topmaintext『黒い手』シリーズ魔法先生ネギま!・クロスオーバー>見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.211
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 夏休みという事で東京に来たアスナ達。しかし、彼女達は中学三年生。そう、受験生である。彼女達には東京に来たからといって遊んでいる暇など無かった。
 六女の生徒達は毎日のように通っているが、こちらは高校一年生。高校受験も記憶に新しいため、アスナ達の苦労はよく分かっていた。家庭教師役を買って出るなど、よき先輩となってくれている。

 その一方で受験とは縁の無い者達もいた。
 既に高校生の高音、まだ中学2年生の愛衣は、今年はまだ受験生ではない。魔法使いとしては既に一人前であるアーニャ、魔法界の学生であるコレット、別に高校に行かなくてもいいと考えている鈴音、そして既に大人の刀子である。
「それじゃ、いってきまーす!」
 アーニャとコレットは、魔鈴の店を見学しに行く事になっていた。
「道に迷ったら連絡してきてくれ」
「ご心配なく! 私が付いているから大丈夫です!」
 二人だけで東京の町を歩かせるのは心配だと、高音と愛衣が同行する事になっている。

 家に残るのは鈴音。彼女は今日もマリアとテレサの改造を続けている。
 そして刀子はというと、六女の生徒達から教えを乞われていた。
 彼女は実戦経験豊富な神鳴流剣士。「神鳴流は武器を選ばず」と豪語するだけあって、戦闘に関してなら誰にでも指導する事ができる。戦闘の指導者としては一流の部類に入るだろう。
 また刀子から見ても、霊力を増大させた六女組の少女達は、これ以上となく鍛えがいのある素材となっていたのだ。
「横島君は霊力を鍛えて、私はそれを活かした戦い方を教える……悪くないわね」
 指導者としての相性も悪くない。そう考えてムフフと笑う刀子。こちらはこちらでガチであった。

見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.211


 横島もアスナ達の受験勉強については手伝う事ができない訳だが、それ以外の時間はできるだけ彼女達と過ごすようにしている。具体的には日課となっている早朝のジョギングと、霊力供給の修業の時間だ。
 彼自身も受験で苦労した身なので、できるだけサポートしてやりたいという、ある種の親心である。いや、この場合は兄心といった方が正確だろうか。
 ジョギングは早朝から大勢で町中を、しかもペースもバラバラに走っていると周りへの迷惑になりかねないという事で、魔法の水晶球の中で行われている。自然豊かで空気も景色も良いと彼女達にも好評だった。
 そして霊力供給の修業だが、こちらは夜に行われている。これをするとその後は勉強にも修業にもならないため、そのまま入浴して就寝だ。
 六女組も一緒にその修業を受け、その後入浴して帰宅している。なお、匂いを残して帰ると周りに勘繰られるかもしれないと皆念入りに身体を洗っているのは余談である。
 また週一、二のペースで六女組が泊っていき、その日は特に念入りに、じっくりねっとり時間を掛けて霊力供給の修業が行われるのは更なる余談である。
 どちらにも共通していえる事は、受験勉強漬けのアスナ達にとっては貴重なストレス発散になっていた事だろう。
「ふへへ……これで明日もがんばれるぅ……
 ……問題が無い訳ではないが、結果としてこれらが勉強漬けの毎日を過ごすアスナ達を支えている。
 よく学び、よく運動し、よくあふんあふんする。彼女達は不健全に健全な受験生の夏を過ごしていた。


 そして数日後、ようやくマリアとテレサの改造が完了した。
「結構時間掛かったな」
「もっと早くに終わる予定だったんじゃが、お主の娘が拘っての〜。途中からワシそっちのけでやっておったわ」
「茶々丸にも無い、新機能も搭載したネっ!」
 時間が掛かった原因は鈴音の方にあるようだ。
 詳しく聞きたいところだが、まずは生まれ変わったマリアとテレサを皆で出迎える。
「おぉ……!」
 お披露目といっても普段着姿で出てきた二人。一番分かりやすい変化は、二人の首部分だろう。元々は金属パーツに包まれていた部分が人間と変わらぬ姿になっている。
 それ以外も変化しているが、見た目では全体的にふっくらした印象を受ける。これは人肌に似た衝撃吸収素材で包んでいるためだ。
「テレサ、ちょっと盛り過ぎじゃない?」
「防御力のためよっ!!」
 愛子のツッコミに、テレサが声を張り上げる。
 それがもう一つの分かりやすい変化、なんとテレサの胸が明らかに大きくなっていたのだ。
 マリアも凄い事になっているが、こちらは元々が凄いので、おのずと皆の注目はテレサの方に集まっている。
 早速薫が飛び掛かろうとしていたが、それは葵と紫穂が止めてくれていた。
 なお、今までの服は着れなくなっているため、小鳩の服を借りているのは秘密である。
 またテレサの言う通り、素材の強度で劣る彼女が、防御力を補うために衝撃吸収素材を分厚くしたという理由もあるとフォローしておこう。
「鈴音、あんたが拘ってたのって……」
「フッフッフッ、もちろんあのおっぱいネ」
 その得意気な顔を見て、一同は改めて鈴音が横島の娘であると改めて納得していた。
 ちなみにマリアの方は元々の素材で胸の形を作っていたため、テレサと比べると胸が硬めになっているそうだ。

 それはともかく、変わったのは胸ばかりではない。顔も手足もより自然なものになっている。アンテナなどが無ければ人間と区別がつかない程だ。
 マリアはまだ表情が乏しいが、テレサは表情豊かである。
 この辺りも鈴音が拘った事であり、細やかな仕草まで実現できたのは、彼女の技術あってこそ。これにはカオスも舌を巻く程であった。

 なお、おとなしくしている横島は、自重していた……訳ではない。両腕をアスナとおキヌにガッチリホールドされていたのだ。おキヌも段々と大胆になってきている。
 視線はマリアとテレサの生まれ変わった胸に釘付けになりつつ、ひじに触れるアスナとおキヌの胸も堪能するという器用な状態になっていた。

 そして夕映は――
「マリアさんとテレサさんも、茶々丸さんのように霊力供給を受ける事ができるのですか?」
「……人工霊魂がどうにかなりそうだから、勘弁してほしいわね」
――ここでも好奇心の赴くままに探求しようとしていた。
 アスナ達もそれは気になったようで、皆の視線が鈴音に集まった。
 すると鈴音はいそいそと白衣を着て、説明を始める。
「茶々丸の場合は、元々ネジを通して霊力とかを供給してもらう仕組みがあったネ。完全スタンドアローンのマリアとテレサを一緒にしちゃいけないヨ」
「じゃあ、2人は無理なんだ?」
「流石は全盛期のカオス製。マリアの方は改造する余地が無かったネ」
「フハハ、そうじゃろうそうじゃろう!」
「ちょっと待ちなさい、横島二世」
 鈴音の言葉にカオスは得意気に笑った。そしてテレサは思わずツッコミを入れた。
「……姉さんの方は?」
 そして確認するように問い掛けるテレサ。対する鈴音は、ニヤリと笑って返した。
「テレサの方は、バッチリネ!」
「やっぱりか!!」
 思わず声を張り上げるテレサ。そう、彼女の身体は鈴音によって改造済みだったのだ。
「カオス! なんで止めなかったのよ!?」
「いやあ、ワシも知らんような機能を付けるようじゃったからのう」
「好奇心!? あんたも好奇心に負けたの!?」
 カオスの服を掴んでガクガクと揺さぶるテレサ。どうやらカオスも好奇心に負けてしまったらしい。
 結果としてテレサが強化されたのは確かなようで、カオスは悪びれる事もなくフハハと笑うだけだった。
「どのような機能を?」
「霊力を供給してもらえるのと、余剰分を外部に流すのは基本ネ」
 これは茶々丸も持っていた機能だ。横島の供給する霊力が強過ぎると、テレサが耐えられないため、余剰分を外部に流すのだ。
 流した霊力はコンデンサーに溜め込む事ができるので、鈴音はそちらも目的にしているのかもしれない。
 だが、それだけではない。マリアと違って改造の余地があったテレサには、茶々丸にも無い新機能が搭載されている。
「供給された霊力を使って、一時的にパワーアップする事ができるネ!」
「マジで!?」
 マジである。これはテレサのみが使える新機能だった。
 もう少し詳しく説明すると、彼女達に使われている衝撃吸収素材は物理的な攻撃は吸収できても、霊的な攻撃にはほとんど効果が無い。
 元々茶々丸をより人間らしい姿にするために用意されたもので、衝撃吸収機能はオマケだったのだ。むしろ物理防御力が上がるだけでも儲けものだろう。
 今回、マリアとテレサを改造する事になった鈴音は感じた。マリアの方は完成度が高過ぎて手が出せないが、テレサは改造する余地があると。そして考えたのだ、テレサに手を加えてみたいと。
 衝撃吸収素材は霊的な力を素通しする。茶々丸やマリアは内側の素材が霊的な防御力を担っているが、テレサにはそれが無い。
 鈴音は、この霊的な力を素通しするという欠点を逆手に取る事を考えた。
 衝撃吸収素材の内側に、神通棍と同じような機能を加える。これによって体内に溜め込んだ霊力を全身に巡らせて、一時的にパワーアップできるようにするのだ。
 この状態のテレサは、霊体に触れられるようになる。今までのテレサでは神通手袋などが無ければ触れる事もできなかったので、除霊助手をするならば便利な機能だろう。
 当然溜め込んだ霊力が無くなったら使えなくなる能力だが、その時は改めて供給すれば良いというのもポイントが高い。

 説明を聞いて、テレサも興味を持ったようだ。マリアとは方向性が異なるが、強くなった自分が活躍する姿を想像してにへらと笑う。
 心が躍る。新たな力を実際に使ってみるのが楽しみだ。早く使ってみたい。
「……ハッ!」
 しかし、そのためには横島から霊力を供給してもらわなければならない事に気付き、ゆっくりと顔を彼の方に向けた。
 なお、供給するだけなら絶対に横島である必要は無いのだが、初めての新機能である事を考えると、器用な横島が一番適任なのもまた確かである。
「と、ところで、どこから供給してもらえばいいの?」
 自分の後頭部をぺたぺたと触りながらテレサは問う。もしやネジ穴が開いているのではないかと心配したが、それは無かったようだ。
「肌が触れ合っていればどこでもOK! つまりはアスナ達と一緒ネ!!」
「やっぱりか!!」
 繰り返すが、彼女達の肌に使われている衝撃吸収素材は、霊的な力を素通しさせる。
 そしてその内側に神通棍のような霊力を通す機能が有り、それは体内に霊力を溜めるバッテリーのような部分につながっている。
 つまり、全身どこからでも、霊力を注ぎ込めばバッテリーにつながるという事だ。
 アスナ達が毎晩行っている霊力供給の修業。実際に見た事は無いが、どんなものであるかは聞いている。アスナ達がのろけてくる。
 自分もそれをやる事になる。横島にやられる事になる。それを想像した瞬間、テレサの頬が羞恥に染まった。
「…………仕方ないわね」
 だが、しばし考えた後、彼女はそれを受け容れた。
 横島に雇われ、この家で暮らし始めて変わってきていたテレサ。なんだかんだで彼の事は憎からず思っていたようで、アリと判断したようだ。
 鈴音はその様子を見て、満足気にうんうんと頷いていた。

「……テレサ」
「……なによ、姉さん」
「うらやましい・です」
「はぁ!?」
 そしてマリアは、妹をうらやましがっていた。
 ちなみにマリアに霊力供給ができないのは、霊的な防御力を持つ内側の素材が原因だ。
 流石は全盛期の『ヨーロッパの魔王』というべきか、鈴音でもその素材を再現する事ができなかったのだ。
 なまじ再現できない素材であるため、茶々丸のような霊力供給用の穴を作る事もできず、外側を覆ってより人間らしい外見にする事しかできなかったのである。


 そんなこんなで二人のお披露目も終わり、早速その日の晩から霊力供給が行われる事になった。
 茶々丸と同じように、アスナ達の後で、アスナ達とは別の部屋で行われる。これは余剰分の霊力を流すコンデンサーが必要だからだ。
 霊衣に着替え、大型コンデンサーから伸びたチューブを額に装着したテレサ。緊張した面持ちでベッドに腰掛けている。
 隣には同じく霊衣に着替えた横島。アスナ達への霊力供給を終えてきたので既に興奮気味だ。しかし、意識してそれを抑えようとしているようで、深呼吸を繰り返している。
 これが茶々丸とエヴァならば、エヴァが吸血で弱めたところで、茶々丸が残った霊力を全て受け止めてくれていただろうが、初心者のテレサではそうもいかないのだ。
 更に、テレサから見て、横島の向こう側にもう一人。
「……で、なんで姉さんもいる訳?」
「マリア、お手伝い・します」
 なんと、マリアもここに来ていた。ご丁寧に彼女も霊衣に着替えているが、流石に1m超えに合ったサイズは無く、胸元が大きく開かれている。
 手伝いに来たと言ったが、横島を更に興奮させるために来たのだろうか。テレサがそう思ってしまうのも無理のない話である。

 念のために補足しておくが、これは本当に必要な処置なのだ。
 霊力供給中にくすぐったさや気持ちよさから身をよじらせる、それはよくある話だ。
 もし、テレサが同じような行動を取ったらどうなるだろうか。しかも、弾みで体内霊力によるパワーアップを発動させてしまったらどうなるだろうか。
 横島でも負傷するかもしれない。そう判断されたため、パワーアップしても押さえられる者としてサポートしに来たのがマリアであった。
「……姉さん、私がうらやましかったんでしょう?」
 ジト目で問うテレサに、マリアは視線を逸らした。彼女が自ら立候補して来たのは秘密である。

 しかし、いざ始めてみるとマリアが来たのは正解だった。
「〜〜〜〜〜っ
 これは鈴音も分かっていなかった事なのだが、テレサが霊力供給を受けると、茶々丸が感じる霊力を注ぎ込まれる感覚だけでなく、初期状態の霊力供給時に感じる全身を撫で回されているような感覚を同時に感じてしまうのだ。全身に霊力を巡らせる機能の影響だと思われる。
 これには堪らず身をよじらせようとするテレサ。全く抑えが効いておらず、注ぎ込まれた霊力を早速使ったパワーアップ状態である。
「んんっ
 これによりアスナがカードを通して霊力を供給してもらっている時のような気持ち良さも感じてしまう。
 マリアがいなければ、今頃テレサの拳が横島に炸裂していただろう。
「ちょっ、どこ触って……あんっ
 横島とテレサが密着状態にあるため、マリアがテレサを押さえようとすると、おのずと横島ごとという事になってしまう。
「マリア、しっかり押さえます」
「この頬に触れる圧迫感はぁーーーん!!」
 その結果、1m超えが横島に押し付けられる事になり、横島が煩悩全開になって更に霊力が増大。それによってテレサが感じる気持ちよさも増大。
 振り払おうとするテレサの力も増すが、マリアには敵わず、その体勢が維持される事となる。
 マリアにしてみれば力を抜いてるぐらいで、二人に余計な体重を掛けないよう気を回しつつ、横島の反応を見ながら体勢を変えるほどの余裕があったりする。
「もっ、もう少しっ、抑えっ……あぁっ
 おかげで横島の煩悩と霊力は増す一方で、テレサは三重の気持ち良さに翻弄される事となる。
 この様子では、慣れて暴れずに済むようになるまで、まだまだ時間が掛かるだろう。
 なお、暴れなくなってもマリアはサポートを続けようとするが、それはまた別の話である。





つづく


あとがき

 『GS美神!!極楽大作戦』の面々、『絶対可憐チルドレン』の面々に関する各種設定。
 超鈴音・茶々丸に関する各種設定。
 魔法のに関する各種設定。
 関東魔法協会、及び麻帆良学園都市に関する各種設定。
 魔法界に関する各種設定。
 各登場人物に関する各種設定。
 アーティファクトに関する各種設定。
 これらは原作の表現を元に『黒い手』シリーズ、『絶対可憐チルドレン』クロスオーバー、及び『見習GSアスナ』独自の設定を加えて書いております。

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