topmaintext『黒い手』シリーズ魔法先生ネギま!・クロスオーバー>見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.63
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 武士道甲斐ランドを舞台に突如勃発した人間対猿の戦いは、空砲は怖くないと学習してしまった猿達により西側の防衛線を突破されてしまった事で、新たな局面を迎えていた。
 スタッフ達は入場客を避難させるために駆け回り、ご当地ヒーロー『甲斐ランダー』のコスチュームに身を包むアスナと古菲の二人は、観客を守るために矢面に立ち、奮戦している。
 眼前に群がる猿達――武田猿軍団が、武田信玄の軍配に宿る執念に取り憑かれている『信玄猿』によって操られている事は分かっている。その信玄猿さえどうにかすれば猿軍団は烏合の衆と化す事も。しかし、当の信玄猿は、アスナと古菲はおろか、横島や唐巣達の前にもいまだ姿を見せていなかった。
「て言うか、信玄猿はどこーーーっ!」
「どこかで高見の見物でもしてるアルか?」
 叫んでみても信玄猿が現れてくれるはずがない。
 アスナは神通棍を振り回し、破魔札の爆煙で猿を追い払い続け、また古菲はそれらを掻い潜ってアスナに飛び掛かる猿達を拳を以って撃墜していた。流石に操られている猿に本気を出すのは忍びないので、殴ると言うよりも、押し退けていると言った風だが、それでも見事猿の群を近付けさせないでいる。

 東側ではようやく猿の群が武士道甲斐ランドから離れつつあった。
 音だけの空砲と違い、目の前で実際に起きる爆発に猿達も恐怖したらしい。無数の甲高い泣き声が耳をつんざき、半狂乱の状態に陥った猿達は、横島の居る位置から離れて武士道甲斐ランドには近付こうとせずにそのまま南へと向かって行く。
 横島は後続の集団がもうない事を確認すると、ほっと一息つき、携帯電話で夕映に連絡を入れる。
「ん、あれは…」
 その時、駆け抜けて行く猿軍団を眺めながら、横島はふとある事に気付いた。遠目に見える猿軍団の中の一匹の手に軍配が見えたのだ。
「夕映、東側の猿軍団の中に信玄猿を見つけた。このまま追っ掛ける!」
 横島は、夕映の仮契約カードを額にあてて信玄猿を発見したと一方的に夕映に伝える。
 猿の集団の中に潜む一匹の信玄猿を見つけろと言われると困るが、横島の目には、手にした軍配が群から頭一つ分飛び出しているのが見えていた。信玄猿を見失ってしまっても、あの軍配を追えば良い。
「やっぱり目的は上洛か?」
 武士道甲斐ランドはあくまで通り道だったと言う事か。猿軍団の大将である信玄猿が迂回したまま南下していくところを見ると、そう判断せざるを得ない。
 一瞬、アスナ達も応援に呼ぶべきかと考えたが、相手はあくまで猿である上、彼女達は彼女達で園内の猿相手に奮闘しているのだ。何より、今から呼び寄せたところで、到着する頃には猿は逃げてしまっているだろう。横島は思い浮かんだ考えを振り払って、一人で信玄猿を追跡開始した。

「あ、今連絡が入りました。東側はもう大丈夫なようです」
「そ、そうですか…」
 突然の夕映の言葉に戸惑いながらも胸を撫で下ろす初老の男。横島から仮契約カードによる通信で連絡が入った事は傍目には分からないのだが、男はGSならではの何かしらの手段を使ったのだろうと判断した。制服姿のスタッフとは異なるスーツに身を包む彼は、責任者なので不安もひとしおなのであろう。
 東側の猿軍団は既に南へ去り、西側も一部が入り込んでしまったが、現在のところ入場客に怪我人は出ていないようだ。西側を突破されて一時はどうなるかと思ったが、今のところは人間側が優勢に事を進められている。
 あとは横島が信玄猿を捕らえて軍配を取り返してくれれば、事態は解決するはずなのだが―――

「……何なのですか、この違和感は?」

―――夕映はどうにも腑に落ちなかった。
 どこか猿の動きに違和感がある。それが何かと問われると困ってしまうのだが、何かがおかしい。
 夕映は口を噤んで考え込みはじめ、初老の男はみるみるうちに不安そうな顔になっていく。
「ど、どうしたと言うんですか?」
「『風林火山展』の資料を見せてください!」
 何でもいい、今回の件をより深く知るためにはもっと情報が必要だ。知るべきは首謀者の執念の元であり武田信玄に関する情報、それはすぐ側、『風林火山展』にある。
 そう考えた夕映はスタッフ達に案内してもらい、風林火山展の会場へと向かうのだった。


 その頃、アスナと古菲の二人は猿の群に囲まれ、互いに背中を守る形で飛び掛かってくる猿達を迎え撃っていた。入場客の避難は既に終了し、周囲に二人以外は猿の姿しかない。
 猿軍団は二人を敵と認識し、入場客や他のスタッフを無視して彼女達の元に集まりつつあった。個々の意思ではなく、何者かの一つの意思によって一つの集団として動いている証明とも考えられる。言うまでもなく一つの意思の主は信玄猿であろう。
 これで相手が妖怪か何かならば窮地だが、相手がただの猿であるため、二人に危機感はなかった。むしろ、ここまで脅かしているのだから、そろそろ逃げたらどうかと考えるぐらいに余裕がある。
「アスナー、夕映から連絡があたヨ。東側の猿軍団は横島師父が追い払て、今信玄猿を追い掛けてるそうアル」
「さっすが! はやいとこ園内の猿を片付けて横島さんの応援に行きましょ!」
「横島師父、猿相手に援軍が必要アルか?」
 横島が数が多いとは言え、猿相手にどうにかなるとは思えない。アスナの言葉に古菲は首を傾げるが、アスナとしては横島と共に戦いたいのだろう。この相手ならば、アスナでも足手まといになってしまう可能性は低い。
「それにしても、しつこいアルな」
「そろそろ逃げてもいいのにね〜」
 しかし、猿達は逃げるどころか戦意剥き出しの目でアスナ達を睨み付けている。そう簡単に退いてはくれなさそうだ。
「やっぱ、信玄猿が操ってるのかしら? 逃げるな〜って」
「かも知れないアル」
 何にせよ、相手が退かないのならば、退いてくれるまで戦うまでだ。アスナの霊力も今のところは安定し、古菲も相手が人間よりも的の小さい無数の猿であっても翻弄される事なく戦っている。
 仕事が上手くいけば横島に褒めてもらえるのではと、どこか頬を上気させて呆けているアスナが少々心配ではあるが、むしろ霊力は増している気がするので、良しとしておこう。

 このまま行けば、何の問題もなく、横島が信玄猿を捕らえるまで猿達を引きつけられる。

「ハーッハッハッハッハッ!」

 そう考えていた。この、聞き覚えのある大きな高笑いが聞こえてくるまでは。

見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.63

「こ、この声は…」
「エヴァ、アルな…」
 古菲の言う通り、その声は確かにエヴァのものだ。声のする方に視線を向けてみると、誰もいなくなって動かなくなった絶叫マシンのレールの上に、小さな人影がある。逆光で顔は見えないが、その小柄な体格を見るにエヴァで間違いないだろう。修学旅行に行く時から絶叫マシンに乗りたいと言っていたが、ああいう意味ではないのは言うまでもあるまい。
 やがて逆光にも目が慣れて、その人物の顔を確認出来るようになり――アスナと古菲は盛大に噴いた。なんと、エヴァは竜を模した飾りを帽子の上に乗せ、布で口元を隠していたのだ。
 一瞬、甲斐ランダーの衣裳かと思ったが、どうやら覆面はただの布で、竜の飾りは園内のアトラクションにあった飾りをむしり取って頭に乗せているだけらしい。
「我が名は越後ドラゴン! 武田猿軍団め、根絶やしにしてくれるッ!!」
「絶滅させちゃダメぇーーーっ!」
 正体を隠さなければならない事までは頭が回ったようだが、首から下は先程までの服装と同じ等、ツっこみどころが満載だが、ツっこんでいる暇もなく、エヴァは血走った目で魔法の詠唱を開始する。
 アスナは、何とか止めようと叫ぶも、当のエヴァが聞いてなければ何の意味もなかった。

『リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!』

 今のエヴァは封印から解き放たれた全開状態だ。しかも、かつてネギと戦った時と違って手加減する気もなければ、時間制限もなく、更には情けをかけるつもりなど毛頭ない。

『氷の精霊199頭(ウンデトゥオゲンティ・スピリトゥス・グラキアーレス)……』

 エヴァの周囲に力が集い、生み出されていく光球。それらは次々の氷の矢へと姿を変え、鋭い先端が日の光を浴びて煌いている。
 ただし、その数は半端ではない。詠唱の内容はアスナ達には理解できないが、矢の数は軽く百を超えていそうだ。それでもエヴァは顔色一つ変える事なく詠唱を続ける。まるで、彼女にとっては容易いことであると言わんばかりに。

『集い来たりて敵を切り裂け(コエウンテース・イニミクム・コンキダント)……』

 信玄猿に操られ、いくら蹴散らされても戦意の衰えを見せなかった猿達も、突如現れた乱入者がいかに危険な存在であるかを察知したようだ。流石に命と命令を天秤に掛けたら生存本能の方が勝るらしく、我先にと逃げ出し始める。
 しかし、そんな騒ぎもエヴァの目には入らない。それどころか、まるで壁のようにエヴァの姿を覆い隠してしまう程の氷の矢が完成してしまう。
「古菲、逃げるわよ!」
「わかたアル!」
 このままじっとしていては、アスナ達も猿と一緒に殲滅されてしまいかねない。魔法が完成したと悟ったアスナと古菲の二人は、慌ててその場から逃げ出した。

『魔法の射手・連弾・氷の199矢(サギタ・マギカ・セリエス・グラキアーリス)ッ!!』

 その言葉と共に解き放たれ、地を這う者達全てに襲い掛かる氷の矢。魔法の射手は追尾性もあるため、逃げようとしても逃げられるものではない。何匹もの猿がそれに巻き込まれ、矢が当たった部分から瞬く間に手足を氷漬けにされて動けなくなったり、運が悪い者は半身を氷に埋められてしまっている。
「こっちにも来たーーーっ!」
 当初から狙っていたのか、偶然の流れ弾かは分からないが、氷の矢は容赦なくアスナ達にも襲い掛かった。
 走って逃げられるはずもなく、古菲を庇うように前に立ったアスナは、霊力を込めた両手を前に突き出し、叩き落すような仕草で氷の矢を『魔法無効化能力(マジックキャンセル)』で消していく。
「もしかして、私達と猿の区別もついてないんじゃないの!?」
 アスナは思わず叫び、そしてはたとそれが有り得る話だと言う事に気付く。

「泣き喚けっ! 逃げ惑えっ! そして、私に恐怖しろっ!」

 猿達を見下し、高笑いを上げるその様はまさに『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』であった。
 信玄猿に操られているとは言え、ただの猿。それを相手にそこまでする必要があるのかどうか疑問であるが、今のエヴァにそれを問い質せる勇者は存在しない。
「……もっと離れましょ」
「そーアルな」
 アスナの提案に古菲もコクコクと頷いた。反対する理由はない。このままここに居た所で、出来る事と言えば、流れ弾を『魔法無効化能力』で防ぐ事ぐらいだ。それもいつまで続けられるか定かではない。
 エヴァは既に第二波の詠唱を開始している。周囲から猿達の悲鳴が聞こえているが、それを助ける力など彼女達にはなかった。幸い、氷の矢は突き刺さったりなどはせずに対象を氷漬かせるだけなので、エヴァがもっと殺傷力の高い魔法を使わない限り、命に関わる被害は最小限に食い止められる――と信じたい。多数のターゲットを攻撃するためのチョイスなのだろう。エヴァがもっと広範囲を破壊し尽くす魔法を使う事を思い付かないよう祈るばかりだ。

 アスナ達が、魔法の流れ弾が飛んで来ない距離まで離れたところで、突然二人が耳に装着しているトランシーバーに夕映からの連絡が入った。
『アスナさん、古菲さん! 今すぐ『風林火山展』の会場に来てください!』
「は? そこにも猿が現れたの?」
『いえ、まだですが…だからこそ、急いで来て下さい! 奴等がここに現れる前にっ!』
「わ、分かったわ」
 夕映の声の様子は必死だ。何か理由があるのだろう。
 振り向けば、エヴァが笑いながら猿軍団相手に魔法を連発している。こちらは彼女に任せておけば大丈夫だろう。流石に、避難している入場客にまで無差別に襲い掛かるような真似はしないはずだ。
 アスナと古菲はトランシーバーは繋いだまま『風林火山展』の会場へと駆け出した。

「なんじゃこりゃあぁぁぁっ!?」
 一方、横島はようやく件の猿に追い付き、取っ組み合いの末にそれを捕らえたのだが、捕らえたそれを見て、素っ頓狂な声を上げていた。
 猿の手にあった軍配だとばかり思っていたそれは、似たような大きさの木の看板だった。
「も、もしかして…影武者?」
 なんと、『啄木鳥戦法』に引き続き、信玄猿は再び横島に策を仕掛けて来たようだ。遠目に軍配らしく見える物を振り回していれば、信玄猿が居ると思い追い掛けて来る。それこそが彼の狙い。横島は見事それに引っ掛かり、こうして猿を追い掛けて武士道甲斐ランドから引き離されてしまった。
 こんな事をするからには何か理由があるはずだ。横島を武士道甲斐ランドから引き離す理由が。
「…まずい!」
 横島を引き離した理由、それは信玄猿の目的が武士道甲斐ランドにあったからに違いない。そう考えれば色々と納得がいく。何より、横島が猿を追い掛けて行った後は、東側の守りがガラ空きではないか。
 捕まえた猿を放し、横島は慌てて駆け出した。

 走りながらアスナ達は夕映とトランシーバーで連絡を取り合う。
 会場に到着するまでに、夕映の考えを聞いておこうと思ったのだ。
「一体、どうしたアルか?」
『信玄猿の狙いは、おそらく、この『風林火山展』にあるです!』
「はぁっ!? アレは今、横島さんが追っているんじゃ……」
『おそらくあれはニセモノです。考えてみてください、もし目的が上洛であれば、この遊園地は素直に迂回していればいいのです!』
 言われてみれば確かに夕映の言う通りだ。武田猿軍団の目的が上洛、すなわち京都に向かう事であれば、空砲に怯えながらも無理をして園内に侵入する必要はない。素直に迂回して南下すれば良い。
「で、でも、ただの猿なんだから、そこまで思い付かなかったんじゃ?」
『何を言うですか、今の信玄猿はただの獣と違って、『啄木鳥戦法』を仕掛けてくるぐらいの知能があるんですよ? 危険を避ける術だって知ってるはずです!』
「おおっ!」
 ポンと手を打つ古菲。何故、追い払われても、追い払われても、めげずに戦意を剥き出しにして向かってくるのか。先程まで彼女達が抱いていた疑問が、夕映の言葉と繋がって一つの答えに辿り着いた。
 それは信玄猿に操られ、逃げないように命じられていたからだ。その事実もまた、信玄猿がこの園内に何かしらの目的がある事を示している。
『信玄猿が上洛するのに、足りない物が一つあるです』
 今の信玄猿にあるのは、大将として信玄猿自身と、近隣から集められた武田猿軍団だ。
 しかし、上洛を果たすためには、もう一つ揃えなければならないものがある。
「何アルか?」
『京都に上洛し、打ち立てるための旗です』
「旗って…もしかして、あの有名な風林火山の?」
『はい、今その前まで来ているですが、この『風林火山展』には、当時の武田軍が使っていたとされる旗も展示されているです』
 旗、すなわち軍旗は、その軍隊がどこの何者であるかを証明するものであり、軍隊にとっては精神的な支柱となる物だ。信玄猿と猿軍団は、それを持つ事ではじめて本当の意味で武田猿軍団と名乗る事が出来る。それを持たずして上洛したとしても、それは武田家が上洛を果たした事にはならない…と、信玄猿は考えているのだろう。
 そもそも「打ち立てる」とは、「物事をしっかりと定め、確立する」と言う意味であって、物理的に旗を立てるような意味はなく、現実には、風林火山の旗を手に入れる事に、さほど意味はないのかも知れない。しかし、妄執と化した信玄公の執念にとっては、それが重要な意味を持っているとも考えられる。自分の旗を敵に奪われたままでは面子に関わると考えれば分かりやすいだろう。

『もし、横島さんの追っている猿が本物であれば、園内に入った猿が頑なに逃げずに戦っている事がおかしいのです』
「どういう事アルか?」
 当初夕映は、武士道甲斐ランドを迂回して南下する猿軍団の中に軍配を持った信玄猿が居ると横島から聞いた時から、夕映は彼等の目的は上洛なのだと考えてた。
 しかし、アスナ達に追い払われても逃げようとせず、頑なに戦おうとする猿達から園内への拘りを感じ、夕映は疑問を抱く事になる。アスナ達を狙っているように見えた事から、軍配を持つ信玄猿を追い掛けた二人を含む横島や唐巣を倒す事こそが目的なのではないかと考えたが、それならば、東側の猿軍団が園内への侵入を諦めて南下して行った事に説明がつかない。
 そして、スタッフに案内されて『風林火山展』の会場に行き、風林火山の旗に関する説明を見た夕映は、これこそが信玄猿の目的ではないかと直感したのだ。
『逃げずに戦っていた猿達の目的が、アスナさん達の足止めだと考えれば、全て説明がつきます』
 つまり、園内に侵入して暴れていた猿達に、横島を武士道甲斐ランドから引き離した猿軍団。その両方が囮であり、信玄猿が『風林火山展』の会場に忍び込むための布石だと考えたのだ。
 アスナにはまだよく分からないが、信玄猿が会場を襲撃する可能性がある事は理解できた。園内の猿軍団の目的が何であれ、彼等はエヴァが一人で蹴散らしてしまうだろう。今から園外の横島の応援に行ったところで間に合いそうもない。
 ならば、手の空いた自分達が会場の守りに就いても問題はないとアスナは考えた。それで他がどうにかなる事もないだろう。そう考えた場合、もし信玄猿が現れなくても損はないが、現れたら一転窮地に陥る事になる。
「古菲、私達も会場に向かいましょ!」
「大急ぎアルな」
 古菲もアスナと同じ結論に達したようだ。互いに顔を見合わせて頷き合うと、二人は『風林火山展』の会場に向けて、大急ぎで駆け出して行った。


「……少し、遅かったようです」
 そう呟く夕映の頬を一筋の汗がつたう。
 アスナ達との通信を終えた彼女の目の前に居るのは一匹の猿、その手には軍配が握られている。そう、信玄猿が『風林火山展』の会場に現れたのだ。夕映の判断は少し遅かったようだ。
 横島が影武者猿を追い掛けて行った隙に東側から侵入したのだろう。西側から侵入され、スタッフのほとんどがそちらに向かっていたため、一匹しかいなかったと言う事もあり、誰にも見つかる事なくここまで辿り着いていた。
 彼女の周囲には、責任者である初老の男と、その男が夕映と自分だけでは不安だからと連れて来た若いスタッフの男が三人。それに対して信玄猿は一匹だ。素人なりに軍隊と言うものをイメージし、大将は所謂「親衛隊」を連れて行動するものだと考えていた夕映には拍子抜けである。スタッフもそうなのだろう。三対一ならば何とかなるのではないかと、ジリジリと信玄猿を取り囲むように動いている。
 それを止めるべきか、むしろ協力して援護するべきか、夕映には判断がつかない。それを見透かすかのように、信玄猿は唇の端を吊り上げて見下すような笑みを浮かべた。
「ウッキーーーッ!」
 夕映が判断を下すよりも早く信玄猿が軍配を掲げると、軍配が強い光を発して夕映達を包み込んだ。
 目を擦り、信玄猿の姿の方を見ると、彼を取り囲もうとしていたスタッフ達の様子がおかしい。両手をだらりと下げて、呆けるように立ち尽くしている。目の焦点も合っていないようだ。
「まさか…」
 思わず一歩下がる夕映、その表情には恐怖が見える。
 案の定、スタッフの男達はゆっくりとした動作で振り返り、夕映達の方に視線を向けた。間違いない、彼等は猿達と同じように信玄猿、正確には彼の持つ軍配に操られている。
「早く風林火山の旗を出してください!」
「しかし、このケースの中に入れていた方が…」
 安全、と言い掛けたところで距離が離れていたせいか洗脳を免れた初老の男はぎょっと驚きに目を見開いた。スタッフの男達が手に武器を持ち、こちらに迫っていたのだ。しかも、一人は展示に使っていた台座そのものを抱えている。風林火山の旗は、ある程度の衝撃にも耐えられるケースに納められているが、あれを投げ付けられでもしたら、流石にひとたまりもない。
「それを持って逃げるです! アスナさん達と合流できれば、何とかなります!」
 本音を言えば横島と合流したいのだが、彼がいる園外までは流石に逃げ切れるとは思えなかった。この場でスタッフ達と相対するのは論外だが、旗を持って逃げ出しても、その時点で猿軍団の最優先のターゲットにされてしまう。
「わ、分かった!」
 男は慌ててケースの鍵を開け、中から風林火山の旗を取り出した。それを持って二人で逃げようとしたその時、信玄猿が再び軍配を掲げた。
「し、しまったです!」
 夕映は失敗を悟った。信玄猿は、三人のスタッフを使えばケースを壊す事が出来る。しかし、ケースから旗を出して逃げようとしたところで、旗を持つ者を操ってしまえば、ただケースを壊す手間が省けるだけなのだ。
 軍配が光れば自分も操られてしまう、それまでに何とかしなければならない。しかし、一瞬に出来る事などたかが知れており、彼女に出来た事は、ただ一言叫ぶ事だけであった。

『来れ(アデアット)!』

「ん? 呼び出すのは夕方以降にしろと…なんだあぁぁぁっ!?」
 その呼び声に応じて召還される土偶羅魔具羅、直後に軍配の光を浴びて悲鳴を上げる。深く考えたわけではなく、咄嗟に誰かに助けを求めたくて、縋るように仮契約カードを手に取ったのだが、流石魔界の兵鬼である土偶羅には、本体の意識は魔界にある事もあり、洗脳の光が効かないようだ。それどころか、光そのものを遮り、結果として土偶羅が盾となって夕映も洗脳を免れる事が出来た。
 しかし、男の方は駄目だった。焦点の定まらない目で旗を手にしたまま呆けて立ち尽くしている。夕映はすぐさま男の手から旗を奪い取る。
「いきなりなんだっ!?」
「それどころじゃないです、後ろを見てください!」
 突然呼び出されたと思えば、いきなり攻撃された土偶羅。憤慨した様子で夕映に詰め寄るが、彼女に言われて後ろを振り返り、明らかに異常な男達が武器を手に迫っている事に気付いた。こちらを見ているのに、その目は虚ろで何も見ていない。その異常さに土偶羅は身震いする思いだ。
「な、なんだ、こいつらは…」
「あちらの猿の持つ軍配に操られているのです。まずは、アスナさん達と合流するですよ!」
「横島はどーした? お前のマスターだろうが」
「……横島さんは、少し距離が離れています」
「むぅ、そうか」
 夕映と土偶羅、どちらも非戦闘員である。その二人で距離の離れた横島の下まで行くよりも、まずはアスナと合流した方が安全であると、土偶羅もすぐさま判断し、納得してくれた。
「ウキっ?」
 信玄猿は旗を持つ夕映が逃げようとしている事に気付き、すぐさま軍配を掲げて再び洗脳の光を放とうとする。
「盾になってください!」
「ノオォォォ〜〜〜っ!?」
 それに気付いた夕映は、土偶羅の腰を掴んで持ち上げると、そのまま光を遮る盾にしてしまった。土偶羅は光をもろに浴びるが、やはり彼には効かないようだ。
「何をする! お前、アシュ様より兵鬼使いが荒いんじゃないか!?」
「申し訳ありませんが、貴方は平気でも、私があれを食らえば一巻の終わりなんです!」
 当然、土偶羅は抗議の声を上げるが、夕映としても必死なのだ。
 何としても洗脳されずにアスナ達と合流せねばならない。

「ウキッ!」
「土偶羅シールド!」
「はうっ!」

「ウッキー!」
「土偶羅バリアー!」
「おほぉーっ!?」

「ウキャキャーーーッ!」
「なんの、土偶羅フィーッルド!」
「いい加減にせんかーーーっ!」

 幸い、洗脳された男達の動きは鈍く、夕映達でも逃げる事が出来た。
 夕映と土偶羅は走り続け、幾度か土偶羅を盾にして洗脳を免れながら、二人は何とか、こちらに向かって走って来たアスナ達との合流に成功する。
「あれ、土偶羅さんも来てたの?」
「呼び出されたのだっ!」
「そんな事よりアスナさん、古菲さん、信玄猿がこの旗を追って来るです。何としてもあの猿を横島さんの前に連れていかないといけません」
 軍配に憑いている執念は、横島の文珠でなければ除霊できない。それは最初から分かっていた事だ。洗脳の効かない土偶羅に持ってもらうと言う手もあるが、そのためにはまず信玄猿から軍配を取り戻さなければならない。
 しかし、信玄猿は軍配だけだった時と違って、あの光を浴びただけで洗脳出来るようになっている。これではアスナ達だけでは荷が重いだろう。
「私の『魔法無効化能力』で、洗脳を防ぐとか…ダメ?」
 アスナが問うが、土偶羅は細い瞳を閉じて残念そうに首を横に振った。
 そもそも、あの軍配の洗脳方法は、土偶羅の分析によると、光と共に軍配に宿る霊力をわずかに飛ばし、それを相手に憑ける事で操ると言うものだ。洗脳と言うよりも、相手の脳に寄生していると言った方が正確である。
 そのため、操るのも相手の精神構造に影響され、猿ならば広範囲の動物を同時に操る事が出来るが、生存本能のような強い本能までは抑え込む事が出来ない。
 逆に人間のような複雑な精神構造をしている者は、飛ばす霊力が僅かであるため距離が離れると操る事ができず、操るにも霊力が足りずに、鈍い動きになってしまうのだ。
「ワシに洗脳が効かんのは、この身体は単なるレプリカで、外から遠隔操作をしているためだ。ワシを盾にした夕映が無事なのも、飛ばした霊力がワシに遮られているためだな」
 これは魔法力によるものではなく、霊力、すなわち生命力によるものなので、アスナの『魔法無効化能力』では防ぐ事が出来ない。残念ながら、アスナが一人で突っ込んで、信玄猿を叩きのめすと言う方法は使えなかった。

「信玄猿が追いついて来たアル!」
 古菲の指差す先には、猿軍団を率いた信玄猿の姿があった。動きの鈍い人間は捨て、エヴァの猛攻を免れた猿達を集めて来たようだ。数十匹の猿が信玄猿の周囲を固めている。
「先に言っておくが、夕映がワシを盾にして洗脳されずに済んだのは、夕映が小柄だったからだぞ。そっちの二人ではワシを盾にしても、はみ出た手足からヤツの霊力が入り込んで洗脳される」
「うげ〜、何とかならないんですか?」
「今すぐワシを巨大化させるか、貴様らが小さくなるかだな」
 つまり、無理だと言う事だ。横島の文珠があれば何とかなったかも知れないが、そもそも、彼がいないからどうするべきかを考えているのだから、意味のない仮定である。
「横島師父は…?」
「もう、追い掛けた猿が偽者だとは気付いているでしょうが、流石にここまで戻ってくるにはもう少し時間が掛かるです」
 夕映の言葉に古菲はがっくりと肩を落とした。
 人間は距離が離れていれば洗脳出来ないとの事なので、こうなれば横島が到着するまで旗を担いで逃げ回るしかないのか。非戦闘員の夕映や、霊力と言う対抗手段を持つアスナよりも自分が旗を持って走り回るべきだろうと、古菲は夕映から旗を受け取ろうとする。
「む…?」
 その時、どこからともなく横島の声が聞こえてきた。
 まだ小さく、遠くから聞こえてくるような声だが、それでも早過ぎる。周囲を見回してもやはり彼の姿は見えず、幻聴かと古菲は首を傾げる。
「ね、ねぇ、横島さんの声が聞こえない?」
「アスナも聞こえるアルか?」
 どうやら声が聞こえていたのは古菲だけではなかったらしい。同じく夕映もきょろきょろ辺りを見ているが、彼の姿を発見する事は出来ないようだ。
「上だっ!」
 真っ先にそれに気付いたのは土偶羅。
 少女達が空を見上げると、そこには手の中の文珠を輝かせながら急降下してくる横島の姿があった。
「極楽に逝かせてやるッ!」
 そのまま横島は信玄猿目掛けて『浄』の文字を込めた文珠を炸裂させ、猿のものとは思えない雄叫びが木霊する。
 こうして横島は、軍配に宿った信玄公の執念を見事に除霊し―――

「へぶっ!?」

―――そのまま、地面に墜落した。どうやら、空を飛んできたのではなく、空から落下していたようだ。

 除霊された信玄猿は目を回して気絶している。大将である彼がいなくなってしまえば、あとは烏合の衆だ。命令する者がいなくなって洗脳も解け、猿軍団はどうすればよいのかと戸惑っている。
「クックックッ……さて、どう料理してくれようか」
 そこに地獄の底から響くような笑い声と共に空から舞い降りてきたのは頭に乗せた竜を外し、口元を覆う布を外して『越後ドラゴン』ではなくなったエヴァ。横島を空から落としたのは彼女だったようだ。そんなエヴァの登場は効果覿面であった。先程魔法を連発された恐怖が残っていた猿達は、悲鳴を上げて我先に逃げ出して行く。
「よっぽど怖かったのですね」
 文珠の浄化により、完全に除霊された軍配は、もう手にしても全く問題がない。猿達が逃げ去った後、夕映が土偶羅に確認を取り、残された軍配をひょいと拾い上げた。
 その後、土偶羅は「今日はもう呼ぶなよ」と言い残して魔界に帰ってしまった。仕事中に呼び出されてしまったため、今日は残業となるのだろう。

「横島さん、大丈夫ですかー!?」
 墜落した場所に近寄ると、やはりと言うか横島が「あ〜、死ぬかと思った」と何事もなかったかのようにむくりと起き上がる。当然アスナは驚いたが、やがて安心した笑みを浮かべて横島に抱き着いた。
「エヴァが横島師父を迎えに行てたのか」
「う、うむ、まぁな」
 感心した様子の古菲に対し、何故かそっぽを向いて返事をするエヴァ。
 実は、アスナ達二人が逃げ出した後、魔法を連発するだけ連発したエヴァは、そのまま空を飛んで横島に泣き付きに行っていたのだ。そこで、横島に運んで欲しいと頼まれ、こうして彼を連れてこの場に駆けつけたのである。
 実際に泣き付く前だったので、この事はエヴァだけの秘密だ。
「しかし、事態が解決したとは言え、これでは…」
 そう言って眺める遊園地の光景は、騒ぎが起きる前と様変わりしていた。そこかしこが氷漬けになっている事から分かるように、そのほとんどがエヴァの魔法によるものだが、これでは少なくとも今日一日は営業を再開する事が出来ないだろう。
 何故、自分はジェットコースターに乗れないのかと、エヴァはぐっと拳を強く握り締めるが、自分でやった事なので、誰かに八つ当たりする事も出来なかった。

「おーい、横島君!」
 入場客を避難させ、別の場所で猟友会の人達と共に猿軍団に対処していた唐巣が駆け付けて来た。その声を聞いたアスナは、頬を染め、慌てて横島から離れる。
「どうやら、うまく除霊出来たみたいだね」
「ええ、何とか……被害も大きかったですけどねぇ」
 乾いた笑い声の横島、彼は周囲の惨状を見て、それがエヴァの魔法によるものであると気付いている。唐巣も彼の様子からおおよその事を察して苦笑する。
「君は明日も仕事があるのだろう? こちらの事後処理は私に任せておきなさい」
「いいんですか?」
「ここまで大規模な事件となると役所やオカルトGメンが関わってくるだろうからね。後の事は私の役目だよ」
 更に唐巣は「数日掛かりになるだろうしね」と付け足した。後始末を彼に押し付ける事になってしまうが、信玄猿の登場自体が不意の事故だったので、こればかりは仕方があるまい。
 現在、エヴァが暴れた辺りには氷漬けで身動きの取れない猿達が残されている。無論、彼等は保護された上で再び山に放される事になる。
 また、信玄猿は一種の霊媒体質であるため、GS協会で保護され、無闇に霊媒してしまわないように力を封印しなければならないので、少々時間は掛かるだろうが、最終的には山に放されるはずだ。こちらは唐巣の仕事となるだろう。
 むしろ、このままエヴァがここに残り、彼女が吸血鬼であるとバレてしまう事の方が厄介だ。本人がいなければいくらでも誤魔化しが効くので、エヴァは早々にこの場を立ち去らなければならない。
「フン、氷の方は何とかしてやろう」
 エヴァが指を鳴らすと、それに呼応するように周囲の氷が溶け始めた。水は残るだろうが、これならば後数分も経たない内に氷は全て消えてしまいそうだ。氷漬けになっている猿の内、動ける者は逃げ出してしまうだろうが、それは自力で山に逃げるか、人の手で山に放たれるかの違いでしかない。
「さぁ、行くぞ。こんな所にもう用はない」
 強がりである。
 横島達は苦笑混じりに唐巣に別れの挨拶を告げると、荷物をまとめて、そのままオカルトGメンが到着する前に武士道甲斐ランドを後にする事にした。

 電車に乗って、次の目的地に向かう一行。乗り込むまでは強がって毅然としていたエヴァだったが、ジェットコースターに乗れなかったのが、余程口惜しかったのだろう。電車が走り出すと我慢の限界が来たのか、横島にしがみ着いて、別の遊園地に連れて行けと駄々を捏ね始める。
 現在の時間は昼過ぎだ。本来は仕事をすぐに済ませて、今日は夕方まで遊んで行くつもりだったのだが、思いの外早くに武士道甲斐ランドを出る事になり、予定が狂ってしまった。
「どこか別の場所にでも遊びに行きます?」
「そうだ、私を遊園地に連れて行け! 東京デジャブーランドがいい!」
「そうしてやりたいのはやまやまだが、流石に時間がなぁ…」
 横島も本音で言えばエヴァの望みを叶えてやりたいのだが、如何せん時間が中途半端であった。
 次の目的地には、明日の朝までではなく今日の夜には到着していなくてはならない。
「何故だ!?」
 エヴァは悲鳴のような声を上げるが、横島の話によると、次の仕事は対象を探して山を捜索しなければならないらしい。夜遅くに山に入るのは危険であるため、ゴールデンウィーク二日目の早朝から山に入り、三日目の仕事の事もあるので、何としてでもその日の日暮れまでに仕事を終わらせるつもりでいる。
 そのため、今日の内に現地に到着し、夜の内にでも依頼主との打ち合わせを済ませなければならないのだ。
 理由を聞けば納得できてしまうため、エヴァの口惜しそうに下唇を噛んでいる。
「それじゃ、今日は向こうで宿泊ですか?」
「そうなるな。部屋の問題もあるから、早く到着する分に越した事はないだろうし」
 実は、元々横島が一人でやる予定の仕事だったため、現地では旅館が一部屋しか用意されていない。そのため、アスナ達の部屋が空いているかどうかは、現地に到着するまで分からなかった。
 空いていれば使わせてもらえるとの事なので、そういう意味でも早く現地に到着するのは都合が良かったりする。

「と言うわけで今回は諦めてくれ。また今度連れてってやるから」
「ホントだな! 約束だぞ!」
 エヴァが小指を出してきたので、横島はそれに自らの小指を絡ませて指切りをする。それで彼女はようやく納得してくれたようだ。
「ところで、次の目的地はどこなんだ?」
「ああ、それは――」
 横島が地図を見せて駅名を告げると、エヴァがにんまりとした笑みを浮かべる。
「どうした?」
「実はな、ここに上手いと評判の名店があるんだ」
 彼女が指差す先は、武士道甲斐ランドと次の目的地の丁度中間辺りだった。
 テレビで何度か紹介されている店なのだが、この店は通販が行われておらず、麻帆良に閉じ込められて通販以外に地方の名産を食べる術を持たない彼女にとっては、まさにいつか行ってみたい憧れの店なのである。
「あ、そのお店、私もテレビで見た事あるかも」
「私も聞いた事があるです」
 アスナと夕映も話には聞いた事があるらしく、その店に興味を示した。エヴァは心強い援軍が出来たと満足気だ。
「横島師父、途中下車する事になるが、どうするアルか?」
「貴様は、ジェットコースターに乗れなかった可哀そうな私を労わる気はないのか?」
「そんな恨みがましい目で見るな。分かった、今日の昼はそこで食べよう」
「よしっ!」
「やった〜♪」
 小さくガッツポーズのエヴァ。アスナも諸手を上げて喜んでいる。夕映と古菲も嬉しそうだ。

「横島さん、明日も頑張りましょうね!」
 とりあえず、神通棍と破魔札を手に活躍出来たアスナは、実に嬉しそうであった。
 GS見習い神楽坂アスナ、除霊助手としての本格始動第一日目は、色々あったが一同誰も怪我などはしていないので、概ね成功に終わったと言って良いだろう。



つづく


あとがき
 前回もここに書きましたが、『黒い手』シリーズ及び『見習GSアスナ』はフィクションです、実在の歴史上の人物とは一切関係ございません。
 また、『武士道甲斐ランド』の元ネタは言うまでもありませんが『富○急ハイラ○ド』です。
 しかし、そのものではないと言う事をここでお断りさせていただきます。
 ご了承下さい。

 ちなみに、作中でエヴァが使っている『魔法の射手・連弾・氷の199矢』と言う魔法は原作では使われていません。
 これの詠唱は、原作にある『魔法の射手・連弾・氷の17矢』と『魔法の射手・連弾・光の199矢』の二つを組み合わせて書いております。

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