topmaintext『黒い手』シリーズ魔法先生ネギま!・クロスオーバー>見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.56
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 横島が出血多量で茶々丸預かりとなった翌朝、新聞配達のおかげか朝に強いアスナはまだ夜も明けぬ早朝の内に目を覚ました。中央のリビングを覗き込み、皆がまだ起きてきていない事を確認すると、早速身だしなみを整えてからこっそりと部屋を抜け出し、横島の下へと向かう。
 寮でも朝刊配達に行く時は皆がまだ寝てる時間であるため、こっそり抜け出す事に関しては手馴れたものだ。
「…そう言えば、さよちゃんも寝てるのかしらねぇ、人形の身体だけど」
 隣室、和美達の部屋の前を通る際にふと疑問が浮かんだりもするが、今は横島に会いに行く事を優先する。

 ちなみに、後日さよに尋ねてみたところ、彼女も夜はしっかり眠っていると言う答えが返ってきた。
 幽霊の身体だけでいた頃は眠らなかったそうだが、人形の身体に入っていると眠れるようになったらしい。エヴァお手製の人形のおかげかも知れないが、その辺りはさよもよく分かっていないそうだ。

 閑話休題。

 道すがら出会った茶々丸の姉だと言うメイドに尋ねながら進み、アスナはようやく横島が居ると言う部屋の前に辿り着いた。医務室などではなく、ただ単に医療品等を仕舞ってある倉庫に程近い部屋である。
「それにしても広いわねぇ…」
 今更だが、エヴァの別荘は本当に広い。
 エヴァの話によると、彼女はこの別荘以外にも更に広大な城をはじめとする各種空間を閉じ込めた水晶球も所持しているらしい。しかし、麻帆良学園都市に閉じ込められて以来、茶々丸の誕生まで自分一人ではそれらを維持出来ず、倉庫の中に放り込みそのまま放置していたそうだ。
「まったく、魔法使いの経済力ってのはよく分かんないわねぇ」
 ポツリと呟いたアスナの言葉は、奇しくも師匠である横島が、別の水晶球の城に侵入した際に呟いたそれと同じものであった。
「茶々丸さーん」
 コンコンとノックをしてみると、扉の向こうから慌しく動き回る声が聞こえてきた。やがて一分ほど経過してから扉が開き、どこか慌てた様子の茶々丸が顔を覗かせる。
「あ、アスナさん…おはようございます」
「もしかして寝てた?」
「い、いえ、大丈夫です。少し考え事をしていただけですから」
 昨晩、茶々丸は寝ずの看病をしていたらしい。考え事をしていたと言っているが、もしかしたら彼女もウトウトとしていたのかも知れない。
「朝食ですか? すぐにご用意いたしますので、少しお待ちください」
「いやいや、そうじゃないのよ。横島さん、大丈夫かなーって」
「そうでしたか、ではどうぞ」
 茶々丸に促されて部屋の中に入ると、そこは殺風景な部屋であった。普段は使用していない部屋らしいので、それも仕方のない事だろう。逆に、それが病室らしさを醸し出しているかも知れない。
 部屋の中央に位置するベッドに横島は寝かされている。アスナは頭に氷嚢でも乗せているのではないかと考えていたが、そんな事はなかった。
「血の流し過ぎですので、消耗した体力を回復させなければなりません」
「鼻だけじゃなくて耳と頭からも噴出してたものねぇ…」
 憮然とした表情で呟くアスナ。横島がこうなった原因は、千鶴と高音の二人。どうやらアスナは、自分ではなく二人を見て横島がこうなった事が引っ掛かっているようだ。
 千鶴は3年A組の中でも随一のスタイルの良さを誇り、昨日のあの時まで子供だった高音も元の年齢の姿に戻ると、これまた女性から見ても息を呑むほどの肢体を見せ付けてくれた。
 高校生なのだからアスナ達より大人っぽいのは当然だ。愛衣と横島以外に高音を知る夕映が「黙っていれば」と呟いていた言葉の通り、少し変な人ではあるが、それを踏まえて考えても皆が羨むほどの美人である事は間違いない。

「ところで、魔法で治療してるの?」
「いえ…」
 アスナの問いに茶々丸は「マスターは回復魔法を不得手としております」と首を横に振った。
 横島はここに運び込んだ時点でかなり体力を消耗していたが、何故か霊力だけは普段よりも漲った状態だったらしい。茶々丸が何かするまでもなく横島自身が霊力をフル稼働させ、自力で回復しようとしている。
「そ、そんな事が出来るの…?」
「原理としては、以前アスナさんが疲れた身体を癒すために横島さんに霊力を送り込んでもらったのと似たようなものです。ただ、それをもっと大掛かりに行っているだけで」
「へぇ、すごいのね…」
 とは言え、血が足りない状態だけは如何ともし難かったらしく、夜中に目を覚ました横島は文珠を一つ使ってそれに対処したそうだ。
 この調子ならば今日も修行を見てもらえるのではないかとアスナは嬉々とした様子だったが、残念ながらそれには茶々丸が待ったを掛けた。
 確かにこの様子ならば昼頃には横島の体調も回復するだろう。しかし、それはあくまでギリギリの状態であって、昨日までと同じように無茶が出来るほどではない。
 今日もエヴァに血を吸われる事を考えれば、それ以外は何もせず体力の温存に努めてもらうのが望ましいと茶々丸は考えていた。
「そっちをなくすわけにはいかないわけ…?」
「その場合、マスターが魔力を補給できなくなり、結果としてネギ先生の修行が滞る事になります」
 おずおずと問い掛けたアスナを茶々丸は一蹴した。
 エヴァ曰く、ネギがヘルマンのような魔族とタイマンで戦うには一週間掛けてもまだまだ足りないとの事。修行を滞らせると言う事は、それだけネギが無事生還する可能性を下げると言う事だ。それを理解した上で、エヴァと横島の二人は、毎日エヴァの魔力回復に協力すると言う約束を交わしている。
「じきに目を覚ますと思いますが、組み手の類や霊力を使うような事は出来ないでしょう」
「そっか。まぁ、そうよねぇ」
 残念ではあるが、状況が状況だけにアスナは引き下がるしかない。
 横島と一緒に修行をしたいのはやまやまだが、流石にネギの身の安全と引き換えとなると、自分の我侭を押し通す訳にはいかなかった。
「はぁ〜、修行が必要なのは私もなんだけど…仕方ないか」
「それについては、横島さんが夜中に目を覚ました際に言っていました」
「なんて?」
「アスナさんと古菲さんの修行については『高音さんを頼るように』と」
「高音さん? …あ、そっか。あの人も魔法使いだもんね」
 いきなり全裸で登場したインパクトが強過ぎて、「美人だけどちょっと変な人」と言う印象があるが、彼女はああ見えて麻帆良学園都市に居る見習い魔法使いの中でもトップクラスの実力者なのだそうだ。
 「見習い」と言う単語や、そんなに魔法使いは大勢いるのか等々、ツっこみたい事は山ほどあるが、他ならぬ横島の紹介だ。アスナは朝食後にでも高音に頼んでみる事にする。
「それじゃ、私朝ご飯まで塔の周り走ってくるわ!」
「朝食の時間はどうしましょうか?」
「皆と一緒でいいわ。それまでは自主トレでもしてるからっ!」
 このまま皆が起きて来る時間まで自主トレに励むつもりなのだろう。茶々丸の返事も待たずに、アスナはそのまま元気よく部屋を飛び出して行ってしまった。

見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.56

「え、私が貴女達の修行を…?」
 朝食後、アスナは早速古菲と共に高音の下を訪れ、自分達の修行相手になって欲しいと頼み込んだ。
 彼女も昨晩は精神的なショックで倒れたが、肉体的にもダメージを負っていた横島ほどではなかったようで、朝にはきっちりと目を覚ましていた。昨日の事を思い出して時折壁に向かってブツブツと呟いては愛衣に肩を叩かれたりしていたが、それ以外は特に問題はないようだ。聖ウルスラ女子高等学校の制服を颯爽と着こなす強気そうなその姿は、昨日までの人見知りの激しい子供時代の彼女からは想像もつかない。
 高音は戸惑った様子だったが、横島が彼女に頼むように言った事を伝えると、高音はフムと考え始めた。
「そもそも、貴女達は一般人でしょう? 魔族との戦いは私達に任せてくれれば…」
「横島さんの弟子です!」
「これでも正式な除霊助手アル」
 強い意志を以って断言する二人。これは双方一歩も引き下がりそうにない。
 高音は思わずこめかみを押さえて唸った。彼女にしてみれば麻帆良に攻め込んで来た魔族に対処するのは魔法使いの役目であって、本当ならばアスナ達だけでなく豪徳寺達にさえも参戦して欲しくないのだ。
 しかし、ヘルマンと言う魔族はネギとの一騎討ちを望み、学園長の孫を始めとするネギの生徒達を人質に取っている。更に他の魔法先生達も学園都市周辺の山中で起きている魔物の大量発生への対処に追われ、そちらに釘付けにされてしまっているのが現状だ。
 ヘルマンがすらむぃ、あめ子、ぷりんと言う三体のスライムを連れている事を考えれば、無事に人質を救出するために人手が必要なのは確かなのだが、だからと言って一般人の手を借りてもよいものか。魔法使いとしてのプライドと現実の板挟みとなってしまい、高音は頭を抱えて悩んでいる。魔法使いではない人間を相手に、どう対処すれば良いのか分からないと言うのもあるようだ。
「ああっ、私はどうすれば!?」
「お、お姉様! ここはお兄様の判断に任せましょう、ね?」
 更には天を仰いて悩み続ける高音を、隣に居た愛衣が宥めた。
「あの〜…高音さん?」
「やぱり面白い人アル」
 傍から見ている分には、面白い光景である。

「…分かったわ。横島君が目を覚まさないのは私のせいでもあるわけだし」
 悩む事数分、高音はようやく自分の中でも落としどころを見つけたようだ。
 アスナと古菲は横島の除霊助手である。その横島が昨晩倒れたのは自分のせいでもある。
 むしろ高音は被害者側と言う気がしないでもないが、彼女はこう考える事で自分に義務感を与えていた。
「貴女達の面倒は私がみます!」
「やった!」
「おおっ、組み手はしてもらえるアルか?」
「組み手? ああ、貴女は中武研の…それなら、私の使い魔で」
「「使い魔?」」
 疑問符を浮かべる二人に対し、高音は指を鳴らして目の前に使い魔達を出現させる事で返事とした。
 高音の周囲に突如現れる身長2メートルを越える黒衣の巨体。その手足は細めで、まるでカーニバルのような装いだが、白い仮面を被り無言で佇むその集団からは、傍目にも異様な雰囲気が伝わってくる。
「な、何これ? 横島さんの簡易式神とは随分と雰囲気が違うんだけど…」
 ちなみに、横島は組み手をする際には通常の姿をした簡易式神を用いており、またアスナにも『ハマノツルギ』は使わせなかった。その背丈は横島より少し低いぐらいだ。
 以前は特殊な陰陽師に似た姿をしたものしか出せなかったのだが、そちらは式神の負ったダメージが横島自身にも伝わってしまう。古菲と直接戦いたくないと言う横島の強い意志が、通常の簡易式神を生み出す事を可能としたのだ。
「おぉっ、強そうアル!」
「フッ…当然です」
 褒められた事に照れて視線をそらす高音。
 普段は人知れずに戦う事が多く、魔法使い同士では今更使い魔を褒めるような事もあまりないため、こうして素直に称賛されるのは新鮮でくすぐったいらしい。高音はそっぽを向いているが、その頬は紅く染まっている。
 高音に対し「ちょっと変な人」の印象を抱いていた一同も、使い魔達を見て素直に彼女を見直したようだ。その様子に愛衣は嬉しそうにうんうんと頷いていた。

「冗談じゃねーぞ、何なんだあの化け物どもは…やべ、私の堅実な現実感覚が木っ端微塵に砕け散りそうだ」
 ただし、若干約一名を除いて。
 もっとも、本人が気付いていないだけで、彼女の現実感覚の耐久力はとうの昔にゼロである。


 その後、準備をしてくるからと席を外す高音。アスナ達は一足先に砂浜へと移動し、彼女を待つ。
 この間に、皆もそれぞれの目的に合わせて動き出した。高音の復活は方々にも影響を与えたらしい。
 まず、ネギは肩にカモを乗せ、エヴァと一緒に屋上へと向かって行った。今日から茶々丸もネギの修行に参加するそうだ。つまり、今日からネギは二対一で戦う事になる。それだけ修行が順調と言う事なのかも知れない。
 豪徳寺達は昨日と同じく三人でチャチャゼロと塔を挟んで反対側の砂浜へと向かって行く。チャチャゼロをすらいむ娘に見立ててのトレーニングを行うようだが、複数でコンビネーションを以って戦う事も視野に入れ始めている。これは高音が復活した事で彼女もヘルマンとの戦いに参戦出来るようになり、三人がそれぞれ一体ずつを相手にすると言う事に拘らずに済むようになったためだ。
 また、のどかは愛衣指導の下、アスナ達から少し離れた所で魔法の練習に励んでいる。こちらも高音の復活により子守りに意識を割く必要がなくなったため、のどかの指導に集中出来るようになっていた。彼女は一般人に魔法を教える事に、あまり忌避感は無いらしい。
 昨日まで資料の山と格闘していた夕映達も、今日はアスナ達、そしてのどかの修行を見学している。
 先程高音の使い魔を見て、ネギや愛衣、そしてエヴァとも異なる魔法使いの姿に好奇心が刺激されたらしい。また、土偶羅は魔法界の魔法に興味があるようで、愛衣の隣に立ってのどかの修行に口出ししたりもしていた。
 そして、昨日までは海水浴等で遊んでいた桜子達も今日は見学組だ。皆やはり高音に興味があるらしい。
 ちなみに、千雨も結局は見学に来ていた。認めたくはないが、正体不明のまま放っておくのも気味が悪いと言ったところだろうか。何とも複雑な心境である。

「待たせたわね」
 アスナと古菲がウォーミングアップをしていると、そこに例の黒衣の戦闘服に着替えた高音が髪をかき上げながら現れた。似合ってはいるのだが、やたらと気合の入った装いに一同は唖然としている。
「それじゃ、始めましょうか」
「ハイ!」
 高音の指が一点、アスナ達を指し示すと、それを合図に黒衣の使い魔達が構えを取った。アスナと古菲も神通棍を伸ばし、構えを取る。
「さぁ、二人同時に掛かって来なさい。こちらは使い魔だけが攻撃します。私に一撃でも有効打を当てた時点で、貴女達の勝ちよ」
 つまり、六体の使い魔達の壁を掻い潜って、高音自身を攻撃しろと言う事だ。
 使い魔達の布陣を見るに、二体が高音の護衛に付き、アスナと古菲それぞれを二体ずつで相手するつもりらしい。常に多対一を強いられる事になるが、ネギもエヴァと茶々丸を相手に同じ事をしているのだ。それだけ実戦的な組み手と言えるだろう。古菲はやる気満々である。それに、高音はその気になればこれの数倍の数の使い魔を同時に操る事が出来る。これでも手加減している方なのだ。
「アスナ、がんばれー!」
「古菲も負けるなよー!」
 ギャラリーが口々に応援の言葉を投げ掛けるが、そんな簡単な話でない事は、実際に使い魔達と相対している二人が一番よく分かっている。
「では、いきますわよ」
 高音の言葉を皮切りに、使い魔達が一斉に動き始めた。
 それに合わせて二人も動き始める。かなり厳しい組み手になりそうだが、これに勝利出来るぐらいでなければ、横島に頼られるような除霊助手にはなれないだろうとアスナは考える。
「行きますよ、高音さん!」
 横島の不調がもたらした状況だが、これはまたとない機会だ。
 アスナは静かに呼吸を整え、目の前の敵に集中し始めた。


 この時、アスナにミスがあったとすれば、目の前に集中し過ぎていた事だろう。
 だから気付けなかった。自分が現在別荘に居る全員の所在を確認していない事に。
 そして、茶々丸がネギの修行に参加している今、まだ眠っている横島を一体誰が看ているかを。

「横島さん、目を覚まさないねぇ」
「熱は…ないみたいね」
「って、何やってるのちづ姉!?」
「?」
 アスナが所在を確認していなかった二人、千鶴と夏美が、ネギの修行のために横島の側から離れる茶々丸の代わりを買って出ていた。
 千鶴は眠る横島の額に自分の額を当てて熱を計っている。まるで顔を近づけて口付けをしているかのようで、夏美は顔を真っ赤にして慌てるが、千鶴は当然の事をしていると言わんばかりに平然としている。
「ねぇ、夏美ちゃん…私、本当に子供になっていたのね?」
「え…あ、うん。よく分かんないけど、呪いだって横島さんが言ってた」
「横島さんにご迷惑をお掛けしなかったかしら?」
「え〜っと…」
 夏美は一瞬言葉に詰まった。
 子供の千鶴は横島に甘えまくっていた。彼は子守りが得意なようで、それを迷惑に思っていたかどうかは微妙なところだ。本人に聞いてみなければ分からないが、聞いたところで横島は迷惑だったとは言わない気がする。
 何より、横島が今こうして倒れている原因の一端が千鶴にある事は確かだ。しかし、それが迷惑だったかと聞かれると、他ならぬ千鶴の肢体だ、むしろ男の人は喜ぶんじゃないかとも思う。
「…そう、横島さん――いえ、忠夫さんが目を覚ましたらお礼を言わないとね」
 夏美が言葉を詰まらせたのを悪い意味で受け取ったようだ。小さく溜め息をついて瞳を伏せる。
 千鶴はあの後、自分の足で浴場に戻って行ったので、あの時横島に一糸纏わぬ姿を見られてしまった事を分かっているはずなのだが、彼女にそれを気にした様子は無い。純粋に、子供になっていた自分が迷惑を掛けたのではないかと気に掛けている。
「いや、ホントに大丈夫だって。子供の時のちづ姉ホントにいい子だったし」
「だったら良いんだけど、ね…」
 慌ててフォローする夏美に千鶴は苦笑して応えた。
 ふと視線を窓の外に向けると、眼下に高音の使い魔相手に奮闘するアスナや古菲、その周囲で応援する者達が見える。
 黒衣の使い魔達の存在は千鶴にはにわかに信じ難いものであったが、昨晩横島が倒れた後、和美と愛衣から詳しい事情を聞き、他ならぬ自分自身が昨日まで子供にされていた事を考えると否が応でも受け容れざるを得ない。
「すごいよねー、アスナ達」
「そうね。修学旅行の時もそうだったけど、本当に除霊助手としての道を歩んでいるのね、アスナさんは」
 そう言って微笑む千鶴の眼差しは、まるで娘の成長を見守る母のよう――と夏美は思ったが、後が怖いので口は出さずに心の中だけに留めておく事にする。
「って、何やってんのちづ姉ーーーっ!?」
 振り返った夏美の目に飛び込んできたのは、横島のシャツを脱がしにかかる千鶴の姿だった。
「何って、こんなに寝汗でぐっしょりなんだから、ちゃんと拭いて着替えさせないと風邪ひいちゃうわ」
「いや、でも…」
 これが子供にされた千鶴のような年齢ならともかく、横島は夏美達よりも年上の高校生だ。
 看病とは言え、その手で着替えさせると言うのは流石に恥ずかしい。
「恥ずかしいなら、向こうを向いていてもいいのよ? 私がやるから」
「え、えーっと…あ、はい、タオル」
 どう返事すれば良いか迷いながらも、夏美は手近にあったタオルを投げ渡す。
 それを受け取った千鶴は、すぐに横島の顔、それと上半身の汗を優しく拭き始めた。
「あ〜…うん、私も手伝うよ、ちづ姉」
 千鶴一人に任せるのは危険だと考えてしまったのは、夏美だけの秘密である。
「そう? じゃあ、着替えを取ってくれないかしら? そこのバッグに入っているそうだから」
「分かった。って、あれ? ないよ?」
 夏美は茶々丸が用意したと言うバッグを開いてみるが、そこに入っていたのはTシャツとトランクスのみ。トランクスを見て夏美は思わず頬を染める。そして、他にも入っていないかと探してみるが、肝心のパジャマがどこにも見当たらない。
「おかしいわね、何も入ってないの?」
「うん、シャツと下着だけでパジャマがどこにも」
「それでいいのよ。忠夫さんの寝巻きはそれみたいだから」
「あ、そうなんだ………って、えーーーっ!?
 思わず大声を出してしまう夏美。
 見ると千鶴はタオルを手にシーツを捲り上げて下半身の方に取り掛かろうとしている。
「ち、ちづ姉、それは流石に不味いんじゃ?」
「このまま放っておく方が不味いわよ」
「そりゃそうかも知れないけど、健全な女子中学生として!」
 と言っても千鶴は聞く耳を持たない。早く着替えを取って欲しいと催促してくるので、夏美はバッグの中からTシャツとトランクスを一つずつ掴み取ると、真っ赤にした顔を背けたまま、震える手でそれを千鶴に手渡した。
「シャツを着せるから、手伝ってもらえないかしら?」
「は、ハイ!」
 体格差があるため、流石に千鶴一人では着替えさせられないのだろう。夏美は目をぎゅっと瞑ったまま、千鶴み言われるままに横島の身体を支えてそれを手伝う。
 ぐったりとした横島はそれでも目を覚まさなかった。余程消耗しているのだろう。その身体は重く、夏美はその背を全身で押すようにして支える事になった。
 目を瞑ったまま、千鶴に言われるままに動いて支え続ける夏美。その間に千鶴が新しいTシャツを着せていくと、一端離れた頬に伝わる感覚が人肌のそれからTシャツのそれへと変わる。
 恥ずかしくて全く直視できなかったが、汗を拭いたばかりの横島の背は少し汗の匂いがして男臭かった。しかし、何故かそれをさほど嫌とは感じない。夏美はそんな自分の感覚に驚きを隠せずにいる。
「ハイ、おしまい」
 聞こえてくる千鶴の声は実に暢気だ。夏美はバッと横島から離れて次の指示を待つ。
 次はトランクスの履き替えを手伝うのだろうか。そうなったら自分はどうすれば良いのだろうか。
 やはり、一度手伝うと言ったからには手伝わねばならないのだろうか。頭の中を何かがぐるぐると渦巻いている。
 自分も横島には世話になったのだし、ここはやはり手伝うべきだ。夏美が決死の思いで覚悟を決めたその時、千鶴の次の指示が彼女の耳に届いた。
「これはいらないから、バッグに戻しておいてちょうだい」
「…え゛?」
 何かを手渡されて目を開いてみると、その手の上にあったのは先程夏美が千鶴に手渡したトランクスであった。
「シャツとタオルは洗濯物ね、後で茶々丸さんに渡せばいいのかしら?」
 千鶴は着替えさせたシャツとタオルを畳んで棚の上に置く。
 ベッドを見ると、着替え終えた横島が寝息を立てていた。
「え、え〜っと…」
「夏美ちゃん、どうしたの?」
 言うまでもない事ではあるが、千鶴はTシャツを着替えさせただけであった。寝汗を拭くのは下半身、足まで及んだが、流石にトランクスには手を付けていない。それこそ『健全な女子中学生』として当然の話である。
「は、ははは、はは…」
 直後、夏美がぐるぐると目を回して、真っ赤な顔から湯気を噴き出しながら崩れ落ちたのは言うまでもない。これもまた当然の話であった。



 そして時間は流れ昼食時、眠り続けていた横島が目を覚ました。
 朝食を抜いたためか空腹だったので、一旦千鶴と夏美には部屋の外に出てもらってから着替えると、二人を連れて茶々丸の姉達の誰かを探しに行く事にする。
 着替えを終えた横島が廊下に出ると、丁度豪徳寺達が慌しく通り掛かったところに出くわした。何をそんなに慌てているのかと聞いてみると、塔の上からネギが呼ぶ声が聞こえたとの事。
「何事かは分からんが、ただ事ではない様子だったからな」
「そう言や、千鶴ちゃん達が元に戻って半日程度か…もしかして、ポチ先輩達が帰ってきたんじゃないか?」
「それか!?」
 それを聞いた豪徳寺達は更にスピードを上げて屋上へと走って行った。
 横島達も、走りこそしないものの彼等の後を追う事にする。

 屋上に到着すると、案の定ポチと小太郎の姿がそこにあった。
 ただし、彼等二人だけではなく聡美の姿もそこにある。怪我人である二人を彼女がここまで運んできたようだ。無論、小柄な彼女にそんな力があるはずもなく、麻帆良大学工学部自慢の作業用機械を使ってだが。
「無事にパイパーを倒せたみたいだな」
「ああ、何とかな」
「…俺らだけの力やない!」
 ポチは小さく笑みを浮かべて答えるが、小太郎の態度はそっぽを向いてどこか刺々しい。
 田中ハジメの事がショックなのだろうが、その事を知らない豪徳寺達は顔を見合わせて疑問符を浮かべた。
「ところで横島は?」
「ここに居るぞ」
 そう言って横島が一歩前に出ると、ポチは視線を聡美へと向ける。それに気付いた彼女は手にした物を横島へと差し出した、『金の針』だ。ネズミ・パイパーが持っていた大きなサイズのままなので、針と言うよりも「槍のような武器」と言った方がしっくりくる。
 風船を全て割った後、残った『金の針』をどうするかと言う問題に直面した彼等、そのままへし折ってしまえと言う意見も出たが、物が金だけに粗末に扱って良いのかも分からず専門家であるGSの横島に全て任せる事にしたらしい。
「二人とも怪我の方は大丈夫か?」
「札で治療はしたんだがな、すまないがヘルマン戦には参加出来そうもない」
「気にするな、犬豪院」
「そうそう、後は俺達に任せてくださいよ、先輩」
 文珠で二人の怪我を治療すると言う手もあるのだが、横島の回復力がエヴァの吸血でスポイルされ、あと数日ではこれ以上文珠のストックを増やせないと言うのが現状だ。昨晩も足りない血を補うために一つ使ってしまった今、ヘルマン戦のためにもこれ以上の文珠の使用は避けたかった。
「とりあえず、二人を部屋に運ぼう」
「そうだな! エヴァちゃん、俺達が使ってる部屋の隣、借りてもいいかい?」
「それは構わんが…その前に二人ともそれを飲んでいけ」
 エヴァが指差す先にあるのは、ネギが修行中に使っている治癒の水薬であった。これは魔法の産物であるため、治療用の札よりも即効性がある。
 ポチと小太郎は言われるままにそれを飲むと、山下が小太郎を背負い、豪徳寺と中村の二人掛かりでポチを支えて、自分達の部屋へと向かって行った。

「あ、横島さん!」
 彼等と入れ替わりに屋上に登って来たのはアスナ達。豪徳寺達とは反対側の砂浜に居た彼女達も、屋上の騒ぎに気付いて何事かと思い駆けつけたそうだ。
「全員集まってしまったか…ぼーや、休憩にするぞ」
「あ、ハイ!」
 小太郎達の帰還に始まる一連の出来事で毒気を抜かれてしまったエヴァは、時間も丁度良いので気分展開に休憩を入れ、昼食にする事にした。
「茶々丸、そろそろ昼食の準備が終わっているはずだ。そうだな…ここに運べ」
「屋上に…ですか?」
「ああ、大勢で食うにはここが良いだろう。ハカセ、勿論付き合って行くだろうな?」
「いいですよー、ちょっと今は研究所に戻るわけにはいきませんし」
 聡美も元よりそのつもりであった。彼女は元々、この別荘の設置に超と一緒に関わっているのだ。この別荘がどんな所であるかを知っている。
 パイパーが潜んでいた地下下水道は、魔法使い達によって調査されるだろう。その間、秘密の地下研究所に出入りするのは非常に危険だ。そのため、入り口をきっちり閉ざしてこの別荘に避難してきたと言うわけだ。実は彼女が肩から提げている鞄には、研究所から持ち出したバックアップデータのディスクが詰め込まれていたりする。
 それに、外部の情報を彼女達に伝えねばなるまい。聡美は怪我人である二人に代わってその役目を引き受けるつもりであった。

 周りが喧騒で包まれる中、横島が『金の針』を手にどうしたものかと考えていると、その足元に土偶羅が近付き声を掛けてきた。
「オイ、ヨコシマ。そいつをちょっと見せてみろ」
「ん、これか?」
 横島が『金の針』を渡すと、それを手にした土偶羅は細い目を光らせて分析を始める。
「ここを、こうして…」
 それから数秒も経たない内に、土偶羅が手にした『金の針』はみるみる内に縫い針サイズに縮んでしまった。これが元の大きさの『金の針』だ。
「ほれ、これなら保管しやすいだろ。魔力が漏れない布で包んでおくといい」
「おっ、サンキュ」
 針を受け取った横島はエヴァに視線を向ける。「魔力が漏れない布」が欲しいのだろう。彼が何を言いたいのか察したエヴァは「後で部屋に来い」と苦笑して答えた。

「ところで横島さん、身体の方はもう大丈夫なんですか?」
「まだちょっとダルいなー。…ああ、昼からはアスナの修行を見学させてもらうから」
 「ダルい」と言う返答に残念そうに肩を落とすアスナ。それに気付いた横島が慌てて昼からは見学に行くと付け足すと、彼女はパァッと顔を輝かせ、横島の腕に抱き着いた。
 正直なところ、午前中の修行では高音の使い魔に対し、霊力の通わぬ神通棍ではあまり揮わなかったアスナではあるが、横島が見てくれるとなると元気百倍だ。
「横島君、ちょっといいかしら?」
 続けて声を掛けてきたのは件の高音。
「貴方、神楽坂さんにどういう指導をしているの? 使えない武器で組み手をしたって意味がないじゃない」
「う゛」
 午前中の修行におけるアスナの不甲斐無さについて、師である横島に対し苦言を呈しに来たようだ。容赦ない言葉にアスナは胸を押さえている。
「何か別の武器を用意するなりしないと、実戦は厳しいんじゃないかしら?」
「いや、あるにはあるんだよ。今の段階でも使えるのが」
「ならそれを…」
「でも、簡易式神とか使い魔相手には相性が、な」
 『ハマノツルギ』対簡易式神では、一撃当たった時点で、簡易式神が送還されて式神和紙に戻ってしまう。あえて使えない神通棍を使わせているのは、戦いにおける体捌きを覚えるためなのだ。その事を事前に高音に伝えていなかったのは、横島とアスナのミスである。
「相性の悪さなど、覆してこそでしょう? 神楽坂さん、昼からはそのもう一つの武器とやらを使いなさい」
 それを知らない高音は、ここで大きな勘違いをしてしまった。アスナが相性が悪い武器をあえて使わずにいると解釈してしまったのだ。実際は逆である、簡易式神や使い魔に対し『ハマノツルギ』では相性が良過ぎる。
「え、いいんですか?」
「もちろんです!」
 おずおずとアスナが問い掛けるが、エキサイトしてしまった高音は止まらない。
 アスナも、ここまで自信たっぷりなのは高音が使い魔で『ハマノツルギ』に対抗する手段を知っているからではないかと考え、彼女の言う通りに昼からは『ハマノツルギ』を使用する事にするのだった。


 そして、茶々丸が運んで来た料理を屋上に広げての昼食が始まる。
 豪徳寺達もネギから仮契約(パクティオー)カードの通信で呼び出されて戻ってきた。
「え〜っと、どこから話しましょうか?」
「まず、ハカセについてでしょ」
「私ですか?」
「いや、あんたら超一味で一緒にいたんじゃないの?」
「ああ、私は『超包子(チャオパオズ)』のメニューの決定には関わってませんからね。打ち合わせも途中で切り上げて研究室の方に居たんですよ」
 その研究室が地下下水道にある事についてはあえて伏せておく。
 ポチと小太郎は部屋で休んでいるため、これについてツっこむ者はいなかった。

「学園都市周辺で魔物が大量発生してるらしいが、それについては何か知っているか?」
「私はエヴァさんと違って直接魔法関係者ってわけじゃないんですから、詳しい事は知りませんよ。ただ、街は今のところ平穏そのものですね。魔法先生達が食い止めているんじゃないですか?」
 続けてエヴァが問い掛けるが、聡美の返答は芳しいものではなかった。
 彼女は魔法について知ってはいるが、魔法関係者ではないと言う微妙な立場にある。流石に魔法先生達の間で交わされている情報をリアルタイムで知る事など出来ない。超あたりなら、あっさりやってしまいそうではあるが、その点聡美はまだ常識の範囲内に存在していた。
「もしかして、結構厄介な相手なのか? 魔物を召喚してるヤツって」
「そりゃそうですよ、お兄様。一般人が無差別に狙われるとなると、魔法先生達は最優先で動かざるを得ませんし」
 魔物を召喚していると言うフードの男は、麻帆良学園都市における主力である魔法先生達のほとんどを引き付けてしまっている。陽動としてはこれ以上とない戦果と言える。

「まぁ、パイパーが倒された今、俺達はへルマンをどうにかする事と、人質を救出する事だけ考えてりゃいいかな」
 そう言って横島は話をまとめた。
 フードの男に関しては魔法先生達に任せ、自分から介入する気はないらしい。
「あの辺り、停電になってるわけじゃないみたいですし、私に出来る事なら協力しますよ」
 聡美も笑顔で協力を申し出てくれた。
 流石に別荘内では出来ないが、街に設置されている監視カメラの映像を見るぐらいなら容易いとの事。
 戦力と言うわけではないが、これはこれで頼もしい味方が増えたと考えて良いだろう。


 自分達はあくまでヘルマンとの戦いに集中し、何としてでも人質を無事救出する。結論としては『現状維持』だ。パイパーが倒された分、事態はそれだけ好転したと考えられる。
 話もまとまり、昼食を終えた一同は、それぞれの修行に戻って行った。
 横島は、千鶴と夏美を連れて砂浜に向かい、アスナの修行を見学する事にする。
「と言っても、一瞬で終わるだろうけどな」
 アスナの『ハマノツルギ』は、一発当たった時点で高音の使い魔を送還してしまうだろう。
「さぁ、神楽坂さん。貴女のもう一つの武器とやらをお出しなさい!」
「…ホントにやっちゃいますよ?」
 古菲を抜きにして、アスナと高音、一対一の勝負だ。
 言われるままにアスナは『来れ(アデアット)』と唱えて『ハマノツルギ』を呼び出す。
 高音はアーティファクトが出てきた事に驚いた様子であったが、ハリセンと言う外見で大した武器ではないだろうと判断し、二体の使い魔を召喚して迎え撃つ事にする。

「それじゃ、試合開始!」
 和美の合図と同時にアスナが駆け出し、使い魔がそれに向かって行く。
「まずは一体!」
 アスナが『ハマノツルギ』を一閃し、使い魔はそれを腕で受け止めようとするが――案の定、次の瞬間高音の使い魔は音もなく霧散して消えてしまった。
「なっ!?」
「もういっちょ!」
 高音が予想外の出来事に驚きの声を上げるが、横島に良い所を見せたいアスナはそんな事はおかまい無しに続けてもう一体の使い魔も消し飛ばし、一気に高音へと肉薄する。

「あれ?」
 ここで横島は疑問符を浮かべた。
 使い魔が倒された時点で終わりではないのか。自分が簡易式神を使って組み手をする時はそうだったはずだ。
 彼は知らなかった。高音が決めたルールは、本体である高音に一撃食らわせた時点でアスナの勝利になる事を。
「これで決まりっ!」
 すれ違いざまに高音の脇腹にハリセンの一撃をお見舞いするアスナ。
 物がハリセンだけに大したダメージはなさそうだが、スパーンと良い音が響き渡る。
「な、なるほど…相性が悪いと言うのは、こういう事だったのね…」
 これは油断していた高音の敗北だ。素直にそれを認めて、アスナの勝利を称えるべく、彼女の方へと向き直る。

 しかし、忘れてならない。高音の戦闘服は使い魔で形作られているのだ。
「「「あ」」」
「…え?」
 身に着けていた戦闘服が消え失せ、振り返った高音は見事なまでに全裸であった。
 自分の姿に気付いた高音の顔がカァッと真っ赤に染まる。ギャラリーの中に横島の姿を見付けたその時、彼女の中で何かがキレた。
「あっ…イッ…いやああああっ!?
「俺が何をしたーーーっ!?」
 腕に使い魔を纏わせた渾身の一撃が炸裂、横島の身体はまるでゴムマリのように吹っ飛んでしまった。
 アスナに反応する間も与えずその脇を通り抜け、ギャラリーの中から横島だけをピンポイントに撃ち抜く、一瞬の早業である。
「もうお嫁に行けなーいっ!!」
「お姉様ー!?」
 高音はそのまま走り去り、愛衣がその後を追って行く。
 残された一同は唖然として言葉を失ってしまっているが、彼女達の心は一つだ。

 『ウルスラの脱げ女』

 彼女達の抱く高音のイメージがピタリと一致した瞬間であった。


つづく


あとがき
 今回は、独自設定は特にありません。
 あえて言うならば、エヴァの別荘の内部構造や、土偶羅が『金の針』を縮める事が出来たと言ったところでしょうか。

 そろそろヘルマンとの決戦が始まりそうな気配、ヘルマン編もいよいよクライマックスです。

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