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『黒い手』シリーズ 人物辞典
横島除霊事務所美神令子除霊事務所民間GSGS協会オカルトGメンB.A.B.E.L.陰陽寮六道女学院愛子組その他・人間界妙神山その他・神界ルシオラ領その他・魔界

注意!

 この人物辞典は『黒い手』シリーズにおけるオリジナルキャラの紹介。
 原作の設定の隙間を埋めるためのオリジナル設定。
 原作で触れられてない舞台を書くためのオリジナル設定。
 原作の断片的な情報から私なりに解釈したオリジナル設定について書かれています。

 以下に書かれているのは、あくまで『黒い手』シリーズをより理解していただくための情報に過ぎず、これが正しい解釈だと言うつもりは毛頭ありません。
 『黒い手』シリーズが、この設定に基づいて書かれているだけです。
 ご了承下さい。



横島除霊事務所

『文珠使い』横島 忠夫

 言わずとしれた主人公、割と家庭内では虐げられてるっぽいけど主人公。片腕が魔族化し、魂の中に霊力と魔力を併せ持つ珍種。
 とは言え、『黒い手』世界観においては、力の分類が特殊な物に変わっただけで急激に力の容量(マイト)が増えるわけでもないので、半魔族化はむしろ、正体を隠さなければならないと言うデメリットの方が大きかったりする。
 メリットがあるとすれば、魂の一部に根付いたルシオラの影響により、少し真面目に、シリアスにも耐えられるようになった事と、彼女の能力である幻影とマヒ毒を使えるようになった事であろう。
 もっとも後者に関しては魔力を使わねばならないので、普段は使えないのだが。

 横島大樹、百合子と、揃ってひとかどの人物である両親の血を色濃く受け継ぎ、優れたバイタリティ、商才等、そのスペックはかなり高い。

 人格面も二人の、特に百合子の影響が大きいのだろう。
 横島の人格は基本的に大樹譲りの煩悩を、百合子の躾により形成された倫理観で抑え込んでいるのだと思われる。
 と言うのも、世間体を気にした倫理観を発揮する一方で、原作アシュタロスとの戦いのクライマックスで「煩悩全開」した時の妄想の中には普段は「こんなガキによこしまな考えを抱くほど俺は飢えていないッ!!」と拒否しているシロ、「おキヌちゃんにセクハラしたら完全に悪者じゃないっスか、俺」と言うおキヌ、更には友人の彼女である魔理、かおりの姿もあり、実に無節操だ。
 思うに、あの「煩悩全開」のコマはページの端で切れていなければ、原作中に登場した全ての女性キャラが並んでいたに違いない。

 煩悩が湧き上がるのは抑えられないが、人目が気になるので表向きは否定すると言ったところだろう。そんな荒馬のような煩悩を抑え込む倫理観を教え込んだ百合子の教育は見事としか言い様が無い。
 また、それを遵守する横島の心の中で母百合子の占めるウェイトは相当重いのだろう。

 と言うわけで、『黒い手』シリーズにおける横島は「強い女性に支配される状況に安心感を得る、ちょっぴりマザコン混じりのマゾヒスト。でも、恥ずかしいからおおっぴらにするのはやーよ」として書かれています。

 独立した事により社会的地位を手に入れて、その存在の特異性、顔の広さから『交渉役・猪場の懐刀』と呼ばれる程の重要人物になりつつあるが、本人は至って無自覚。
 元より欲望に溺れやすい面があるため、自覚してしまえば欲にかられる事が目に見えているので、今の状態が一番良いと思われる。

 現在は、人類と人類以外との融和を目標に掲げつつ、新人GSとして小さな仕事からコツコツと勤しみつつ、合間を縫っては六道女学院霊能科の一年生の面倒をみたりと後進の指導も行っている。

 霊能力に関する考え方は猿神直伝の「とりあえず霊力を鍛えよ、フンッ!」と言う感じで、ある意味神魔族に近い。
 人類は霊力が無いのが普通で、有る者はその時点で満足し、後は強い霊能、術具を求める風潮があるため、生まれ持って強い霊力を持つ者しか魔族等に対抗できないと言うのが現状であると考えれば、生まれ持った霊力を更に自力で鍛え上げると言う考え方はある意味革新的な物と言えるだろう。

 ただし、猿神の言葉を借り刀に喩えるならば、霊力だけを鍛えても霊能と言う刃がなければただの鋼の塊に過ぎない。
 そして、横島には霊能を修行して覚えると言う概念が無いため、そちらの指導はできない。彼にとって霊能とは命懸けの一か八かの状況下で身に着く物なのだ。
 幸いにも、横島の元で修練している六女の生徒達は元から自分の霊能を持っているので心配はないのだが、仮に強い霊力を持ちながら霊能に関して素人の者が弟子になったとしても、その者を一から霊能力者に育て上げる事は不可能である。


タマモ

 妖怪 食っちゃ寝娘、又の名を≪金毛白面九尾の狐≫。頭脳は一流、やる気は九流。
 元々、玉藻前の生まれ変わりとして国家に追われる身だったが、美智恵の暗躍により人間、横島タマモとして、横島の保護管理下に置かれる事となった。戸籍上の横島の妹になったわけではない。
 横島除霊事務所の除霊助手と言う立場にあり、それを口実に家の手伝いを怠ける。だからと言って除霊は真面目にするわけでもなく、いつも楽をする事を考えている。正に妖怪 食っちゃ寝娘。

 しかし、足りない知識を直感で補う…と言えば聞こえが良いが、悪く言えば行き当たりばったりの成り行き任せな横島には、優れた状況分析能力を持つ冷静なタマモは不可欠なパートナーと言えるだろう。

 趣味は食べ歩き。近隣の油揚げ関連の老舗はほぼ網羅し、最近は超感覚を駆使して隠れた名店を探す日々。
 時折、美智恵や西条に依頼されてオカルトGメンで霊視を手伝ったりしているが、これも食べ歩きの資金を稼ぐため。これはバイト料を自分の懐に納めるために横島達には内緒にしている。

 男を、と言うか横島をからかい弄ぶプロ。
 モットーは「生かさず殺さず」で、横島が打ちひしがれ、かつすぐさま復活できるギリギリのラインを完璧に見極めている。


愛子

 青春を求める学校妖怪で元・人間の机妖怪。
 かつては様々な時代の学校で生徒を飲み込み、机の中の異空間の学校で永遠に続くホームルームを行っていた。
 さり気なく時空を超越する力を持っていて、机の中は時間概念が狂っている。愛子は「机の中で三十二年過ごした」と言っていたが、その真偽も不明の上、机の中の三十二年が現実世界でも三十二年とは限らない。
 そこで、現実世界ではもっと以前、戦後間も無くから神隠しを行っていた。…と『黒い手』シリーズでは設定している。


 実際のところどうかはわからないが、「GS美神」が連載されていたのが一九九一年。スチールパイプ製の机が発売されたのが一九五九年。その差は三十二年、奇妙な符合である。

 スチールパイプ製机が登場した事により、お役御免となった木製机の妖怪。

 これが正解なのかも知れないが、それでは愛子組の設定に色々と不都合が生じてしまいます。原作中では時間が進んでいないはずなのに、いつの間にか携帯が普及したりもしているので、気にしない方向で一つ。


 最後は横島と令子により、愛子の学校は終業となり、愛子は横島のクラスの生徒として受け容れられる事となった。
 いざ学校に受け容れられて青春を謳歌できるようになると、その『野望』は次のステージに駆け上がってしまったらしい。
 現在は横島除霊事務所住み込みのバイト事務員としてホームドラマを目指している。

 その青春を求める感動屋な性格は生来の物。
 人間だった頃は重い肺病を患っていて、療養のために空気の綺麗な田舎に移り住んでいた。
 名目上、地元の小さな分校に籍を置いていたが、生涯その学び舎で授業を受ける事はなかったらしい。
 いつか病気を治して青春を謳歌する事を夢見ていたが、その願いも虚しく人間愛子の病状は悪化。自分の死期を悟った彼女は、せめて最後はと一人家を抜け出し学校へ向かい、そして教室で席に着き、そのまま息を引き取った。
 その後、この世に未練を残した人間愛子がその机に宿って妖怪化したのが机妖怪愛子である。
 九十九神と思われがちだが、その正体は心残りがあった霊魂が悪霊と化した物。机に芽生えた魂ではなく、ただ媒介にしているだけだ。机の中の亜空間では極めて強力な力を発揮するが、これも机そのものはただの出入り口に過ぎない。
 もっとも、長い年月を掛けて実体化、妖怪として力を得る過程で、愛子と机は切っても切り離せない関係になっているのですが。

 …ぶっちゃけ、机フェチはアレですし、愛子の姿が机の擬態、疑似餌だとは思いたくないでしょう?

 と言うわけで、甲が乙にどうしたこうしたで、愛子は女子高生姿が本体、机はオプションと、『黒い手』世界では設定しておりますので、ご了承ください。

 ちなみに、この愛子の過去は一つの外伝にできそうですが、雰囲気が暗くGS美神とは似ても似つかない物になりそうなので没にしました。今後も書く予定はありません。


花戸 小鳩

 横島家の居候。張霞曰く『巨乳付きの少女』な勤労苦学生。
 病弱な母が、健康運も招けるようになった貧乏神と共に病気療養に専念するため診療院に入る事になったので、家に一人残る事になる小鳩は元・隣人である横島の元で世話になる事となった。

 バイト生活を今も続けていて、現在は六道女学院近くの老夫婦の営むパン屋で働いている。事情を知らない人は、小鳩は経営者夫婦の孫だと勘違いしているが血縁関係は無い。実際、それぐらいに仲が良い。
 小鳩が看板娘としてレジに立つようになってから客が倍増したのは確かなのだが、その大半は、「あやかりたい」と言う六道の生徒だったりする。


テレサ

 横島除霊事務所におけるヒエラルキー最下層のお茶汲み看板娘。
 しかし、看板娘としての評判は上々。傍目には人造人間とはわからない表情の豊かさがポイントであろう。
 もっとも、評判の半分を占めるおいしいお茶はマリアが淹れた物で、テレサは運んでいるだけだったりするのだが。

 アシュタロスがコスモプロセッサを使って世界規模で召喚を行った際に、何故か妖怪、魔族と一緒に復活した。その事は本人も気にしているので面と向かって言うのは禁句。
 あの召喚は、どこか別の所にいる存在を人間界に呼び出す物と、既に滅んだ者と同一存在を生み出す物と言う二種類のプロセスが存在したのだが、テレサはこの内前者のプロセスで海の底から呼び戻されたと言う事になる。

 ハニワ兵により爆破されバラバラとなったが、その後カオスにより回収、そして修理された。しかし、予算が足りなかったため、ロケットアーム以外の武装は全てオミットされている。

 カオスが横島の元に転がり込んで研究できるようになると、外部オプションを装着する事により霊的存在にも対応できるようになった。
 現在完成しているのは「霊体感知メガネ」に「神通白手袋」の二種類のみで、開発中なのが「白衣プロテクター」に「神通ストッキング」だ。
 フル装備すると凄い事になりそうで本人は戦々恐々としているが、横島は楽しみにしているらしい。


マリア

 『ヨーロッパの魔王』ドクターカオス最盛期の最高傑作。
 人並み外れたパワーを持ち、戦闘から家事までこなす万能アンドロイド。強いて欠点を上げるならば情緒面では妹のテレサに大きく劣り表情に乏しい事だ。
 しかし、表面にこそ表れないものの彼女なりに内心は色々と考えているようで、特に妹のテレサを大切にしており、彼女を修理する際、人格ソフトを改良するとかつてのテレサが消えてしまうので、手を加えないで欲しいと生みの親であるカオスに頼み込んだりもした。
 また、横島と薫の関係を自分とテレサとのそれに重ねていて、何かと薫の面倒をみているらしい。


『ヨーロッパの魔王』ドクターカオス

 かつてヨーロッパの魔王と恐れられた千年の時を生きる大錬金術師。純粋な知識量においては今でも他の追随を許さない。
 ただし、耄碌しているため、必要な事を思い出すためにはマリアに頭をシェイクしてもらう必要がある。

 現在は横島家の庭にある蔵を研究室に改造して、悠々自適の隠居生活に入っており、好き勝手に趣味の研究をしている。
 その割にはテレサの対霊戦用オプションを開発したり、地脈からエネルギーを引き出したりと、現在のオカルト技術でもそう簡単にはできない事をたやすくやってのけてしまうあたり、『魔王』の名は伊達ではないと言う事だろう。


ハニワ子さん

 横島除霊事務所のお手伝い、ハニワ兵のリーダー格。毎日素肌にエプロン姿で家事に勤しむ頑張り屋さん。
 ちょっとドジなのがたまに傷。どれくらいドジかと言うと勘違いでうっかり仲間を殺して、自分も死んでしまうぐらい。
 その上ニブい。人の心の機微に疎いところがある。

 横島除霊事務所一の常識人だが、生前は殺し屋。特にナイフの扱いを得意としていて、それは今も活かされている。主に台所で。

 ハニワ兵のリーダー格。しかし、これは特に彼女がリーダーシップを発揮しているわけではなく、他のハニワ兵達が割といいかげんな性格をしているのに対し、彼女が真面目過ぎるためだろう。
 怠け者達を箒片手に追いかけているうちに、いつの間にかまとめ役のようになってしまったのだ。

 死ぬ間際の彼女は、殺し屋をやめて母親になりたいと考えていたようで、今はテレサを自分の娘のように思っている。
 だが、優しいだけの母親ではなく、行儀作法にはとても口うるさい。怒らせると「ぽー!」と必殺ハニワ子さん頭突きが炸裂する。


目付きの悪いハニワ兵

 ぷちルシちゃん印の戦闘用ハニワ兵。他のハニワ兵と違って飛行能力もある。

 本来の身体を喪いルシオラにより魂を六分割されて、眷属として生まれ変わった六体のハニワ兵の一体。
 今ある人格、性別は眷属になる際に与えられたルシオラの魔力から芽生えた物で、まだ感情に乏しく無口な少女。

 背中に隠した四本のアタッチメントアームの先にルシオラ謹製の魔力銃を仕込み、口の中に主砲を内蔵している。
 その主砲は元のエネルギー源を失い本来の威力の一割にも満たないが、それでも下級の神魔族程度ならば一撃で消滅させてしまうだろう。


サングラスを掛けたハニワ兵

 生前はマフィア。イタリア移民系のコメリカ人。
 色白で背が高く、細面で見れる外見と言えるのだが、いかんせんニヤついた目をしていて、本人は真剣なのに「ふざけている」と思われる事がしばしばあった。そのため常にサングラスを掛けていて、その習慣は死後ハニワ兵になった今も続いている。

 最後の仕事中にささいなすれ違いからハニワ子さんと相討ちと言う形で死亡。
 ニヤけた目のおかげで誤解され続けた男が最後に誤解された原因は、その目を隠すためのサングラスであった事を本人は気付いていない。

 基本的に物事を前向きに考える男。人生は終わったが、今度はハニワ生を楽しもうと考えている。
 自分を殺した相手であるハニワ子が、テレサを追い掛け回して苦労しているのを見ると「ざまーみろ」と思ったりもするが、元々彼はハニワ子さんに惚れ込んでいた。
 それでも幸せそうなハニワ子さんを眺めてサングラスの下で目を細めてみたり、彼女を独り占めにするテレサをからかってはハニワ子さんに怒られて逃げてみたりと、今日も彼なりにハニワライフを満喫している。


元・野球少年のハニワ兵

 んなわきゃない。
 家庭内暴力で父親を撲殺した絵に描いたような不良少年A。釘バットを愛用。
 元々は母子家庭で、母親の再婚相手だったらしい。その人は絵に描いたような堅物で、口論の末の衝動的な犯行だった。新しい父親に対する嫉妬もあったと思われる。

 単純で幼稚で短絡的。
 勢いで家を飛び出し、逃亡の末に「海外に高飛びしてやるぜ」と勢いで貨物船に潜り込んだが、途中で発見。捕まるのは嫌だと勢いで海に飛び込み、そのまま溺死。

 今は悪っぽい雰囲気を醸し出すサングラスを掛けたハニワ兵の舎弟を気取っている。
 彼のような生き方は、良い子もそうじゃない子も真似をしてはいけない。


元・結婚詐欺師のハニワ兵

 騙した女に刺されて死んだ結婚詐欺師。
 経済的に余裕のある熟女、特に未亡人を好んで狙っていた。

 曰く「美智恵が好み」との事だが、彼の勘が「絶対に騙せない、返り討ちに遭う」と告げているらしく近付けないでいる。賢明な判断だろう。

 どうしてこの勘が生前は働かなかったのかが謎だが、それが世のため人のためと言う事なのかも知れない。


元・銀行強盗のハニワ兵

 生前は病弱なサラリーマン。
 幼い娘がいて、親子ともども同じ内臓の病気を患っていた。
 娘の治療費を手に入れようと銀行強盗を決行。金を奪うまでは成功したのだが、逃亡中に捕らえられてしまった。

 元・銀行強盗のハニワ兵の動機がマスコミにより報道された事により募金が集められ、その後娘だけは無事に移植手術を受ける事ができたのだが、彼の方は間に合わずに獄中で病死。
 娘だけは助ける事ができたのが、唯一の救いだろう。


美神令子除霊事務所

美神 令子

 業界トップをひた走る世界有数のGS。二十歳の若さでオカルト業界において不動の地位を築いたミズ・オカルティックドリーム。
 彼女が新しい除霊具を入手すればそれが業界でニュースとなり、海千山千のGS達が同じ物を手に入れようと殺到するカリスマでもある。
 六道女学院霊能科のOGではあるが、業界的には「唐巣の弟子」として扱われている。

 独自の霊能として時間移動能力を持っているが、これは既に封印されていて使用する事ができない。
 しかし、彼女にはそれ以外にも、他の誰にも真似できない能力を持っている。それは…

 除霊具への極めて効率的な霊力伝導。

 同じ除霊具を使っても、他のGS達よりも効率的に力を引き出す事ができるのだ。
 だからこそ、令子だけが神通棍を鞭状に変形させる事ができる。他の誰にも真似する事はできない…と『黒い手』シリーズでは設定している。

 原作におけるメインキャラの中で、除霊事務所に「美神令子除霊事務所」と自分のフルネームを付けているのは令子だけだったりする。
 と言っても他の例は「小笠原GSオフィス」と「魔法料理『魔鈴』」の二者のみだが、一般的に考えてもフルネームの会社名と言うのは珍しいだろう。

 もしかしたら、令子はGSになる以前の六道女学院在籍時、或いは中学生の頃に美智恵が死んだと偽って姿を消した頃から「美智恵の娘」と無言の期待、プレッシャーを受け続けていたのではないだろうか。
 中学生の頃一時期グレていたのも、その事が関係しているのかも知れない。

 美智恵の影を振り払うために「美神 令子 除霊事務所」の看板を掲げたとすれば、令子は彼女に対して相当屈折した愛憎の入り混じる感情を抱いていると思われる。


氷室 キヌ

 世界でたった三人しかいない導師級のネクロマンサーと、互角の能力を持つネクロマンサー。
 導師級に認定されないのは、三百年以上幽霊をしたキャリアのおかげで能力に目覚めた天然物なせいか、人にその極意を伝える事ができないためだ。
 また、変に霊を傷つける手段を身に付ければ、ネクロマンサー能力を失う危険性があるため、それ以外の手段を用いて通常除霊を行うのが難しいと言う弱点も持っている。

 最近の悩みは、修行を理由に横島宅を頻繁に訪ねられるようになったが、どうしても他の生徒達に遠慮してしまい埋没してしまう事。
 無理に他の子を押しのけて横島に近付く事もできず、今はただ一人前のGSになれるように横島の下で修行を続けている。


犬塚 シロ

 横島が妙神山に修行に行っている間に、代わりの荷物持ちとして急遽呼び出された臨時メンバーだったが、横島独立により正式なメンバーとなった。
 文珠を使う横島ほどのオールマイティさは無い。前衛に限定すれば、その身体能力の高さもあって横島よりも優秀だと言えるだろう。

 シロ達人狼族は、人間に見つからないように隠れ住んでいたが、最近のデタントの流れを受けて人間とも交流を持とうと考え始めている。シロはそのテストケースとして令子に預けられているのだ。

 横島の側にいるタマモにライバル心を抱いており、そのタマモが事務所向かいのオカルトGメンで霊視を手伝ったりすると、自らも率先して手伝いに名乗りを上げたりしている。
 本人達の気持ちはともかく、オカルトGメンにおいては名コンビとして扱われているようだ。

 犬ではない。狼であり、狐である。


美神 ひのめ

 美神家次女。生まれ付いての強力な発火能力者。
 まだ赤ん坊で能力の制御ができないため、念力発火封じの札で発火能力を抑え込んでいる。

 美智恵が仕事で忙しいため、普段は令子達か横島達に預けられている。ひのめ当人はタマモとシロがお気に入りらしい。
 しかし、当人達は「赤ん坊の世話なんてめんどくさいわよ」「髪の毛ひっぱらないで欲しいでござる」と不満顔のようだ。
 そう言いつつも、いざ世話を任されたらしっかり面倒をみてしまうあたり、やはり二人ともひのめが可愛いのだろう。


民間GS

小笠原 エミ

 小笠原GSオフィスの若き所長。
 世界有数の呪術師であるが、それだけに限らず黒魔術全般に秀でた大魔法使いでもある。
 元は殺し屋だったが、故あって廃業。海外のGS協会を通じて新たな黒魔術の師を見つけ、その師の元でGSとなった。さり気なく海外のGS資格を持っている人。

 横島にとっては独立を手助けしてくれた頭の上がらない業界の先輩。
 タイガーにとっては制御できない精神感応能力を抱えて困り果てていたところを助けてくれた恩人であり、魔理にとっては自分を鍛えてくれる偉大な師。
 何気に姐御肌の人でもある。


タイガー 寅吉

 小笠原GSオフィスの除霊助手。
 制御不能の強力な精神感応能力を持ち『セクハラの虎』の異名を持っていたが、再起不能になったヘンリー、ボビー、ジョーの代わりに新たな助手を探していたエミの目に留まりスカウトされた。

 当初はエミの笛が無ければ制御できなかったのだが、その後のトレーニングにより完全な制御に成功したらしい。
 更に、横島の独立に影響を受けて妙神山で修行を受け、獣人変化の霊能も身に着けた。

 GS資格取得試験に挑戦し、見事一位突破の快挙を成し遂げる。
 試験の成績だけで言えば美神令子と互角と言う事になり、オカルト業界における彼の注目度は跳ね上がる事になるであろう。
 ここで調子に乗ってしまうと、後になって痛い目を見てオチをつけてしまうだろう。だが、そもそも調子に乗るための出番が無いので、その点については安心である。


六道 冥子

 日本のオカルト業界をほぼ牛耳ると言っても過言ではない六道家の次期当主になる予定ののほほん娘。
 令子が四人がかりでも逃げるしかない実力者…のはずなのだが、どうにも精神的な弱さが表に立って、その真価を発揮できない。
 六道女学院の生徒全ての顔と名前を覚えていたりと、妙な所でスペックが高い。

 子供の頃からのお友達である十二神将は、正式には「薬師十二神将」と言い、かの平安最強の陰陽師、安倍清明の使役する十二神将とは別の存在である。

 除霊の成功率は極めて低い。無能なのに成功率は高い某陰陽師GSとは正反対だ。
 そのため、GS協会の方で何か行事をしたりする事があれば「こんな時こそ、役に立つところを見せて来い」と、六道夫人の手により救護班等の役割で送り込まれている。


『現代の魔女』魔鈴 めぐみ

 魔法料理『魔鈴』店主。
 喪われた技術である魔法を研究し、次々に現代に復活させている大魔法使い。
 厨房に立って料理をしている姿からは想像できないが、オカルト業界では世界的に有名な人物。

 ありとあらゆる魔法に精通しているが、一番得意としているのは薬品製作の白魔術。魔法料理もその一環だ。
 魔鈴の魔法は空間にまで干渉するレベルに達しており、今は一定の空間を異界に出現させる一種の転移魔法で、魔界のルシオラの城の中庭に居を構えて暮らしている。ルシオラ達は勘違いしているが、これは魔界を中立空間に変える魔法では無い。

 人間界では出張中のベスパの眷属である妖蜂達をレストランの天井裏に住まわせている。
 黒猫の使い魔を持ち、家では怪鳥スカベリンジャーをペットにし、更にはハーピー、ガルーダが同居人である。本人も無自覚の内に魔物使いの道を邁進中。


ピエトロ・ド・ブラドー

 『文珠使い』横島忠夫、伊達雪之丞と並ぶ若手GSを代表する一人…なのだが、当年七百歳オーバーのバンパイアハーフ。
 実は彼も人間の霊力とバンパイアの魔力を併せ持つ珍種。ただし、横島のように霊力と魔力がそれぞれ独立して互いに刺激し合っているわけでは無い。
 父、ブラドー伯爵を忌避し、父親譲りの魔力を自ら封じて数百年生きてきたが、妙神山で修行した際に猿神に窘められ、その封印を解いた。

 現在はGS協会幹部としての仕事が忙しい唐巣の代理として彼の教会を守り、GS業務を代行している。
 彼が神父として教会に出るようになってから、若い女性の礼拝者が増えたらしい。

 元々はオカルトGメンを目指していたが、唐巣のGS協会幹部招聘からの一連の流れで、いつの間にやら一つの除霊事務所を任せられるいっぱしの民間GSになってしまっている。
 当人は「オカルトGメンに入るのは百年後でもいいか」ぐらいに軽く考えて、今の状況を受け容れているようだ。


伊達 雪之丞

 禁術である魔装術を極めた男。横島のライバルを自称している。
 優れた戦闘センスを持ち、極めた魔装術により攻防共に隙が無く、霊波砲も得意として距離も問わない。戦闘能力に関しては人類随一と言っても過言ではないだろう。

 生まれつき強い霊力を持っていたため、母親が亡くなった直後持て余した父親が白龍会に預けて逃げたと言う過去がある。
 そのため母親を神聖視し、自分一人で生きていくために力を求めるようになった。

 ストイックで孤高を好む性格のためか、本人に興味がないのか、実力ほどの社会的地位は無い。
 それ故に、今は弓家所属のGSとして仕事をしている。元々、弓家一門の白龍会を裏切った身だけあって、扱いはそう良いとも言えないが、雪之丞は気にしていない。

 何故なら、彼にはそれよりも大事な物があるのだから…。


陰念

 白龍会の新当主。
 元々は白龍会を裏切った身だったが、魔族化の治療が終わって古巣に戻った時に、養父が石化した時の後遺症で現役引退。白龍会が取り潰されるかどうかの瀬戸際と言う惨状を目の当たりにして、自分が白龍会を建て直すと決意した。

 魔装術を封印し、弓式除霊術の奥義を身に付けようと血も滲むような努力を続けていたが、彼の性格ではその心を仏に近付けるなど、土台無理な話であった。
 攻撃的な性格、凶暴性、彼の本質は修羅道にある。それを突き詰める事により己の獣性を受け容れて『獣面夜叉(ジュウメンヤシャ)』に開眼。メドーサに魔装術を授けられた第三の男は、魔に呑まれもせず、魔を制することもなく、第三の道を歩む事となった。

 GS資格取得試験を二位の成績で突破。これにより白龍会は存続する事となった。
 これから陰念は、闘竜寺の監督の下で見習いGSとして白龍会を率いていく事となる。


九能市 氷雅 & 霊刀『シメサバ丸』

 九能市氷雅は乱破の末裔であると同時に、居合い斬りを得意とする剣士でもある。
 ただし、その性格は人斬り願望を持つと言うかなり危険なもので、そんな彼女の元にコスモプロセッサにより復活を果たした妖刀『シメサバ丸』が現れたのは、もはや宿業としか言いようがない。
 前回のGS資格取得試験で横島に敗れたため、彼に対しなみなみならぬ敵意を抱いている。

 コスモプロセッサで復活した存在に関しては、一度祓われている場合はそれまでの『前科』は全てご破算と言う事になっているので、『シメサバ丸』は「過去に事件を起こしていない、霊的存在が宿る刀」と言う事で『霊刀』扱いとなる。
 現在の主である氷雅の性格上、ただの『霊刀』で終わりそうにはないが、業界のシステム上『霊刀』として扱われるのだ。

 GS資格取得試験に再挑戦し見事に合格。
 試合では圧倒的な実力を見せつけ、その名を轟かせた。
 GS資格取得後も、彼女は己が道を邁進していくであろう。


蛮 玄人

 人類の規格外の体格を持った男。霊力量も規格外であり、一分以内、真正面からのぶつかり合い、力勝負では美神令子相手にも勝ててしまうかも知れない。逆に言えば、肉体と霊力だけの男。

 前回の試験では霊力を出し惜しみしたために、美神令子が変装したミカ・レイに敗北。
 次の試験では出し惜しみせず最初から霊力全開で戦うようになって快進撃。
 見事合格を果たすも、常に全力と言う事は力の配分を全く考えないことと同意であり、浅野との試合中にパワー切れを起こして敗北した。

 GS協会の名物幹部、猪場道九にあこがれており、合格後は元々所属していた除霊事務所を辞めて、猪場の下に押しかけて見習いGSとなる。


GS協会

猪場 道九(イノバ ミチノク)

 GS協会の名物幹部、人呼んで『交渉役』もしくは『知的なヤクザ』。
 術具が一切使えず、霊力を乗せたプロレス技で除霊を行っていた霊的格闘の先駆者。
 当時は術や破魔札による除霊が中心で、神通棍もあまり普及していない時代だったので、強靭な肉体を駆使して戦う彼は、白兵戦においてはトップクラスの実力者だった。

 実は愛子が多くの生徒達を飲み込み、自分の中の学校で永遠と続くホームルームを行っていた際に飲み込まれていた一人。
 原作の「教室漂流!!【その1】」で高松がクラスメイトを紹介するコマの中央付近、机に座っているガタイの良い角刈りの生徒が若き日の猪場道九、と言う風に勝手に設定しています。
 そこで彼は妖怪とも友になれる事を知り、クラスメイトを探して高松と再会。彼の案により、学校で起きた神隠しの情報を集めるためにGSを志す。

 そんな経緯があるだけに、現役時代から妖怪とも友になれると融和を目標にしていた。
 六道夫人との幾度かの共同作戦を経て、彼女に気に入られた事により六道家と言う強力な後ろ盾を得て、現役引退後GS協会幹部に推挙される事になる。
 幹部招聘後は、妖怪達、神魔族との交渉をずっと担当している。


唐巣 和宏

 アシュタロスとの戦いにおける功績と、良くも悪くも業界の最前線をひた走る美神令子、若手GSを代表する一人ピエトロ・ド・ブラドーを育て上げた手腕を評価されて、GS協会の新たな幹部となった良識人。主に後進の育成が仕事となる。

 一応、現役のまま幹部となったのだが、GS協会での仕事が忙しいため、彼の除霊事務所である教会は弟子のピートが代理運営中。
 そのため、元々オカルトGメンを目指していたピートは民間GS、唐巣の後継者として注目されるようになってしまい、唐巣はとても心苦しく思っている。

 とりあえず、GS協会から給料が出るので生活環境は向上したが、胃薬が手放せない日々である事には変わりないようだ。


枚方

 GS資格取得試験の実況を担当するGS協会職員。広報に所属している。
 協会内では有名な宴会部長であり、元GSだけあって肝も据わっており、霊視もできる。
 横島達の試験の際にメドーサの襲撃に遭遇したが、それでも実況を止めなかった。
 タイガー達の試験でも魔族が大暴れしたが、それでも次の試験の実況を自ら買って出るだろう。


事務員の天城さん

 横島除霊事務所を「現役GSリスト」に載せる手続きをしたGS協会の事務員。実は六女の生徒、天城美菜の父親。


オカルトGメン

美神 美智恵

 元・民間GSで、アシュタロスとの戦いの際にオカルトGメンの前線指揮官として復帰した。
 ただし、これはオカルトGメンが請うて彼女を迎えたのではなく、娘令子を守るために自ら志願したのだ。
 その際に二者の間で交わされた契約が、美智恵が戦後も前線指揮官として残り、日本において立場の弱いオカルトGメンを建て直す事。 その時の彼女は時間移動して来た五年程過去の美智恵。当時は日本にオカルトGメンは無く、現在の情勢に関する知識が無かったので、それがどれだけ大変な事かが理解できていなかったと思われる。

 両親ともにGS。夫は強力な精神感応能力者。娘二人は業界トップのGSと生まれ付いての発火能力者。実はさり気なく霊能力者サラブレッドの家系。
 子供の頃から破魔札を持ち歩いていた事を考えると、おそらく子供の頃からある程度の手ほどきを受けていた、何かしら受け継ぐ技術を持っていた家系だと思われる。
 故に『黒い手』世界観においては、美神家は陰陽師の一族。特に破魔札の使用を得意としていたとしている。
 六道夫人に師事していたのは、同じく陰陽術の流れを汲む家として繋がりがあったためだろう。

 しかし、美智恵が子供の頃に両親が彼女の背に寄生したチューブラー・ベルにより負傷、そして現役引退。美智恵当人も両親の技術を受け継ぎながらも更にその先を求めていて、神通棍等の除霊具を駆使する除霊法を確立。
 その美智恵当人も娘令子に技術を継承する前に姿を消さざるを得なかったため、実は今現在「美神家除霊術」を継承する者はいない。

 若い頃は唐巣や夫、公彦を振り回していた美智恵。現在は逆に娘、令子達に振り回される日々を送っている。
 因果は廻る糸車だと言うのだろうか。


西条 輝彦

 元々は日本で美神美智恵の元で修行をしていたが、十年前にイギリスに留学。
 そのままそちらで民間GS資格を取り、その後オカルトGメンに入り活躍。日本支部設立のために抜擢されて凱旋帰国した。

 …が、西条以外の隊員は日本で集められた民間GSにもなれない者達ばかりだったため、美智恵が来るまではほとんど西条一人で東奔西走している状態だった。
 現在も一人が二人に変わっただけで、そう改善された状況とは言えない。

 原作によれば西条が留学を決意した時、令子が十才。
 おそらく高校卒業後あたりにイギリスに留学し、帰国する前に美智恵が死亡したと聞かされたため、そのままイギリスに残っていたと思われる。
 そう考えると、美智恵の元で修行した期間よりイギリスで修行していた期間の方が長いと言う事になる。神通棍ではなく霊剣ジャスティスを愛用する理由はこの辺りにあるのかも知れない。


須狩

 美智恵に続いて日本支部を建て直すべく送り込まれた二人目の刺客。
 元は魔族と契約を交わした南武グループにて心霊兵鬼の研究をしていた研究員だったが、後にそれが令子の手により露見し逮捕された。
 しかし、転機はアシュタロスとの戦いの後訪れる。
 今まで人間界に技術を提供してくれていた神界の兵器技術が魔界に比べて著しく劣る事が判明したのだ。
 背は腹に変えられぬと人類で唯一人魔界の兵器技術を知る研究者、服役中の須狩に司法取引が持ちかけられ、超法規的措置で彼女はオカルトGメンの開発部主任として返り咲く事となった。

 本来の任務は魔族に対抗し得る心霊兵鬼、特にゴーレムの開発なのだが、それを作った所で今の日本支部の隊員は使いこなせないと、現在は素人同然の人間でもGS並の対霊戦闘が行えるようになる装備の開発を行っている。
 霊力コンデンサーの小型化など、それなりに実績を上げてはいるのだが…

 須狩の求める素人用除霊具の究極の形は、彼女がデミアンに向かって投げた『神通白手袋』である事には気付いていない。

 何せあれは、霊力を持たないテレサでも悪霊を殴り飛ばせるようになり、かつ使い捨てにできるぐらいに安価な物なのだから。
 ちなみに、カオスはあの手袋を霊体探知メガネを作る片手間に作った。

 この場合は、須狩の能力が低いと言うよりも耄碌してなお『ヨーロッパの魔王』は健在だったと言うべきだろう。


岸田

 TV番組「どっちの除霊ショー」に西条と一緒に出演したオカルトGメンの隊員。
 髪型は特徴的なリーゼント。垂れ気味の糸目で、日に灼けた肌をしている。
 ビカラの攻撃により天井に頭をめり込ませ、ムチウチになった…が、厄珍の怪しい霊薬により完治した。
 その後も厄珍に目を付けられて、色々な薬の実験台になっており、そのため霊的な毒に対して非常に強い耐性を持っている。

 式神使いとしての道を歩み始め、現在は人型の簡易式神を使っている。いずれは自分独自の式神が欲しいと考えているが、未熟であるため、まだまだ先になりそうだ。

 GS資格取得試験で見事GS資格を取得。オカルトGメン日本支部実働部隊のNo.3と言うことになる。No.2の西条とかなり差があるが、他にGS資格を持つ者がいないからだ。
 ただし、現在は陰念との試合で負った怪我により白井病院に入院中。


浅野

 TV番組「どっちの除霊ショー」に西条と一緒に出演したオカルトGメンの隊員。色白で眼鏡を掛けており、体格は中肉中背。
 ガーリックパウダーの先制攻撃によりピートに勝利すると言う大金星を上げた。
 しかし、そのために彼の女性ファンを敵に回し連日の嫌がらせを受け、それを撃退するために黒魔術に手を出した。これが意外とうまくいったため、本格的に黒魔術師の道を志す。

 現代では黒魔術を学ぶ方法はそう多くなく、浅野は魔術書を手に入れて独学で学ぶ事にした。
 自力で魔導書を入手する事ができなかった彼は西条を頼る。すると、西条は留学時代に魔鈴に頼まれて手に入れたはいいが、下心の方はあっさりスルーされたためにそのまま忘れて死蔵していた魔導書を浅野に貸してくれた。

 しかし、これがそもそもの間違いであった。

 世界的な魔法研究者であった魔鈴が自力で手に入れる事ができなかった魔導書がただの魔導書であるはずがない。
 素人に毛が生えた程度の浅野に扱える代物でなかったため、魔族と契約するどころか逆に取り憑かれてしまった。
 このためGS資格取得試験に合格するも魔族に操られていた事が発覚し、失格。魔族が離れた際に霊力を奪われ、チャクラにもダメージを受けて、岸田と仲良く白井病院に入院中である。


デミアン、ベルゼブルと手を組んでいた幹部

 TV番組「どっちの除霊ショー」に出演して猪場とガチンコの討論を繰り広げたオカルトGメンの幹部。
 番組の失敗により立場が悪くなっていたので、起死回生を狙ってデミアン達と手を組むのだが、結局デミアン、ベルゼブルの暴走により「魔族を使っての大量殺戮未遂」と言う罪を背負う事になってしまう。
 美智恵はオカルトGメンの腐敗した上層部を粛清する好機だと喜々として捕らえようとしたが、その前にデミアンの栄養となってしまった、合掌。


B.A.B.E.L.

明石 薫

 B.A.B.E.L.所属の特務エスパー、チーム『ザ・チルドレン』の一人。
 超度(レベル)7の念動能力者(サイコキノ)。
 オヤジ臭い趣味の割には、年齢より精神的に幼く子供っぽい面もある。

 横島忠夫の腹違いの妹ではないかと言う疑惑が浮上するが、結局は誤解だった。
 しかし、その後も横島宅に入り浸り、兄妹同然の関係を続けている。
 薫にとって横島は「無条件で甘えられ、本気でケンカができる相手」だ。

 今も横島宅には薫の部屋があり、襖には『ヨーロッパの魔王』謹製のネームプレートが貼り付けられている。今のところ不具合は出ていない。
 ただ、今は薫一人ではなく、葵、紫穂の三人の部屋として使われている。薫が来る時はいつも三人揃っているからだ。

 最近小学校に通い始めたが、まるで男子のように扱われているのが悩みのタネ。そのため横島にセクハラして少し自信を取り戻しつつ、「妖艶な女」の一面を隠し持つタマモを姉と慕い、師と仰ぎ、そして目標としている。


野上 葵

 B.A.B.E.L.所属の特務エスパー、チーム『ザ・チルドレン』の一人。
 超度7の瞬間移動能力者(テレポーター)。

 横島に対しては、性別を抜きにした友人として付き合いたいと考えている。
 また横島以外の家族、横島宅を訪れる六女の生徒達とも仲良くしたいと考えており、実際、三人の中で一番彼女達と親しいのは葵だ。

 薫のように「にいちゃん〜」と無警戒にジャレつく事もできないし、紫穂のように横島を玩ぶ事も恥ずかしくてできないのだろう。しかし、彼女なりに横島を慕っている事は確かだ。
 傍目には「ボケとツッコミ」の関係にしか見えない。葵にとってもそれは本望だろう。


三宮 紫穂

 B.A.B.E.L.所属の特務エスパー、チーム『ザ・チルドレン』の一人。
 超度7の接触感応能力者(サイコメトラー)。

 横島を年齢を抜きにして女豹のように狙っている。割と捕食方面で。
 横島に文珠で心を読まれかけた事が、彼女の感応能力者としてのプライドを大いに刺激したらしい。更に彼の心を読もうとすると、心の中に信じられないくらいに強固な精神防壁が張られていた。
 そのため、心を読む事を気にも留めず、隠し事をしようにもすぐ態度に出る横島の事を微笑ましく思い、慕ってはいるのだが、少なからずライバル心も抱いており彼をからかわずにはいられない。
 そして、精神防壁の主、ヒャクメに対しても並々ならぬライバル心を抱いている。

 警察庁長官を父親に持つ。と言う事は、警察庁の下部組織であるオカルトGメン日本支部の美智恵や西条は、紫穂を「お嬢様」として扱わなければならないのだろうか?


梅枝 ナオミ

 B.A.B.E.L.所属の特務エスパー、コードネームは『ワイルド・キャット』。
 超度6の念動能力者。
 一見おキヌちゃん系、しかし裏の顔は美神系?

 超能力者としては、パワーでは薫に敵わないだろうが、その分技術では圧倒的に勝っていると思われる。
 原作にあった、心臓の血管にめり込んだ弾丸を、血管が破裂しないよう圧力を掛けたまま摘出するなど相当精密な力のコントロールが必要だろう。
 また『念動失神制圧(サイキック・スタン・サブジェクション)』は、その字面、効果から推察するに念動能力で神経や血管を攻撃して、心臓や脳の機能に異常を起こして失神させる物なのだろう。
 弱い力でも致命傷に成り得ると言われている行為なのに、その後それを受けた者達に対して蘇生措置を行っている様子は無い。
 これもやはり、ナオミが絶妙のパワーコントロールで相手を行動不能に陥らせ、かつ命に別状がないラインを見極めているためだと考えられる。


皆本 光一

 『ザ・チルドレン』現場運用主任、二尉。
 子供の頃から天才児としてエリート街道をひた走り、研究者として名高い。

 高い知性と優れた分析能力を持っているが、そのせいで科学で証明できない物を信じきれない面がある。
 今までは「わけのわからないもの」としてマスコミでも扱われていたオカルトが、アシュタロスとの戦いの後、科学的に証明されないまま一般的に報道されるようになってきたため、現在は霊能力を科学で証明しようと躍起になっている。

 これは超能力研究者として極々自然な行動だと言えるだろう。別段皆本が特別オカルトを信じない人間だと言うわけではない。


桐壺 帝三

 内務省特務機関、超能力支援研究局『B.A.B.E.L.』の長官。
 美智恵は彼と対等に渡り合っているが、立場的にはまったく違う。オカルトGメンの上がオカルト関係の人間ではないので美智恵がトップのように思われているフシがあるが、彼女はあくまで現場運用のトップ。立場的には皆本の少し上と言ったところに過ぎない。
 それに対して、桐壺は本当の意味での組織のトップである。

 超能力と霊能力の差については、超能力研究者に比べればある程度柔軟な考え方だと言える。しかし、やはり科学的な証明にこだわっていて、霊能力を調査したいと考えているようだ。

 現在、最も興味があるのは「万能の霊能」と呼ばれる文珠である。


柏木 朧

 桐壺の秘書、一尉。年齢不詳の美女。


谷崎 一郎

 『ワイルド・キャット』の現場運用主任、一尉。
 性格はともかく、特務エスパーを育成する能力は相当高いと思われる。
 …欲望は強し?


陰陽寮

蔵人 醍醐(クラヒト ダイゴ)

 極一部の人達のヒーロー。
 「帰ってきたどっちの除霊ショー」終了後は、流石に陰陽寮に連れ戻された。
 しかし、だからと言って陰陽寮の主な仕事である除霊具の製作に携われるわけでもなく、今も京都でGSの仕事を続けているらしい。
 仕事の成功率自体は高く、使用する破魔札も自家製で陰陽寮に経済的な打撃を与えているわけでもないので、誰も文句を言えないでいる。

 とことん無能な蔵人だが、実は運の良さ以外にたった一つだけ、人より優れた点があったりする。
 なんと、彼は破魔札製作における粗製乱造のプロだったりするのだ。性能は市場で流通してる物と比べて相当劣るが、とにかく数を作る。
 彼のセンスにおいては一枚に力を込めて作るよりも、一気に大量に作って最後に紙吹雪のように舞わせた方が格好良いからだ。それ以外に理由はない。

 それだけのために古から伝わる破魔札製作の魔方陣をアレンジした事になるのだが、本人はどこをどうアレンジしたかなど覚えていないだろうし、理解もしていないだろう。
 何故なら、それは彼の格好良さには繋がらないから。彼は大量の破魔札を使って、派手に格好良く除霊できればそれで良いのだ。


TV出演していたママさんGS

 『帰ってきたどっちの除霊ショー』のラストで、令子達の見ていたTV番組に出演していた陰陽寮所属のママさんGS。実は六女の生徒、早生成里乃の母親。


六道女学院

六道夫人

 日本のオカルト業界を影で牛耳るかも知れない六道家の現当主。
 六道家は元々陰陽寮に属していた陰陽師の一族なのだが、数百年前に独立。今は立場が逆転して六道家が陰陽寮を従えているような力関係にある。

 日本で唯一、公に除霊を教えている学校法人『六道女学院』の理事長でもある。教育者としては…どこか間違っているかも知れない。

 除霊実習は危険なため、実は霊能科入学者全員が「怪我したり、死んだりする事がありますのでご了承ください」といった旨の同意書を提出している。
 六道夫人曰く、本当に強い霊能力者を育てるなら子供の内からでないといけないとの事だが、除霊実習を行うならこの同意書が必須のため、義務教育の内は除霊実習を行う事ができない。
 そのため、不本意ながら六道女学院は高校のみなのだ。
 大学がないのは、三年も修行して霊能力者として開花しないなら、もう諦めなさい。…と言う事に『黒い手』世界観ではなっている。

 横島を狙っている一人。彼を六道家に迎え入れたいだけでなく、アシュタロスの配下、人類の裏切り者として報道された事に対するフォローの意味も含まれている。
 TVに出演する際に六道家所属式神使いの礼服を着せたりと、世間に「六道家の人間」と誤解させる事については着々と成果を上げているようだ。

 『黒い手』シリーズでは六道女学院が豊島区目白、六道女子寮、横島除霊事務所が豊島区雑司が谷にあると設定しています。これは横島除霊事務所が山の手にある事を考慮し、六道女学院のイメージを学習院大学から持ってきたためです。
 有喜とむさしが遠いですが、六道女学院の特殊性を考えて、これぐらいならギリギリ通えるだろうと東京方面の地理に詳しい人達と話し合った上で判断しました。


弓 かおり

 東京出身、文京区在住。これは『闘竜寺』のイメージを護国寺と重ねているため。
 除霊師の名門、弓家一門の総本山『闘竜寺』の一人娘。
 幼い頃から決して悪霊に負けぬようにとスパルタ教育を受けてきたサラブレッド。
 厳しい修行を課された理由は、祖父が除霊中に亡くなってしまい、十五才の若さで当主を継いだと言う父の過去にある。

 本人は隠しているつもりだが、隠し切れないぐらいにミーハー。
 令子に憧れ、今は横島にも憧れている。ただ、令子の方は雲上人のように感じているが、横島の方は割と身近に感じているらしい。最初の印象が悪かったためかも知れない。

 元々友人が少なかったため、横島宅に皆で集まるのをとても楽しみにしている。
 寄り道に誘われた時などは、口では嗜めながらも一番楽しそうにしている。
 割と典型的な世間知らずのお嬢様かも知れない。


一文字 魔理

 かおりと同じ中学校だったので、やはり文京区在住。
 生まれ付いて強い霊力を持っていた、元・不良少女。中学生の時、川原で喧嘩中に悪霊が横槍を入れてきて、それを撃退しようとして霊力に目覚めた。
 実はかおりが令子を雲上人として見ていたように、魔理はかおりを雲上人のように見ていた。それが、最近は同じ高さの立ち位置にかおりが降りてきたような感じで戸惑っている。今のかおりに対する感情は、かおりが横島に向けるそれに近いのだろう。

 今は小笠原GSオフィスの除霊助手として修行中。エミからは、かなり厳しい霊的防御力を高める修行を課されている。
 しかし、プロのGSの助手として実際に除霊の現場に出ているので、周囲からは羨ましがられているらしい。特にかおりに。


早生 成里乃(ハヤセ ナリノ)

 由来:お茶の品種名「寺川早生」、「成里乃」

 A組の着物娘。京都出身、寮生。
 母親が民間GSで、母は「娘が資格を取るまでは」と今も現役として活躍している。
 理知的な落ち着いた性格で、いつのまにかA組のリーダー格になっていた。
 母親は簡易式神を使っての除霊を得意としていて、自らも式神使いとなるべく六道に入学したが、六道夫人と冥子を見て式神使いになるのをやめたという過去がある。
 しかし、GS資格取得試験挑戦にあたり母から式神和紙を貼り付けて使う神通扇が送られてきたため、自らも簡易式神を使うようになった。

 成里乃の母親は、GSとしてはかなり高年齢の部類に入る。民間GSの現役時代は基本的に短いため、成里乃としては早く母親を引退させたいと考えている。

 自分が資格を取れば母も引退してくれるだろうと考えて、六道女学院在学中にGS資格取得試験に挑戦。見事にベスト8の成績で合格したことにより彼女の現在の立場は六道家所属の見習いGSと言う事になる。
 これからは横島除霊事務所預かりの身となり、横島の下で見習いGSとして頑張っていくことになるだろう。


 普通に考えると、六道家所属の見習いGSが、正式に六道家に所属しているわけではない横島に預けられるわけがない。これは六道夫人の罠である。


天城 美菜(アマギ ミナ)

 由来:わさびの品種名「天城にしき」、葉大根の品種名「美菜」

 A組の仮面娘。東京出身、練馬区在住。
 戦闘時のある種好戦的な性格に反して、普段はぼーっとしている少女。
 父親がGS協会の事務員をしている。
 愛用の仮面はGS協会に「呪われた仮面」として処分するべく持ち込まれた物で、調査の結果呪いなどかかっていない、むしろ着用者の霊力を引き出す効果があると判明したが、依頼者は気味悪がって引き取らなかったため、美菜の父が「娘の役に立つかも」と依頼人と交渉して買い取った。


香月 姫(コウヅキ ヒメ)

 由来:りんごの品種名「香月姫(カゲツヒメ)」

 A組の原作で出番ナシ娘。青森出身、寮生。
 登場したはいいが姫が出る前にあっさり決着が付いてしまったため、本当に台詞も出番も無い。チラっと姿を見せただけ。

 実家はりんご農園を営んでいる。
 家族にオカルト業界の関係者はいないのだが、生まれついて人より少し強い霊力を持っており、興味本位で六道に入学した。
 霊力を扱う事に関してはまだ拙く、持ち前の身体能力を活かした戦い方を得意としている。
 能天気な性格で目立つ容姿の持ち主だが、意外と影が薄く、本人もそれを自覚していて気にしている。


張 霞(チャン シア)

 由来:三国志の登場人物である中山の豪商、張世平

 D組のキョンシー娘。中国、広東省出身、寮生。
 中国出身の留学生。化け猫と化した飼い猫に取り憑かれた経験があり、それをチベットから来たネクロマンサー(おキヌにネクロマンサーの極意を伝えた老婆)に助けられたが、その際に化け猫の力を受け継ぎ、霊力を身に付けた。
 「猫憑き」という風聞のために、故郷では師匠となるGSを見つける事ができずに日本に来た。

 実は変わり者が揃っている六道屈指の常識人で突発的な出来事に弱い。
 化け猫の霊力を受け継いだわりには性格的に子犬系なところがあったりする。

 当然、化け猫から受け継いだのは妖力だが、それは今の所張霞の魂に内包された状態で表には出てきていない。霊力を鍛える前のルシオラの魔力を内包していた横島と同じ様な状態になっている。
 今後、霊能力者として成長していけば、もしかしたら横島の腕が魔族化したように、彼女にもネコミミが生えるかも知れない。


舞浜 静美(マイハマ シズミ)

 由来:舞浜大橋、蜆

 D組のオールマイティ神通棍娘。東京出身、江戸川区在住。(舞浜は千葉だけど、由来の大元は蜆なので江戸川)
 子供の頃のあだ名は「しじみ」、高校に入ってからオールマイティなためこれと言って能力的に特徴もなく、しかも無口で目立たないために「ジミー(地味)」というあだ名を付けられてしまった名前運の無い子。
 警察官である父も無口で、父が警察署で催している剣道教室に通い、一緒に剣道をするのが子供の頃からの数少ないコミュニケーションだった。そのため、静美も相応の腕を身につけ、現在の戦闘スタイルにも影響している。
 GS資格を取るまでに霊刀を使えるようになりたいと日々修練に励んでいる努力家。


薬師堂 有喜(ヤクシドウ ユキ)

 由来:高尾山薬王院薬師堂、有喜寺

 D組のイージス娘。東京出身、八王子市在住。
 血筋的にはフランス人とのクォーターだが、フランス人である祖母が日本に帰化しているため、実は海外に行った事はない。
 薬師堂家は旧家で六道の一年生の中では弓かおりに次ぐお嬢様。ただし、霊能者の家系ではない。
 家では着物を着てすごし、華や琴、日本舞踊なども嗜む才女。
 そうやって育ってきただけに霊力はあっても戦闘的な事にはまったく向いておらず、『イージス理論』というスタイルに辿り着いた。


逢 大和(ユタカ ヤマト)

 由来:戦艦『大和』

 G組の触覚娘。奈良生まれの大阪育ち、寮生。
 原作では苗字の「逢」はしんにょうが無いのだが、パソコンで表示されないためにこの字に。実は当て字で「ユタカ」とも読めなかったりする。
 大和撫子に育って欲しいとの願いを込められた名前なのだが、それならせめて「撫子」と言う名前にしてくれればと、自分の名前には色々と言いたい事がある様子。

 実家は奈良の方にあるが父親がGS協会関西支部の幹部に招聘されて、幼い頃に大阪に引っ越した。
 落ち着いた大人として振る舞っているが、実は感情的になると関西弁が出てしまうのを防ぐため。
 弓かおりと近親憎悪的に仲が悪いが、周りから見れば似た者同士。学校ではGS協会幹部の娘として周囲から見られている事もあって高圧的な面も見せているが、その反面、寮では素の自分をさらけ出して割と気楽にやっているらしい。でも、関西弁はやっぱり隠している。


Mary=Hornet(メリー ホーネット)

 由来:コロラド級戦艦『メリーランド』、エセックス級空母『ホーネット』

 G組のケモノ娘。コメリカ、サンディエゴ出身、港区在住。
 母がレストランのオーナーで、父はそのレストランのシェフ。外見は母譲りだが、性格はその母の尻に敷かれる父に似ている。
 自分の名前を表記する際に『峰』の一文字を使うが、これは日本で暮らし始めてハンコを作る際に使用した当て字。日本で暮らし始めた当初、英語で書いても何と読むのか聞き返される事が多かったので、自分で名前を書く時も当て字を使用する様になった。
 この当て字のために「ミネ」と呼ばれる事も多い。

 大柄な体格で周囲からも頼りにされているが、実は気が弱い。獣化能力はそんな自分を変えようとした結果だったりする。
 未知のモノを特に苦手としており、悪霊を目の前にするのは良いが、怪談を聞くのは苦手。戦いにおいてもまずは情報収集を第一として相手の事を知る事からはじめ、決して無理はしない。


神野 むさし(コンノ ムサシ)

 由来:戦艦『武蔵』

 G組の劣化おキヌ、もとい日本限定巫女娘。埼玉県在住、自宅から通学。
 祖父が国木田独歩のファンだったために「武蔵」と名付けられかけたが、あまりにも厳ついと両親が反対し、平仮名で「むさし」となった。
 神社の娘で、家での修行があるためにかなりの時間をかけて通学している。

 一番得意としているのはヒーリングなのだが、それだけではGSにはなれないと精神感応能力を身に付けた。しかし、本人の精神防御がまず弱い。
 同じ巫女装束という事もあっておキヌを一方的にライバル視しているが、当のおキヌがその事に気付かず、むさしを友人と思っているため、思い切り空回りしている。


愛子組

高松

 愛子組の生徒の一人。
 人間・愛子の母校がある町に移り住んで三十年近くになり、今や地元の名士でもある。

 実家が『高松TOY』と言うおもちゃメーカー。最近息子に社長の座を譲って会長となっている。現在は仕事の大半を息子に任せて自分は『愛子組』の運営に専念するようになった。

 猪場とは三十年以上の付き合いで、若い頃はGS猪場の相棒として活躍していた。
 更にもう一人を加えた三人で除霊事務所をしていたのだが、そのもう一人とは…。


美衣

 かつてゴルフ場建設のために住処を奪われようとした時に横島に助けられた猫又親子の母親。何かこだわりがあるのか、今もボディコンを着続けている。
 その後、別口の工事で住処を追いやられ、人間と妖怪が共存していると言う『愛子組』の山に逃げ込んだ。

 山では、人間とのコミュニケーション能力の高さが買われて、人間と妖怪の仲介役をしたりもしている。
 美衣の料理を目当てに、山から降りてくる妖怪もいるとか。


ケイ

 美衣の息子。れっきとした男の子。
 横島に憧れており、今は立派なGSになれるようトレーニング中。

 雪之丞が別れ際に「自然の中で野生を磨け」とアドバイスしたらしく、今の主なトレーニングは日夜山を駆け回る事。
 山菜を取ってきたりと、山の幸を持ち帰るので美衣に好評らしい。


小田切 あゆみ

 横島の前に愛子の学校に飲み込まれた生徒。現在は大学生。
 流石にあの山に常駐しているわけにはいかず、長期の休みが取れる時だけ山に訪れている。
 作中に名前だけしか登場しなかったのも、当時は山にいなかったため。

 (有)椎名百貨店の「ポケットナイト」に出演していた小田切あゆみ。改造ネズミ、ムラマサを匿っていた。
 原作の「教室漂流!!【その1】」で高松がクラスメイトを紹介するコマの左端、ブレザー姿の女子高生が高校生になったあゆみ、と言う風に勝手に設定しています。髪型が似ていたので。

 実はそのコマで猪場とあゆみの間にいる、髪がショートのセーラー服姿の女子高生こそが、改造ネズミ、ムラマサを狙っていた日須持桐子…と、これまた勝手に設定しています。時の流れは残酷です。

 その日須持こそが、若き日の猪場、高松とともに除霊事務所をしていた三人目のメンバー。当時の彼女は二十代、まだ若いです。

 愛子組のメンバーは、様々な時代から集められたメンバーである事を表現するために、あゆみ(仮)の髪型が似ている事と日須持(仮)の髪の色(トーン)が同じ事から「これだ!」と思って、この設定を組み込みました。


その他・人間界

横島 百合子

 会社に訪れただけで株価を変動させる歩く超常現象主婦。人呼んで『村枝の紅ユリ』。
 横島曰く、家では特売好きのただの主婦らしい。

 息子が学生の内に独立して事務所を設立する事には反対する立場だったが、横島が業界でどれだけ注目され、活躍しているかを知って、仕方なく許す事にした。
 それでも、心配である事には変わらないので、今後は大樹の監視を緩めてでも、時折帰国して横島除霊事務所を訪ねる事になるだろう。

 愛情深い母親で、子育てに掛ける情熱は凄まじいの一言。
 煩悩一直線のケダモノもかくやな大樹を見事な紳士に変貌させ、その大樹の煩悩を受け継ぐ横島に強固な倫理観を教え込んだ名調教師である。
 ただ、大樹を教育したのは失敗だったかもと悩んでいるそうな。


横島 大樹

 村枝商事ナルニア支社の支社長。
 武装ゲリラと日々死闘を繰り広げる戦う管理職。対人戦闘においてはもはやプロ級。

 アシュタロス戦後、世界中で力は弱いが、超能力、霊能力に目覚める人が増えていて、ナルニアでは武装ゲリラや、警備隊により人材の奪い合いが始まっている。そちらの戦いでプロになる日も近いかも知れない。

 一見、息子をないがしろにしているようだが、実際にないがしろにしている。
 しかし、それは息子を子供扱いせずに一人前の男として見ているからだ! と本人は言い張っているが、真相は定かでは無い。


クロサキ君

 村枝商事社員。
 元はとある大企業で色々とやっていたが、色々とあって逃亡する立場となった。
 海外に逃亡するフリをして日本に潜伏する事にし、今に至る。

 元は百合子の部下で、彼女が出産のために退社する際に大樹の事を任されて、今は大樹の部下として動いている。
 横島が除霊事務所を設立すると、海外にいる大樹、百合子の代わりにすぐさま挨拶に出向き、影で色々と手助けをしたりもしていた。
 百合子が横島の独立を認める事になったのも、実は彼が用意した横島に関する資料のためだったりする。

 有能な人物だが、「犬としてしか生きられない」性格らしく、今は横島家の犬とも言うべき立場にある。
 今の自分の立場に満足していて、割と気楽にやっているようだ。


貧乏神

 貧乏神、福の神に変わったはずだけど貧乏神。
 「名は体を表す」と言うことだし、周囲が貧乏神、貧乏神と言っているから、彼はいつまでも貧乏神なのではないだろうか。

 とは言え、腐っても福の神。最近は力をつけて健康運を招けるようになった。結果として小鳩は横島宅に居候する事になったので、恋愛運も招いているのかも知れない。
 病弱な小鳩の母を思っての事かも知れないが、あくまで金運は招けないあたりやっぱり「貧ちゃん」なのだろう。


厄珍

 除霊具を扱う、オカルト業界人御用達の骨董品屋。
 法律スレスレの事もやっていて逮捕された事もある悪徳商人。

 横島が独立する際に、事務所を飾り付けるための除霊具をプレゼントした。…が、それは既に使う者が誰もいない旧式のガラクタだった。
 ちなみに、いつ頃の物かと言うと六道夫人、猪場が現役の頃の物。当時、猪場が白兵戦においてトップクラスだったのは、武器がこんなガラクタだったので、肉体と霊力を駆使したプロレス技で戦う猪場が有利だったためとも言えるだろう。


ミンキン姉妹

 超能力排斥団体『普通の人々』のエージェント、要するにテロリスト。
 姉がマリア・ミンキン、妹がアメリア・ミンキン。二人揃って少女虐待のプロ。

 百合子と戦ったが、完全敗北した。
 年を考えてください。


マスク・ザ・ジャスティス

「どこの誰だか知らないけれど、誰もが皆知っている! そう、僕の名はジャスティス! 覆面の快傑 マスク・ザ・ジャスティスッ!!

 白いスーツを着こなし、白いマントをなびかせて、白い覆面にサングラスを掛けて顔を隠した、全身白尽くめの謎のヒーロー。
 「オカルトGメンきっての好青年、西条輝彦ではない!」と言い張っている。


ダテ・ザ・キラー

「戦場を駆ける黒き閃光! 敵か味方か、謎のヒーロー ダテ・ザ・キラーッ!!

 全身黒い魔装術に身を包んだ謎のヒーロー二号。
 「ニヒルでクールなライバル、人呼んで伊達雪之丞…ではない!」と言い張っている。


ベルゼブル

 倒しても、どこからともなくまた現れる≪不滅の双翅目≫。
 コイツが本体…ではなく、本体から生み出されたクローンを生み出す能力を持つオリジナルクローン。

 コスモプロセッサで復活して、本体から離反したオリジナルクローンは滅んだが、今日もどこかで新たなオリジナルクローンが飛んでいるだろう。


妙神山

≪闘戦勝仏≫斉天大聖

 猿神(ハヌマン)、斉天大聖孫悟空。天にも等しい大聖者。れっきとした仏。
 妙神山の真の主。横島の師匠であり、横島は彼の事を「猿神師匠」と呼ぶ。

 人間界に駐在している神族の中では最強格の武神。どれほど強いかと言うと、人間界への影響を考慮して、普段は異界に引っ込んでいなければならないぐらい。
 そういう意味では、厳密には人間界に駐在しているとは言い難いかも知れない。現に異界へのチャンネルを閉じられた時に、猿神は表に出てくる事ができなかったのだから。

 言うまでもなく中国の神、おそらく仏教伝来の頃に日本に渡って来たと思われる。
 その後、多くの仏が伝来しても、日本が神属性に転じず神魔混合属性であり続けたのは、妙神山の影響も大きいと思われる。


小竜姫

 妙神山の管理人。猿神が普段は人間界の方に出て来れないので彼女が代行している。
 横島の才能を最初に見出したのが小竜姫であり、今は姉弟子となる。

 何故か角が大人の物に生え変わらず、竜神族特有の術が一切使えない。
 そのため、剣術を極めて武神と呼ばれるまでになったのだが、彼女の歩んできた道は決して平坦な物ではなかった。

 『闘戦勝仏』斉天大聖の項にもあるが、彼女も元々は中国の神で仏教伝来と共に日本に渡って来た。
 しかし、それは決して名誉なものではなく、猿神が仏教未開の地日本に行く事になったのは、仏になった後もその性格が災いして騒動を起こしていた彼に対する左遷のような物だった。

 そんな彼のお供としてつけられた小竜姫もまた、竜神族から左遷されたようなものだ。
 前述の通り、小竜姫は角の生え変わらない竜神としては欠陥品。そう、捨てられたのだ、彼女は。
 猿神がはじめて小竜姫に会った時、彼女は暗い目をして、無表情なガリガリに痩せた少女だった。

 そんな術を使えない竜神である彼女を弟子にして、猿神が武術を教え込んだのは、小竜姫をそのように扱った竜神族に対する反骨心もあったのだろう。
 武の道に自分を見出した小竜姫はめきめきと実力を向上させるが、武神として名が知れ渡り、竜神族が彼女に対する態度を改めても、角が生え変わる事はなかった。

 …と言うのが「はえてないしょうりゅうきさま」の元々のネタだったのですが、雰囲気が暗くなりそうだったので容赦なく斬り捨てました。
 そして設定だけ利用して書いたのが今の「はえてないしょうりゅうきさま」です。


ヒャクメ

 神族の調査官。元々は妖怪だったが、神格を得て神族となった神妖。
 アシュタロスの戦いにおいて最後まで戦い抜いた神族の英雄、として扱われているが、本人がそれを嫌がって自ら妙神山に転任してきた。

 妙神山における彼女の仕事は、修行者の霊力の質を見極める事。
 独自の霊能を持つ者が増えてきたため、修行者に合わせて修行できるようにするためだ。

 …が、赴任して以来妙神山に訪れた修行者は、横島、タイガー、ピートの三人だけ。
 猿神が何故普段ゲーム猿であるかを理解し、こんな環境でも平然としている小竜姫に敬意を抱きつつ、横島の私生活を覗き見する日々を送っている。

 密かに紫穂にライバル視されている。


パピリオ

 ルシオラ、ベスパの妹。
 デタント推進のために魔界正規軍から派遣された交換留学生…と言う名目で妙神山に滞在しているが、そう言う立場になる前から妙神山で暮らしていた。
 頭は良いのだが、いかんせん幼稚なため、魔界正規軍に提出される報告書は絵日記調。これを翻訳するのは三界連絡員であるジークの仕事だ。

 ルシオラ復活の時、本当はベスパと一緒に魔界に帰るつもりだったのだが、三人とも魔界に帰ってしまうと横島が人間界に一人ぼっちになってしまうと自分一人罰せられるのを覚悟の上で妙神山に残った。
 パピリオがいなければ横島も助からなかった事を考えると、このパピリオの決断は大英断だったと言えるだろう。

 そんな事もあって、パピリオにはベスパに横島の事を任されたと言う自負がある。そのため、何かと横島の保護者たろうとして空回りしている。

 妙神山ではペット禁止なため、剛練武(ゴーレム)と禍刀羅守(カトラス)をペット代わりに可愛がっている。
 ペット可だったとしても、地獄の番犬ケルベロスなど飼えなかっただろう。


メドーサ

 魔性に堕ちた元・竜神。堕ちる際に自分の角を引き抜いた過去を持つ。
 情報分析能力に優れていて、特に戦闘に関する情報収集をライフワークにしている。
 実はヒャクメと話が合うかも知れない。

 コスモプロセッサで復活した魔族の内、既に一度滅ぼされていた者は無罪放免のはずなのだが、メドーサは今までの罪が重すぎたため、神族監視のもと幽閉される事となっていた。
 しかし、ある程度の自由があって、どこに幽閉されるか選べたので、「ゲーム猿」が管理人の妙神山に幽閉される事をメドーサ自らが選んだ。

 小竜姫は、メドーサと一つ屋根の下に暮らす事に戸惑っているが、その割には容赦なく麓までの買い物を頼んでいる。


鬼門

 令子に目隠しして負けた事を悔やんで、気配で相手の位置を掴む術を身に付けた。
 彼等も影で努力している。
 でも、目立たない。


その他・神界

『キーやん』

 神界の最高指導者。と言っても神界には最高指導者が三柱いる。
 彼の部下に天使達がいるが、天使の軍勢は反デタント派が多い軍勢でもある。


ルシオラ領

ルシオラ

 アシュタロスとの戦いの際に、横島を助けるために命を投げ捨てたホタルの魔族。
 横島の半魔族化に伴い、魔族化した腕から抜き出されて見事復活を果たした。
 しかし、魔力が足りなかったのか、今は幼児の姿になっている。

 彼女も横島と同じ魂の中に霊力と魔力を併せ持つ珍種。
 性格は基本的に昔のままのだが、横島がルシオラの影響を受けたように、彼女も影響を受けまくっている。主に、おバカな方面で。

 趣味は研究、発明。
 子供の工作と侮るなかれ、魔界でも指折りの知恵者、技術者として名を馳せたアシュタロスの娘である。
 発明する目的は趣味に走った物だが、完成する物は新型ハニワ兵を筆頭に、異界を常時監視できるモニター『ペス』、食材から生み出される合成獣等、趣味レベルで済ませられる代物ではない。

 最近、≪ソロモン先生≫の後見を受けて、アシュタロスの領地を受け継ぐ事となった。
 新魔王見習いとして、ルシオラがどういう道を歩んでいくのか…彼女の戦いは始まったばかりである。


ベスパ

 復活した姉ルシオラに振り回される苦労人。横島の事も「にいさん」と呼ぶ…とすると、薫のシスター?
 アシュタロスとの戦いの後は魔界正規軍に所属していたが、育児休暇を取っている内に、ルシオラの魔王就任に合わせていつの間にか勝手に退役させられてしまっていた。
 現在は魔王ルシオラ私兵軍の軍団長と言う立場になる。

 女性的なスタイルの良さを誇り、顔立ちも派手な美人なのだが、性格は至って保守的で、真面目な堅物。
 家では意外とおとなしめの服装を好み、ルシオラにも同じように、おとなしめの子供らしい服装を求める。そのため、街に買い物に出たりすると姉妹なのに、妹であるベスパの方が「子持ち未亡人」と呼ばれたりしている。しかし、本人はその事を知らない。
 いずれ横島とパピリオが魔界に来たら「再婚相手と連れ子」と呼ばれるだろう。 


ハーピー

 美神達が怖くて魔界で隠れていたのに、コスモプロセッサにより人間界に無理矢理召喚されて帰れなくなっているところを横島に助けられた怪鳥。
 本来はクレタ島の風と嵐を司る女神。それがいまや魔族と言う事はワルキューレやジークのように『キーやん』達の手により魔族に堕とされた過去があるのだろう。
 神話の上でも、弱い者を率先して襲い、強い者には襲い掛からず罵声を浴びせるとされているので、元々ヘタレな腰抜けだったと思われる。


グーラー&ガルーダ

 食人鬼女(グーラー)は精霊ジンの亜種。
 横島の影響で人を食べるのを止めたが「これは牛を食べるのを止めて豚を食べるようになりました」程度の話で、身体的に無茶な事をしているわけではない。

 グーラーが引き取って育てているガルーダの雛鳥達。
 ガルーダはバリ・ヒンドゥーの魔鳥で、人間界では破格の力を持っていたため、デタントの流れが始まった頃に種族ごと住処を魔界に移された過去がある。
 魔界の瘴気が肌に合ったらしく、その後すぐに魔界に適応したらしい。

 グーラーは魔界の瘴気に力を奪われ、ガルーダは人間界の空気に合わない。
 そんな状況下でグーラーは、自分の身が危うくともガルーダ達のために魔界に行く事を選んだ。

 ハーピーと共にルシオラの城で暮らす事となり、ガルーダは庭を駆け回り、グーラーはコタツ…ではなく、中立空間である魔鈴の家で養生している。


プロフェッサー・ヌル

 マニアックな性格のタコ型魔族。
 趣味は情報収集と本人は言い張っているが、傍から見ると盗撮。

 彼もコスモプロセッサにより人間界に召喚されたが、アシュタロスが倒された直後に、自分で魔界へのゲートを開いて帰還した。この時点で、自力で戻る事のできなかったハーピー達より強い魔族である事がわかる。

 魔界においては、暇なのをいい事に足を切り落としては再生してゲソバルスキーを量産。立派な一勢力になっていたのだが、グーラーに惚れ込んでしまい、ルシオラの指揮下に入った。


三つ目の町長

 ルシオラ領の経済の中心地である商業都市の町長。
 最近、腰紐のきつさが気になってきた。
 額に縦に開く第三の目を持つ魔術を得意とする種族なのだが、本人は魔術は一切使えない。


熊の族長

 森に住む熊に似た姿をした戦闘部族。彼は他の同族よりも一回り大きい身体を誇る。
 策を弄して戦うプロフェッサー・ヌルのような存在を嫌うが、彼だけに限らず、知恵を以って戦うのを嫌う。力と力のぶつかり合いを求める性格。
 技術者タイプで、策謀を好むルシオラとも相性は悪いと言える。


大きな角の魔族

 元はアシュタロスに仕えていた文官で、プロフェッサー・ヌルの同僚。親しいわけではない。
 魔界の貴族。今は三つ目の町長の街の郊外に屋敷を構えて暮らしている。
 昔のアシュタロスに近い、つまり反デタント寄りの思想を持っているので、ルシオラ達にとっては付き合いにくい相手だ。


その他・魔界

『サっちゃん』

 魔界最高指導者。本当の意味で、魔界で≪魔王≫と名乗れるのはこのお方だけ。
 ただし、デタントの流れにより、力を振るう事ができないため、地方ごとの実力者達を「魔王級」に任命して、自治させている。
 逆に言えば、それだけ強いと言う事だ。魔界でちょちょいと力を振るうだけで、神界、人間界に影響を及ぼす程に。
 「力が全てを支配する」魔界の「全てを力で支配する」者、それが『サっちゃん』である。


≪ソロモン先生≫

 元・古代イスラエルの統治者であり、魔界に舞い降りた偉大なる≪知識と魔術を統べる王≫。
 魔界に学校を作り、七十二柱の大悪魔に教育を施し更正させた熱血教師、人呼んで≪ソロモン先生≫。アシュタロスの恩師にあたる。
 魔界に力以外のルールを初めて持ち込んだ人物。

 七十二柱の大悪魔の中には、後に魔王級になった者達もおり、アシュタロスも含めた皆が、今も≪ソロモン先生≫を慕っているため、魔王を統べる魔王、すなわち『大魔王』と呼ばれる事もある。

 アシュタロスが行方をくらませてから数百年間、彼の領地を預かっていた。
 彼が滅んだ後、その領地をどうするのかと言う話になった時、アシュタロスの娘、ルシオラを新魔王にしようと提案し、自ら後見人となった。

 ちなみに、アシュタロスが行方をくらませた原因と言うのは、人間界で平安時代に美神とヒャクメによって強制的に数百年先へ時間移動させられたため。


真の≪蝿の王≫

 『暴食』を司る強大な魔王。
 神界と魔界が争っていた頃は『サっちゃん』の副官を務め、空軍を率いて天使軍と大空中戦を繰り広げた。

 単純に力の大きさだけで言えば、『サっちゃん』に次ぐ力を持つ魔王級…なのだが、今は反デタント派の大御所でもある。
 ここまで高位の存在となると、『サっちゃん』達と同じような視点で世界を見れるようになるらしく「魔族は闘争しなければならないが、やり過ぎると世界が滅びる」とも考えている。
 そのため、反デタント派が暴走しないように裏から監視しつつ、自らは世界のバランスを崩さぬように表舞台から姿を消してしまった。

 しかし、そんな状態でいるとやはり暇を持て余してしまうらしく、オリジナルクローンと言われる、コピーを作って増える事ができる小さなクローンを生み出し、人間界に放ったりして遊んでいる。
 これは下級魔族程度の力しか持たないため、黙認されているようだ。


≪激怒の魔神≫アスモダイ

 魔王≪激怒の魔神≫アスモダイ。≪ソロモン先生≫の教え子七十二柱の悪魔の一柱である。
 上半身は人間だが、両肩にそれぞれ雄牛とアヒルの頭を持ち、下半身はガチョウで蛇の尾を生やした姿を持つ巨人。
 元々は智天使のリーダーだったはずなのだが、それが信じられないぐらいの≪激怒≫な強面だ。常に怒っているわけではないのだが、そういう顔をしている。

 魔界正規軍の大総統。
 魔界正規軍とは、≪ソロモン先生≫の教え子達が、デタント推進のために動く『サっちゃん』直属の軍として結成した物だ。
 魔王級はそれぞれに私兵の軍団を持っているが、それとは全くの別物。当然≪激怒の魔神≫も自分の領地には魔界正規軍ではない私兵の軍団がいる。


『ルー坊』

 魔界正規軍情報部長官≪光を避ける者≫ルキフゲ・ロフォカレ。
 またの名を地獄の宰相ルキフグスと言う。

 『サっちゃん』に近い位置にあり、魔界正規軍が結成される前からデタント推進のために自分の私兵軍団を使っていた。
 魔界正規軍結成後は、立場上≪激怒の魔神≫の配下となったが、今でも『サっちゃん』の一番近くにいるのは彼なので、魔界における表向きのNo.2となる。

 情報士官であるジークフリードの上司にあたる。


≪悪霊姫≫ゴモリー

 魔界正規軍人事部長官。他にも趣味でセクハラ相談窓口を担当している。
 男性の恋愛に関する相談事は常時受付中。ただし、ゴモリーちゃんのセンスで答えるので、それが正しい答えとは限らない。

 ≪ソロモン先生≫の教え子、七十二柱の大悪魔の一柱であり紅一点。
 魔界最高指導者『サっちゃん』の娘でもある。
 それらを抜きにしても七十二柱の大悪魔達は彼女に対して強く出る事ができず、魔界正規軍の実質トップとも言われている。

 高貴な美貌、豪華な装い、気品のある立ち居振舞い。そして、その全てをぶち壊してしまいかねない軽い関西弁。その相反する要素が高次元で調和している癒し系美女。

 二十六の悪霊軍団を率いる公爵。
 吟遊詩人としても名を馳せた歌姫。ただし、好きな曲は演歌だそうな。


≪情欲の豹≫シトリー

 ≪ソロモン先生≫の教え子、七十二柱の大悪魔の一柱。豹の獣人。
 美の追求者を自称しており、ナルシストの気がある。
 六十の軍団を率いる偉大なる豹頭の王。
 しかし、同時に豹頭のオカマでもある。
 アシュタロスとはかつて一緒にウェイトレスをした仲だそうだ。

 ≪ソロモン先生≫の教え子達の間では≪豹の姐さん≫と呼ばれている。

 魔界正規軍、第二軍所属。特殊部隊を指揮する立場にあり、人間界に潜伏し、活動するためのエージェントを育成している。
 かなりの情報通で、仕事柄人間界の文化にもそれなりに詳しい。ただし、その性格ゆえか最も精通しているのは男女関係の機微についてだ。

 ワルキューレと鎌田勘九郎の上司にあたる。
 つまり、ワルキューレはオカマの上司と同僚に囲まれていると言うことだ。
 彼女が妙神山に逃げ込みたくなるのも仕方ないことであろう。


≪炎の獅子≫アロセス

 ≪ソロモン先生≫の教え子、七十二柱の大悪魔の一柱。炎のようなたてがみを持つ獅子を模った兜を被る全身鎧で身を固めた騎士の姿をしている。≪炎の獅子≫と言うのはその兜の事を指していて、アロセス自身が燃えているわけでも、獅子の頭をしているわけでもない。もっとも、その鎧兜も彼の一部ではあるのだが。

 人間文化に対する好奇心が強く、特に時代劇に関する資料を収集している。その影響を受けてか、普段から時代がかった口調なのだが、完全に理解する事はやはり難しいようで、武士、公家、江戸っ子等、さまざまな口調がミックスされた摩訶不思議な口調で喋る。
 一番好きな時代劇は『華が如く』、女華姫の生涯を描いた一部で熱狂的な人気を誇る時代劇だ。

 魔法界の動向を探るために魔法界に潜入し調査している最中に横島と出会う。魔法界では『ピエール之介』と名乗っていた。
 その際に殉教者部隊の襲撃に出くわし、横島やアンに正体を明かしてしまう。しかも、『殉教者』に宿る天使の魂を滅ぼしてしまったため、任務の途中で魔界に帰還する事になる。


≪突き崩す者≫アガレス

 ≪ソロモン先生≫の教え子、七十二柱の大悪魔の一柱。老紳士の姿をしている。
 今でこそ温和な性格をしているが、権威をはじめとし、果ては大地までをも『突き崩す』力を持つ三十一の軍団を率いる魔王級。
 全ての言語を使いこなすが、その言葉には謎と嘘が入り混じり『空言の王』と呼ばれる事もある心理戦に長けた策士であると同時に、自由自在に去り行く者を呼び戻し、留まる者を去らせ、非協力的な者を仲間に引き込む能力を持つ扇動者でもある。

 魔王級の中でもかなり古株の魔族で、デタント派の重鎮。皆の相談役でもあり、特に人間関係のトラブルについては彼に相談すれば大抵解決してしまうのだが、往々にして騙される事があるので注意が必要だ。騙されている事に気付かなければそれはそれで幸せなのかも知れないが。

 そんな彼が唯一敗北したのは、娘の結婚に反対した時のみである。
 元々は娘を溺愛する親馬鹿魔王だったが、≪ソロモン先生≫の下で教えを受けていた頃に、その娘がクラスメイトである≪水晶眼の貴公子≫ヴァサーゴと結婚すると言い出したのが騒ぎの発端だ。
 当然、アガレスは猛反対するのだが、娘は下手に父を説得しようとはせず、じ〜っと彼を見詰めて無言の攻めを繰り返した。そのためアガレスも得意の空言を繰り出す事も出来ず、最終的にはゴモリーちゃんの仲裁でニ柱が直接決闘する事になってしまった。

 今でも語り草となっているその戦いは引き分けに終わる事になるのだが、結局アガレスは娘との結婚を許す事になる。
 その当時は落ち込んでいたアガレスだが、孫が生まれてからは見事なまでの爺馬鹿魔王に変貌したそうだ。


≪水晶眼の貴公子≫ヴァサーゴ

 ≪ソロモン先生≫の教え子、七十二柱の大悪魔の一柱。柔和な顔をした美貌の貴公子。ただし、その両目は常に閉じられている。
 その両目は水晶球となっており、ひとたび開けば過去、現在、未来の全てを見通す能力を持つ予言者。
 目立つ事を好まない性格で、デタント派の中でも特に穏健派の魔王である。

 ≪ソロモン先生≫の下で教えを受けていた頃にアガレスの娘に見初められる。
 当初は勉学に集中したいがために拒んでいたが、じ〜っと見詰める無言の攻めを繰り返され、ついに白旗を上げた。
 その後、アガレスと決闘する事になったのは前述の通りである。

 一児の父なのだが、今でも外見は若々しく、いまだに『貴公子』と呼ばれている。
 最近の悩み事は、人間界に興味を持った娘が家出をしてしまった事。
 失くしたものを探し出す力も持っているのだが、娘に関しては力尽くで事を進めたくないらしい。


≪荒天の有翼虎≫クロセル

 ≪ソロモン先生≫の教え子、七十二柱の大悪魔の一柱。傍目には人間界に普通にいそうな猫。しかし、眼光は鋭く、二本足で歩き、大きな天使の翼を持っている。巨大なカバのような姿をした竜に乗る竜騎士。
 神魔族が争っていた頃は真の≪蝿の王≫ベルゼブルと共に空軍で大活躍したエース。こう見えても魔界屈指の武闘派魔王である。
 水を自在に操り、嵐を起こす事も出来る。また、この能力を利用して『溶けることのない氷の剣』を生み出す能力があり、雲から氷の刃を作って降り注がせる事も出来る。
 かつては天使軍団の大軍勢を一柱で蹴散らし、『空中要塞』とも呼ばれていた。

 そんな立場から、魔界がデタント派、反デタント派で二分した時は反デタント派につくと思われていたが、クロセルはクラスメイトの仲間を取りデタント派についた。そのため、反デタント派の中には彼を裏切り者と見ている者もいる。

 また、温泉好きと言う一面を持ち、温泉の源泉を探り当てる力も持っている。
 そのため、クラスメイトの仲間からは『温泉猫』と呼ばれる事もあるそうだ。


ワルキューレ

 魔界正規軍士官。第二軍所属、特殊部隊大尉。
 人間界への長期潜入を目的とした訓練を受けているエージェント。ただし、人間界の文化については最低限怪しまれない程度の認識しか持たない。

 最近は骨休みと称して、よく妙神山に顔を出している。やっと温泉の良さが理解でき始めたそうだ。
 和食は今も練習中だが、こちらはあまり成果が出ていない。
 まず、魔界の市場で材料を買い揃えるのを止めるべきだろう。


ジークフリード

 魔界正規軍情報部所属、情報士官少
 デタント推進の重要ポストである三界連絡員の要職にある。地味に出世して、姉ワルキューレより偉い。

 妙神山に留学していた頃は、猿神の元で仙術を習っていた…が、修行中に魔界に帰還したため身に付ける事ができなかった。
 その代わり、人間並みに器用に魔力を使う事ができるようになっている。

 猿神が神族であり、ジークが魔族であるため、今はそう名乗る事ができないが、猿神の直弟子、横島の兄弟子にあたる。


鎌田 勘九郎

 メドーサから学んだ魔装術により魔族と化したオカマ。
 魔族となった事により「人間の肉体」と言う枷から解き放たれ、魂の思うままの姿、女性体になった。
 コードネームとして「レディ・ハーケン」と名乗っている。ハーケンとは鎌に似た形状の武器であり、これはつまり「あたし、もうオカマじゃなくてよ」と言う意味が込められている。

 コスモプロセッサによって復活した後、スカウトを受けて魔界正規軍に入隊。
 オカマ仲間である≪情欲の豹≫シトリーに気に入られて彼の部下となる。
 これにより、ワルキューレとは同じ特殊部隊に所属する同僚となった。

 元人間であるため、人間界への長期潜伏に向いており、魔界正規軍でも非常に重宝されている。
 実は、GS資格取得試験に潜入する以前にも、幾度か人間界で任務に就いていた。
 現在の彼の主な任務は、人間界に取り残され、自力で魔界に帰還できない魔族の保護である。

 レディ・ハーケンの姿は、女性としてはかなり高身長だが、軽くウェーブのかかったブロンドの髪をなびかせる美女。眉が濃い目なのと、少々垂れ目気味なのは、人間勘九郎のなごりである。
 雪之丞はその姿を見て「ママに似ている」と称したが、彼を含む白龍会の孤児達にとっての母親代わりは、年長者であった勘九郎だ。似ているどころの話ではない。


翼を生やした魔族

 魔界正規軍士官。
 サラマンドラの眷属、つまり火吹き竜の化身。

 デミアン、ベルゼブルと共に令子を狙ってきたが、ワルキューレにより一瞬で撃墜された魔族。
 コスモプロセッサにより復活し、アシュタロスが倒された後は、理由なく人間達と戦う事を拒んで『愛子組』の山に匿われていた。
 横島と共に真の≪蝿の王≫から離反したオリジナルクローンを討った功績を評価されて、魔界正規軍に復隊する事となる。


≪過去と未来を見通す者≫アシュタロス

 造物主に対する叛逆を赦され、輪廻の輪から外れた魂。故人。
 ルシオラ、ベスパ、パピリオの三姉妹の父にあたる。

 ≪ソロモン先生≫曰く、昔は「叛逆上等」と背中に書かれた白い特攻服を着て、剃り込みを入れていたとの事。
 ≪悪霊姫≫曰く、インテリのクセにマッチョで、ウェイトレス姿が似合っていた。

 他にも七十一柱のクラスメイトがいるので、これからぽろぽろと秘められた過去が明らかになっていくでしょう。


デミアン

 コスモプロセッサにより復活した後、魔界に帰ろうとしていたが叶わず滅びた魔族。
 人間界に取り残された魔族がどうなるかを見せると言う話の都合上だったとは言え、哀れな最後でした。

 死後も故郷に帰れないのも何なので、人物辞典ではここで紹介しておきます。


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