!」
「そこで娘に頼めるプライドの無さ、さっすがパパネ!」
 最後の手段として娘・鈴音を頼るあたりが横島である。
 鈴音はアスナ達もフォローしつつなので大変そうであったが、それはそれとしてうれしそうな顔をして横島に勉強を教えていたようだ。


 そんなこんなで試験期間が過ぎていき……。
「終わったあぁぁぁーーーっ!!」
 無事に一学期期末試験が終了である。

見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.201


 結論から言ってしまおう。3−Aは中間試験に引き続き学年一位となった。しかも、クラスの平均点を中間以上に上げてだ。
「私が本気になれば、こんなものだ」
 この結果は、中間テストから大幅に成績を上げたエヴァの影響が大きいだろう。一種の門前の小僧とでも言うべきか、長年学生生活を続けてきたのは伊達ではなかったようだ。
 アスナ、古菲、夕映も順調に成績を上げていた。特にアスナは成長著しい。
「せっちゃん、がんばったな〜」
「私も六女を受験しなければいけませんから」
 意外と平均点を上げてきたダークホースは刹那。
 彼女もバカレンジャーほどではないとはいえクラス下位の成績だったが、木乃香と共に六女に入学する事を目指してがんばったようだ。
「そこそこやな、月詠」
「うち疲れたわぁ」
 今回から3−Aの一員として期末試験に参加した月詠の平均点は、中の下といったところか。
 得意科目と苦手科目がクッキリ分かれており、赤点は回避しつつ、得意科目で点数を稼いだようだ。
 結果としては良くもないが、言うほど悪くもない。千草の努力が実ったといってもいいのではないだろうか。
「まぁ、今回がんばったし、成績上がったやろ?」
「上がるもなにも、うちこんな試験受けたの初めてやし」
 その返事を聞いた千草は無言で月詠を抱きしめ、そしてうっとうしそうに押しのけられていた。

「ま、まさか……」
「私達が……」
「…………」
 そして月詠がそれなりの成績を取った結果、まき絵、楓と共にクラス内順位のワースト5、新生バカレンジャーとなってしまったのは円、美砂、ザジの三人であった。
 アスナ、古菲、夕映、刹那、エヴァ、茶々丸の五人が順位を上げた結果、他の面々がそのまま下にシフトした訳だから、ある意味順当な結果ともいえる。
「茶々丸さんに抜かれるのは納得いかなーい!」
「ていうか茶々丸さんの成績ってどうなってるの!?」
「これまではマスターと同程度になるようにしていました。しかし、今回も同じようにすると平均点に与える影響が大きくなると予想されましたので、学年全体の予想平均程度になるようにしました」
「そこは赤点ギリギリにしておいてくれれば……!」
 その時は、円と美砂でデッドヒートを繰り広げていただろう。
 もしかしたら茶々丸は、バカレンジャー入りするのを避けたかったのかもしれないが、それは謎である。
 なお茶々丸の平均点は、3−Aの平均点よりも下なので、仮に彼女の成績を除外したとしてもA組が1位を取る事には変わらなかったとも言っておこう。

「まぁ、こんなものね」
「今回はいつもより調子が良かったです!」
 高音と愛衣も、危なげなく期末試験をクリア。高音はいつも通りの学年上位の成績であり、愛衣も成績を上げてクラス上位に名を連ねていた。

「俺、こんな成績取ったの初めてかも」
「俺もだ!」
「たまには勉強やってみるもんだなー!」
 横島達、男子高校生組も無事に期末試験をクリアしていた。成績は横島、ポチが平均よりやや上、豪徳寺、中村、山下が平均よりやや下である。
 ちなみに豪徳寺達は、流石にネギに勉強を教わる訳にはいかず、ネギの拠点に何度も顔を出していたガンドルフィーニと弐集院に教えてもらったそうだ。

「や、やった……ギリギリやけど、やったで……!」
「おめでと〜!」
 そして最後に小太郎だが……赤点ギリギリでも、なんとか補習は免れたようだ。
「さぁ、これで面倒臭い勉強は終わりや! ネギ、魔法界に行く準備を進めるで!」
「う、うん!」
 次の試験が心配になる言動だが、ひとまずはクリアできたのでネギも何も言わなかった。
 この後ネギ達は、期末テストが終わってからと招待されていたアルビレオ・イマのお茶会に参加。そこで魔法界や父の話を聞き、決意を新たにしていた。

 なお、この日からアスナ達の修業は通常運行に戻り、当然、霊力供給の修業も再開となった。
「それじゃ、横島さん……久しぶりに……
「ガマンしてた分、たっぷりとね……
 修業期間中ずっとガマンしていたアスナ達は、まるで飢えた雌ライオンの群。
 放課後レーベンスシュルト城に帰ってくるやいなや、横島を連れて出城に行き修業開始。
 久しぶりという事もあってか、彼女達の「声」は本城にも届くほどだった。
 終わる頃には夜も更けていて、出城内は様々な意味で死屍累々。その惨状は、エヴァがキレて、茶々丸が数日立ち入り禁止にするほどだったそうな。
 なお、それでも横島は煩悩、霊力全開状態であり、その後はエヴァと茶々丸で美味しくいただいたそうだ。



 さて、期末試験も終われば、後は夏休みを待つばかりなのだが、ここで皆の予定を一通り確認しておこう。
 大きく分けて横島と一緒に東京に行くグループと、ネギと一緒にイギリスに行くグループの二つになる。
 ネギグループの方は、魔法界までついて行くグループと、そのままイギリス旅行を楽しむグループに分かれる。
 横島の方は、妙神山に行くグループと、そのまま東京で過ごすグループだ。

 順にメンバーを紹介していこう。
 まず魔法界行きのグループだが、リーダーはネギだ。
 そこにネギパーティであるカモ、小太郎、豪徳寺、ポチ、山下、中村、それにのどか、パル、亜子、まき絵、楓。
 これに引率として高畑、護衛として真名とハカセが。更に魔法界を見てみたいという和美が自ら志願して加わっている。
 高畑が加わっているのは、流石に子供達だけで魔法界に行かせる訳にはいかないという事だろう。
 真名とハカセが加わっているのは、表向きは麻帆良祭でフェイト側に協力していたペナルティという事になっている。無罪放免にするのは流石にまずいという事で、ネギ達に協力してもらう事になっていた。
 ハカセに護衛が務まるのかについては、特に問題は無かったりする。というのも彼女は世界樹コスモプロセッサ化の儀式を任されるレベルの魔法使いであり、科学のサポートがあればそれなりに戦える。その頭脳も合わせれば、ネギ達のサポート役としては申し分無かった。

 次にイギリス旅行のメンバーだが、こちらはあやかがリーダーという事になっている。
 一緒に魔法界まで行ってもネギの迷惑になる。しかし、行けるところまでは一緒に行きたい。そんなあやかに付き合うグループである。
 こちらは桜子、美砂、円、五月、ザジ、そして美空とココネがメンバーだ。
 夏休み中ずっとという訳にはいかないが、長期の旅行を計画しているらしい。

 妙神山に行くのは、エヴァ、茶々丸、チャチャゼロ、すらむぃ、あめ子、ぷりん、千草、月詠である。
 エヴァはヒャクメの『登校地獄』の解呪を。月詠は小竜姫との勝負を望んでいる。茶々丸と千草はその付き添いだ。見張りと言い換えてもいいかもしれない。
 エヴァは頼まれてもリーダーなどしないので、千草が引率という事になるだろう。
 あと、横島も一緒に顔を出すつもりだが、こちらはすぐに帰る事になりそうだ。
 このグループは、妙神山までの道程は非常に厳しいものなので、少数精鋭で空を飛んで行く事になっている。

 最後に夏休みを東京で過ごすグループだが、こちらのリーダーは横島……と言いたいところだが、彼はどちらかというとホスト役なのでアスナという事にしておこう。
 3−Aからはアスナ、鈴音、古菲、夕映、裕奈、アキラ、千雨、千鶴、夏美、風香、史伽、木乃香、刹那そしてさよが。
 それ以外だと高音、愛衣、アーニャ、刀子が加わり、コレットも再び来日して合流する事になっている。
 このグループに参加しているあたり、刀子、色々と本気である。
 ちなみに鈴音も、真名とハカセと同じようにペナルティは受けている。しかしその内容が、ロボ軍団など麻帆良祭で使ったものの研究内容を可能な限り公開するというものだったため、行動の制限は受けていないのだ。
 なお、流石に『究極の魔体』モドキや、世界樹のコスモプロセッサ化についての情報は出していない。魔法協会としても、そんなものを出されては扱いに困っていただろう。

 こちらは改築を終えた横島の家に泊まり、東京観光しつつ修業も受験勉強もがんばろうというグループだ。
 風香、史伽の二人はイギリス旅行の方にも興味があったようだが、風香がやはり六女を目指したいと考えたようで、こちらへの参加になっている。
 史伽はオバケが怖いという事で風香ほど乗り気ではないのだが、それでも自分一人だけイギリス旅行に行くのは避けたかったようだ。
 千雨と夏美も、六女進学についてはまだ迷っているが、それを決めるためにも東京行きグループに参加していた。
 そして高校生の高音はもちろんのこと、愛衣も六女進学は考えていない。彼女達はまず第一に魔法使いである。
 ただ、それはそれとして、シスター・シャークティのように魔法使いでありながらGS資格を取るのも良いのではないかと考えているようだ。彼女達が東京行きを決めたのは、GSについて学ぶという理由もあった。
 こうしてみるとこの東京行きグループは、既に将来――六女進学を決心している者達と、将来を決めるために学ぼうとしている者達に分けられるといえる。


 という訳で残りの一学期は、各グループ夏休みに向けた準備で大忙しになる。
 比較的マシなのは、夏休み中麻帆良から離れる予定だが、行き先が東京のアスナ達だろう。
 次にあやか達。流石に夏休み中ずっと旅行するつもりはないが、初海外旅行という者もいる事もあって準備に手間取っているようだ。
 その次はエヴァ達。妙神山まで行くので通常の方法では大量の荷物を持っていくのが難しい。ここは魔法を使う必要があるだろう。

 そして一番大変なのはネギ達だ。
 魔法界というのは、一言で言えばゲームに出てきそうなファンタジー世界だ。人里離れた場所に行けば危険なモンスターも出没する。
 そんな場所に行くとなると、それこそ冒険に出るような準備が必要となる。事前に話を聞いたネギ達は、そう判断した。
 本当に冒険に行くという事で盛り上がってしまった面があった事も否定はしない。
 ネギはその手の装備もある程度は持っていたが、他の者達は新たに買い足さねばならない物も多く、夏休み目前にして皆で買い物に行ったりしていた。
「予算が厳しい!」
「……ある程度は僕が出すよ。ほら、麻帆良祭で手伝ってもらったバイト代って事で」
 高畑の助けがなければ、魔法界に行く前に皆でバイトする事になっていたかもしれない。
 なお、一人の財布から出すのは流石に厳しかったらしく、しっかり領収書を切ってもらって、後で必要経費として学園長に請求したそうだ。



 そんなこんなで時が過ぎて終業式。無事に一学期が終わった。
「ネギ達の出発はいつだ?」
「僕達は龍宮神社の夏祭りが終わってからです。というか、そっちは早いですね」
「エヴァの解呪に、どれぐらい時間が掛かるか分からないからな」
 余裕を持ってエヴァの解呪にあたってほしいという事もあって、横島達はその日の内に東京に行く事になっていた。当然準備も前日までに終わらせている。
 ネギ達とは一月以上会えなくなるので、終業式後麻帆良女子中の前で会い、挨拶を済ませた。
 なお、豪徳寺達は女子中に行くのを嫌がり高校で挨拶を済ませたため、女子中に行ったのは横島と、途中で合流した高音だけだったりする。
「刀子先生、仕事は大丈夫なんですか?」
「許可取ってるから問題無し!」
 教師の刀子はスケジュール的に厳しかったが、学園長に頼み込んでなんとか同じ時間に出発できるようにしていた。
 エヴァ達も一緒に出発して東京で一泊。明日の朝一番に妙神山に向かう事になっている。
「皆、忘れ物はないか?」
「はーい!」
 きれいに揃った返事に、横島は満足そうにうなずく。
「よし、それじゃ出発だ!」
 そして一行は東京へと出発する。
 海外でもなければ、伝説の修業の地でもない。ましてや冒険の世界でもない、ただの合宿のようなもの。
 しかしそれは、アスナ達にとって、麻帆良の外へと飛び出すための第一歩であった。





つづく


あとがき

 『GS美神!!極楽大作戦』の面々、『絶対可憐チルドレン』の面々に関する各種設定。
 超鈴音に関する各種設定。
 レーベンスシュルト城に関する各種設定。
 関東魔法協会、及び麻帆良学園都市に関する各種設定。
 魔法界に関する各種設定。
 各登場人物に関する各種設定。
 アーティファクトに関する各種設定。
 これらは原作の表現を元に『黒い手』シリーズ、『絶対可憐チルドレン』クロスオーバー、及び『見習GSアスナ』独自の設定を加えて書いております。

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