topmaintext『黒い手』シリーズ魔法先生ネギま!・クロスオーバー>見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.150
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 昼食を終えた横島一行は、午後は皆の部活の方でやっている出し物を見に行く事にする。
 木乃香と刹那はこれに同行するが、千草は見てみたいものがあると別行動する事になり、月詠もそちらに行く事となった。お目当てはオカルト関係の研究発表らしい。
「いや、意外と本格的なんやわ」
「流石は関東魔法協会のお膝元……あんま関係あらへんやろか?」
「表向きは隠しているから無いと思うが、図書館島の蔵書の影響は無視できんな」
 千草は午前の護衛を担当していたので、丁度良いだろう。

 なお刹那の方は、祭りの期間中は休む気が無いようだ。夜レーベンスシュルト城に戻れば安全なので、日中はずっと護衛をと考えているのだろう。
「つまり麻帆良祭の間は、ずぅ〜っとせっちゃんと一緒って事やな」
「そ、そうなりますね……」
 結果として木乃香と一緒に祭りを見て回れるので、それはそれで良いのかも知れない。

 という訳で、午後から横島と一緒に祭りを見て回るのはアスナ、木乃香、刹那の三人となった。

見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.150


「横島師父ー、一緒に行くアルー
 麻帆良女子中から出た横島一行は、まず古菲と一緒に中国武術研究会、略して中武研の演武を見に行く事になった。
 古菲は横島も演武に参加しないかと誘ってくるが、横島はそれをやんわりと断る。
「え〜、つまらないアルヨ〜」
「いや、俺中国武術やってる訳じゃないし」
「それはそうアルが……」
「格闘大会の方は見に行くから、な?」
「うぅ〜……約束アルヨ?」
 横島は、涙目で拗ねる頭を撫でながら言い聞かせた。
 古菲は残念そうだったが、ひとまず納得してくれたようだ。
「そういえば予選っていつからなの?」
「今晩発表して、そのまま募集して予選開始アル」
「ずいぶん慌ただしいんやな〜……」
 本戦は明日行われるそうだ。かなりの強行スケジュールである。
 せめて今夜発表して募集、予選は明日にすれば良さそうなものだが、これには止むに止まれぬ事情があった。
「三日目は学園主催のイベントがありますからね、二日目までに終わらせなければいけないのでしょう」
 刹那の言う通り、三日目には麻帆良祭の会場全てを使った『学園全体かくれんぼ』が予定されている。超の格闘大会は、それに被らせずに終わらせねばならないのだろう。
 話を聞いた横島が、やはり出場しないのが正解だったと胸をなでおろしていたのは言うまでもない。

 その後一行は演武の会場に到着。
 始終そわそわしっぱなしだった古菲も、いざ本番となると真剣な表情に切り替わって演武を行った。
「どうだったアルかー♪」
「すごかったぞ、古菲!」
「いや〜、照れるアルな〜
 その後横島に幼子のように甘える部長の姿を見て、他の部員達が目を丸くしたのは余談である。

 それから一行は千鶴がいる天文部のプラネタリウムを鑑賞。学校の設備とは思えないほど本格的なもので、横島を驚かせた。
 一番喜んでいたのは木乃香だろう。占星術の関係で興味があるそうだ。

 次に夕映と一緒に図書館探険部の絵本朗読会に参加。横島が臨場感たっぷりに読み上げた桃太郎は、参加した子供達に大好評だった。
 色々と内容が変わっていた気がするが、気にしてはいけない。

 そして小腹が空いてきたので、ココネのクラスでやっているクレープ屋とアキラの水泳部でやっているたこ焼き屋で買い食いをする。
 ちなみにクレープ屋の方は、流石に小学生に火を使わせる訳はなく、担任が焼いて子供達はクレープを巻くなど他の仕事を担当していた。
 アキラは接客が恥ずかしいのか裏方をしていたが、横島達が来ると顔を出してくれた。
 そのまま話し込んでは迷惑になるという事で、少しだけ話して、後はレーベンスシュルト城でという事ですぐに退散する。

 その後も色々と回っている内に時刻は午後四時。
 木乃香と刹那が気を利かせてくれたというか、二人は二人でべったりだったため、アスナも思う存分横島に甘えられて大満足な様子だ。
 甘えられた側も、露出度高めの胸を押し付けられて煩悩全開、文珠を一つ追加で生み出していた。
 それでも表面上は平静を保っていたというのだから、その隠蔽技術は流石としか言いようがない。彼が麻帆良に来て一番鍛えられたのは、おそらくこれだろう。
「横島さん、次はどこ行きます?」
「五時半から予選があるって話だから、もう少し時間はあるな……」
 古菲から聞いた予選開始まで時間が空いている。
「一度どこかで皆と合流しますか?」
「そうだな、もしかしたら他にも出るヤツいるかも知れないし」
 合流場所は『超包子』にしようと思い超に連絡してみたが、格闘大会の件で泣きが入る程忙しそうだったため遠慮する事になった。
 下手に情けをかけると、いつの間にか参加させられそうな気がするので、手伝いを申し出る事も無い。
「超、かなり大会に力を入れてますね」
「何がやりたいんだか……」
 どうしてそこまでという疑問もあるが、超の考えを推察しろなど無茶もいいところなので考えないようにする。
 なお店の方は、五月がお料理研究会から臨時のバイトを雇って回しているそうだ。
 今も大混雑していると思われるため、やはり合流場所にするのは避けた方が賢明だろう。
 という訳で一行は食堂棟に赴いてみたが、ここも人人人の人だかり。どこも満席で並ぶ事になりそうだった。
「もしかして、期間中はずっとこんな感じか?」
「観光客が集まってますからねぇ」
「今回は援軍もいるから余計に、ですね」
「ちょっと聞いてみるか……」
「誰にですか?」
「とりあえず刀子先生」
 連絡して空いてそうな穴場は無いかと確認したところ、この時期にそういう場所は無いので、一度レーベンスシュルト城に戻るように言われた。麻帆良女子中の教室より城の方が大会会場に近いらしい。
 かくいう彼女も、この後買い物をして戻るつもりだったそうだ。
 ちなみに魔法先生達にとっては、学園都市各所のセーフハウスで夕食を済ませてすぐに警備再開というのが毎年恒例の事なのだとか。
 木乃香の護衛になっている刀子は、今年は早めに休めると内心大喜び。そう、彼女の買い物とは晩酌のための缶ビールである。

 結局横島は電話を掛けまくり、一度レーベンスシュルト城に集まる事になった。
「私は格闘大会に興味は無いぞ」
 合流したエヴァの第一声がこれだ。この後、屋台で食べ歩きを楽しむ気だったらしく不満たらたらだ。
「そもそも、それほどの大会になるか?」
「超だからなぁ……」
「……そうか、超だからか」
 エヴァもそれで納得してしまうあたり、なかなかの信頼感である。

「エヴァちゃん、いいの? 優勝賞金1000万だけど」
「私が金に釣られると思っているのか? 神楽坂明日菜」
「ほら、麻帆良出た後の生活費とか」
「みみっちい話を……」
「いや、1000万はみみっちくないでしょ」
「城の蓄えだけで十分だが……そうだな」
 ここで何か思いついたのか、エヴァが再び悪い笑顔になる。
 それを見てアスナは気付いた。自分が何か妙な地雷を踏んでしまった事を。
「どこぞのバンパイアハーフの例もある。私もGS資格を取るのも良いかも知れん」
「エヴァちゃんも!?」
「貴様が資格試験を受ける時に、一緒に受けてやろう。合格枠が確実にひとつ潰れる事になるな」
「ちょっ!?」
「あの試験は、運命を示す『ラプラスのダイス』で組み合わせを決める。貴様に実力があれば合格できる組み合わせになるだろう。なぁに、ハードルが一人分上がるだけだ。クックックッ……」
「あああ、余計な事言わなきゃよかった〜〜〜!」
 頭を抱えるアスナを見下ろしながら、エヴァはブランデーグラス片手にご満悦だった。
 何にせよ、エヴァは大会不参加である。

「高音達はどうする? 出るか?」
「まさか! 魔法使いが出るものでもないでしょうし」
「流石に格闘家の皆さんを相手にするのはちょっと……」
 高音と愛衣も、特に参加する理由は無いという事で不参加。
「刀子さんは?」
「出れなくもないけど、他の先生方が忙しいのに出るのはまずいでしょうね」
「ああ、確かに……」
 そして刀子も同僚達への配慮で不参加が決定。結局レーベンスシュルト城からは古菲だけが参加する事になった。

「古菲にネギ君達も出るなら、予選から見に行った方がええかなぁ?」
「予選は、それほどのものにはならないと思いますけどね」
「そうなん?」
「元々の小さい大会に出場しようとしていた人達も集まるでしょうから」
「1000万に釣られて観光客が飛び入り参加したりして……」
「それもありますね。予選は、そういう『素人』達をふるい落とすためのものになるでしょう」
「超の事だ、くじで選ぶとか言いつつ強い者同士は本戦で当たるように仕込むくらい鼻歌交じりでやるぞ」
「ああ、やりそうですね。超さんなら」
 エヴァが再び悪い顔をして口を挟むと、刹那はあっさりと納得。流石の信頼感である。

 結局、予選は大した試合にならないと聞いた多くの面々は、予選突破を祝うパーティーの準備をしておくと言い出した。
 木乃香はネギも参加するというのもあって見に行きたがったが、彼女が動くと刀子達も動かなければならなくなるので、予選は遠慮しパーティー準備の方に回る。
 という訳で観戦者は保護者気分の横島、そんな彼と一緒がいいアスナ、どんな参加者が集まるのかと好奇心をくすぐられた夕映、ネギの成長ぶりが気になるアーニャ。
「古菲、パーティーの準備して待ってるよ!」
「任せるアル!」
「予選が終わったら、ネギ先生達も連れてくるですー!」
「皆でパーティーだー!」
「……横島、やはり私も行くぞ」
 そして残る面々のノリに付き合うのが億劫になったエヴァも来る事になり五人となる。
 そのまま城の事は茶々丸に任せ、横島一行は大会会場へと向かった。


「うわ〜、集まってるわねぇ〜」
 会場である龍宮神社は、予想以上の人だかりで溢れかえっていた。人の波に遮られて横島達からは入り口が見えない状態だ。
「あーっ! ネギ!」
 まずはアーニャがネギ一行を発見。こちらに気付いたネギ達が駆け寄ってくる。ネギに小太郎。豪徳寺達四人も全員集合だ。
「横島さん、やっぱり大会に出るんですか?」
「いや、古菲が参加するから見学だ」
「相変わらずだな、お前は」
 そう言って豪徳寺がため息をついた。同時に納得もしていた。横島の性格を考えるに、参加しそうにないと思っていたのだろう。
「まー、横島の兄ちゃんが出たって、今日まで鍛え抜いた俺らには勝てんやろ」
 そういう小太郎には『近衛部隊の鬼教官』リカードに鍛えられてきた自負があったのだろう。
 アスナ達は子供の言う事だしと笑っていたが、アーニャだけはそれを聞き逃せず、猛然と噛みついていく。
「なによ! 私のタダオが出場してたら、あんたなんてケチョンケチョンよ!!」
「なんやとチビ助!」
 一色触発の二人に、ネギが慌てて割って入った。
「落ち着いて、二人とも! ほら、小太郎君もそんな事言っちゃダメだよ!」
「せやかてな、女とチンタラ修行しとるヤツに俺らが負ける訳ないやろ!」
 ムキになる小太郎。しかしネギは静かな、それでいてしっかりした口調で彼にこう告げる。
「いや、横島さんがやるとなったら……絶対、罠を仕掛けてくる! 簡単には勝たせてくれないよ!
「うっ……」
 やけに実感がこもった言葉に、小太郎は思わずたじろいてしまった。
 豪徳寺も、その肩に乗るカモも、腕を組んでうんうんと頷いている。
「好き勝手言ってくれてんな、オイ」
「でも、やるんでしょ? 兄さん」
「当たり前だ」
 やるとなれば恥じ入る事なく胸を張って罠に掛けるのが横島である。
 結局小太郎がおとなしく引き下がり、アーニャはフフンと得意げに胸を張った。
 彼女にとって横島は、自慢の『魔法使いの従者(ミニステル・マギ)』なのだ。

「来たか、お前達! こっちだ!」
 続けて声を掛けてきたのは、巫女装束の真名。一行は彼女の側に歩み寄る。
「真名、大盛況アルな!」
「ここにいる半分くらいは見学だと思うがな」
 参加者用と見学用の入り口があるが、ここではまだ一緒くたになっているそうだ。
 ネギ達によると、のどか達が見学に来ているそうだが、良い場所を取ろうと既に見学用入り口近くに並んでいるそうだ。
「というか、その格好で出るのですか?」
「ああ、さっきまでバイトしててな。まぁ、予選ならこれでもいけるだろう」
「……つまり、予選で強敵と当たる事は無いと?」
「さて、どうだろうな」
 夕映のツっこみを、真名はニッと笑って流した。
「まー、その辺は深くツっこまんが、見学はどこに行けばいいんだ?」
「ああ、それなら向こうだ。だが、この様子だともう良い席を取るのは難しいかも知れない。噂を派手に流し過ぎたか?」
「1000万に釣られてるんじゃない?」
 アスナの言葉に真名は笑った。確かに1000万は破格だ。
 だが、その一方で賞金100万、200万のクイズ大会ならざらにあるというのが、この麻帆良祭なのだ。
「最前列で見られない時は仕方がない……屋根にでも上るか?」
「ウチの神社でそういう事はだな……」
「よし、俺達も早めに見学席に移動するか! 古菲、頑張れよ!」
 今度は真名の言葉が流され、横島達は見学用の入り口の方へと移動してしまう。
「……不安だ」
 真名はその背中を、口元を引きつらせながら見送るしかない。
「まぁまぁ、横島師父は、ホントに真名を困らせる事はしないアル」
「かも知れんがな……」
 横島の事を素直に信じている古菲が、今は無性に羨ましかった。


 それからしばらくして開場となり、参加者と見学者はそれぞれ斎庭へと入った。
 結局横島達はのどか達を見つける事ができず、横島が先頭になって少しでも見やすそうなところを探して人混みをかき分けてく。
「ん……?」
「横島さん、どうしました?」
「いや、なんか妙な予感が……」
「予感?」
 それって何ですか、とアスナは続けようとしたが、それよりも先に彼女達の前に見覚えのある人物が人混みをかき分けて現れた。

「あら、横島君じゃない。あなた達も見に来てたの?」
「「美神さんっ!?」」

 重なる横島とアスナの声。
 そう、そこに立っていたのは現役GSトップクラスの一人、横島のかつての雇い主、美神令子その人であった。





つづく


あとがき

 アスナが年齢詐称薬で変身したネギとデートの練習をしない。
 →エヴァがナギに似たネギを目撃しない。
 →最終日デートの約束が発生しない。

 という訳で、エヴァは格闘大会に参加しません。


 超追跡中に使った『風花・武装解除(フランス・エクサルマティオー)』を横島がアーティファクト『コスモエッグ』で防いだ。
 →高音&愛衣、脱げない。
 →高音、ネギに対抗心を抱かなかい。
 →高音&愛衣、ネギとのどかのデート中のキス・ターミネーター事件に関わらない。
 →高音&愛衣、脱げない。

 という訳で、高音&愛衣も格闘大会に参加しません。

 というか、ネギが原作よりもパーティリーダーとしての責任感を持って成長していますので、キス・ターミネーター事件自体が起きていない可能性が高いです。

 レーベンスシュルト城に関する各種設定。
 関東魔法協会、及び麻帆良学園都市に関する各種設定。
 魔法界に関する各種設定。
 各登場人物に関する各種設定。
 アーティファクトに関する各種設定。
 これらは原作の表現を元に『黒い手』シリーズ、及び『見習GSアスナ』独自の設定を加えて書いております。

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