topmaintext『黒い手』シリーズ魔法先生ネギま!・クロスオーバー>見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.145
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 GS(ゴーストスイーパー)横島忠夫。
 高校生ながら既に除霊事務所を持ち独立している、若手GSの有望株だ。
 現在彼は、情報公開の準備を進める魔法使い達に協力するため、『関東魔法協会』がある麻帆良学園都市に単身赴任中。
 赴任初日から学園都市に縛り付けられる吸血鬼の真祖・エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルと遭遇。
 エヴァのような少女に黒い下着は有りか無しかを巡って激戦を繰り広げ、後に「たまには背伸びしたい日もある」と和解した。
 エヴァが起こした『桜通りの吸血鬼』事件でも、「よし、今から皆でエヴァを噛みに行くぞ!」と、GSの知識で解決に貢献。
 その間にGSに憧れる麻帆良女子中学校の生徒・神楽坂アスナを弟子にするなど、公私に渡って精力的に活動していた。
 
 その後、アスナの担任教師である魔法先生、ネギ・スプリングフィールドと協力して京都の『関西呪術協会』への使者を務め、更には魔族ヘルマン一味も撃退。
 それらの戦いを経たネギは、彼の父・ナギが『紅き翼(アラルブラ)』を率いたように、自らも「ネギパーティ」を築こうと邁進していく事となった。
 横島もまたアスナ達を除霊助手として迎え、彼女達の将来も見据えて横島除霊事務所を大きくするべく「横島パーティ」を作ろうとしていた。

 そして舞台は麻帆良祭へと移っていく。
 麻帆良祭を狙ってくる事が予想されるコードネーム『フェイト・アーウェルンクス』。
 かつて関東魔法協会の長・近衛近右衛門の弟子であった彼に対抗すべく、近右衛門は関西呪術協会、魔法界からの援軍を揃えて待ち構えていた。
 ネギパーティはフェイトを倒すために魔法協会の戦力として、横島パーティはフェイトが再び近右衛門の孫・木乃香を狙った時のための護衛として麻帆良祭に臨む事となる。

見習GSアスナ極楽大作戦! FILE.145

 横島がアーニャ、コレットと仮契約(パクティオー)をしてから、麻帆良祭までの時間は瞬く間に過ぎていった。
 コレットのアーティファクト『月の舟』の試運転が滞りなく終わってからは、レーベンスシュルト城に集まった3−Aの面々は、クラスの出し物「マジカルミステリーツアー」の準備完了に向けてラストスパートを掛けた。
 なお、その数日の間に、横島が再び霊力供給の修行でアスナ達をノックアウトする事は無かった。
 『女横島見習い』アスナがノーパンノーブラを自重したというのもあるが、茶々丸が被害担当を買って出たのが一番大きな理由だろう。
 自分の霊力供給は最後に回し、霊力コンデンサーを併用する事によって膨れ上がった煩悩を一身に受け止めていたのだ。
 この数日の内に大型の霊力コンデンサー六つを満杯にしたというのだから、どれほどの煩悩が渦巻いていたかは推して知るべしである。
 なお、茶々丸的には役得だったらしい。

 ちなみに霊力供給を受けるメンバーにはエヴァも入っていた。
 血を吸うよりも効率が良く、ネギ達の修行の最後の総仕上げをするのに大量の魔法力が必要になるというのが本人の言い分だ。
 先日の横島の霊力により高揚した状態のままで、ネギ達相手に大暴れしたのがよほど心地良かったのだろう。あれから毎日のようにネギ達を呼び出しては実戦形式で稽古をつけてやっている。
 ネギ達が蹂躙されては治療するのを繰り返したのは言うまでもない。
 それでも、一度だけ引き分けに持ち込んだのだから、その稽古も相応の意味があったのかも知れない。

 ネギパーティ、魔法先生ネギ・スプリングフィールドを中心に前線に立つのはネギの『魔法使いの従者(ミニステル・マギ)』豪徳寺薫、狗族の犬上小太郎と大豪院ポチ、そして3D柔術の使い手・山下慶一、裂空掌の使い手・中村達也だ。
 更にオコジョ妖精のカモ、従姉のネカネ・スプリングフィールド、『魔法使いの従者』である宮崎のどか、早乙女ハルナ。魔法の練習中である佐々木まき絵と和泉亜子が彼等をサポートしていた。
 これに『女華姫直属隠密部隊』の末裔・長瀬楓、『麻帆良のパパラッチ』朝倉和美が協力者として加わっている。
 彼らは魔法の水晶球に収めたトレーニングジムを魔法協会のセーフハウスに置き、そこを拠点にしてメガロメセンブリアの『近衛部隊の鬼教官』リカード、アリアドネー魔法騎士団候補学校の総長セラス、更に『関東魔法協会』の魔法先生達に鍛えられている。
 麻帆良祭までの短い間であったが、激しい修行を経てエヴァも「小粒ながらも粒ぞろいかも知れない」と認めるほどにまで成長していた。

 一方横島パーティは、ネギ達とは裏腹に、普段通りにあふんあふんと修行を続けていた。ふざけているように見えるが、霊力を鍛える修行としては極上なものである。
 これは横島の師である猿神(ハヌマン)斉天大聖老師の「霊力が鋼で霊能が刃」という教えも影響していた。彼に言わせれば、彼女達はまだまだ基礎を鍛える段階なのだ。
 『魔法使いの従者』の内、横島除霊事務所の除霊助手になっているのが神楽坂アスナ、古菲、綾瀬夕映。新たに従者となった明石裕奈、大河内アキラ、那波千鶴、長谷川千雨の四人も、この数日の間に除霊助手として登録されている。
 同じく従者であるコレット・ファランドールはアリアドネーの騎士団候補生なので、こちらは助手にはなっていなかった。本人的には学校のしがらみがなければ喜んで横島の胸に飛び込む気満々なようだが。
 また従者ではないが、除霊助手になっている者もいる。
 まずは関西呪術協会の長である近衛詠春の娘・近衛木乃香と、その『魔法使いの従者』の桜咲刹那。二人は呪術協会から距離を置くため、横島の庇護下に入っている。
 一方、その関西呪術協会から干されていた天ヶ崎千草は、新天地を求めて横島除霊事務所に入った。陰陽師としてのキャリアがある彼女は、まだ若い事務所において重要なポジションにつけるだろう。
 そんな千草が手綱を握る役になっていた『狂人』月詠、彼女は横島の伝手で夏休みには神剣の使い手である竜神・小竜姫と戦える事となり、横島を旦那様と呼び慕うようになっていた。
 そしてもう一人……横島の従者ではなく、横島を『魔法使いの従者』にした魔法使い、アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ、通称アーニャである。
 ネギの幼馴染でもあるこの少女は、日本でオカルトの勉強をするため横島の下で世話になる事が決まっていた。
 村上夏美、鳴滝風香・史香の三人は、横島の霊力供給の修行を更に発展させるために自ら協力しており、彼女達も除霊助手予備軍と言っても良いかも知れない。

 また関東魔法協会からは、魔法先生の葛葉刀子、シスター・シャークティ、魔法生徒からは高音・D・グッドマンと、その従者である佐倉愛衣。春日美空とそのマスターココネ・ファティマ・ロザが協力者として加わっている。佐倉愛衣は、同時に横島の従者でもあった。
 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルを筆頭とする絡繰茶々丸、チャチャゼロ、それにすらむぃ、あめ子、ぷりんを加えたエヴァ一家は微妙な立場だ。
 横島を父、茶々丸を母、チャチャゼロを姉、そしてエヴァをおばあちゃんと慕う幽霊・相坂さよも、この一家の一員といっていいだろう。
 一応彼女達も魔法協会からの協力者なのだが、エヴァ本人に従う気が無い。
 そもそも彼女は『登校地獄(インフェルヌス・スコラスティクス)』の呪いによって力を封じられ、麻帆良学園都市に閉じ込められている身であり、横島の伝手で夏休み中に妙神山に行き、女神ヒャクメに呪いを解かせる計画を立てていた。
 解呪の暁にはスムーズに麻帆良から離れられるよう魔法協会に従うフリをしているが、その実既に横島一家の一員になっているといえた。
 こちらはエヴァの家に置かれた魔法の水晶球・レーベンスシュルト城を拠点にしている。
 フェイトと戦うのは、なんとしてもフェイトを倒したい関東魔法協会、関西呪術協会、そして魔法界から来た援軍の役目であり、その点において横島パーティは蚊帳の外になっている。
 ネギパーティと違い激しい修行をしていないのは、この辺りにも理由があった。

 ついでにいうと、両パーティに深く関わっていない3−Aの生徒達も、ここ最近はほとんどがレーベンスシュルト城に寝泊まりしていた。
 いないのは中華料理屋台『超包子』の準備がある超鈴音、葉加瀬聡美、四葉五月。『ナイトメアサーカス』の準備があるザジ・レイニーデイ。そして関東魔法協会に雇われて動いているであろう龍宮真名ぐらいだ。
 これは麻帆良祭の準備を進めるためだったが、魔族ヘルマンが襲撃してきた時のように生徒達が人質に取られる可能性もあるため、皆を守るためには丁度良かった。
 修行に必死なネギはこの危険性を見過ごしていたが、レーベンスシュルト城を訪れた際にカモに指摘され「皆をよろしくお願いします」と横島に頭を下げている。
 なお、その時に幼馴染のアーニャが横島を『魔法使いの従者』にした事を知ったが、彼はいいないいなぁと羨ましがる事しきりだったとか。
 なにかと方向性の違う横島とネギだが、その「強さ」に関しては互いに認め合っているようで、ネギとしても横島は自分のパーティに欲しい人物だったらしい。
 その後ネギは、なにか言いたげに横島を見ていたが、横島がダッシュで逃げ出したのは言うまでもない事である。


 そんなこんなで麻帆良祭前日。『マジカルミステリーツアー』の準備も無事に終えて、後は祭りの開始を待つばかりだったが、ここで関東魔法協会、関西呪術協会、魔法界の援軍が集まっての会合があると、横島達は世界樹前広場に呼び出された。
「あ、横島さーん! もうすぐ始まっちゃいますよー!」
 横島が高音と愛衣の二人を伴って世界樹前広場まで行くと、先に到着していたネギが満面の笑みで大きく手を振りながら駆け寄って来た。その側には小太郎もいる。
 周りを見てみると、他の魔法先生や魔法生徒達の姿もある。エヴァの家からここまで距離があるためか、横島達が最後だったようだ。横島達は遅刻でなくて良かったと胸を撫で下ろし、その輪の中に入る。
 この会合は、あと一日まで迫った麻帆良祭における警備に関する確認。そして最重要警戒対象であるフェイトに関する情報を共有するためのものだ。
 現在、この麻帆良学園都市は関東魔法協会の魔法使い達、魔法世界からの援軍、関西呪術協会の陰陽師達、そしてGS協会から派遣された横島がいる。
 このうち関東魔法協会の魔法使い達を中心に構成された「本部」を学園長が指揮し、一部の魔法先生と外部の援軍で構成された「実働部隊」を裕奈の父である明石教授が指揮する。彼らはネギパーティの魔法球があるセーフハウスを拠点としており、当然、ネギパーティもここに所属していた。
 そして横島パーティはというと、どちらにも属していなかった。彼等はレーベンスシュルト城を拠点とする「別働隊」である。
 表向きは自由に動ける少数部隊という事になっているが、その実態は一度フェイトに狙われた事のある木乃香を守るための護衛部隊であった。
 表立ってそれを公開しないのは、既に六道女学院に進学すると宣言し、魔法協会とも呪術協会とも距離を取る事が決まっている木乃香を目立たせないためである。
 また、横島が民間GSである事も影響していた。
 魔法使い達が情報公開に向けて動き出している状態でのこの事件。GS協会やオカルトGメンはこの状況を把握していた。
 しかし、この件は魔法使い達で解決するべき事であると関東魔法協会からの要請でノータッチという事になっている。
 フェイトの存在は、言うなれば「魔法使いの不始末」だ。
 情報公開をして他の組織と対等の立場でオカルト業界の一員となるには、この問題を片付けるのにGS協会やオカルトGメンの力を借りる訳にはいかないのである。
 西からの援軍が「陰陽寮」ではなく「関西呪術協会」からの援軍となっているのは、この辺りに理由があった。
 また、魔法世界からの援軍としてモルボルグランのような魔族も麻帆良を訪れているが、こちらについてもオカルト業界はもちろんの事、神魔族もスルーする事になっていた。
 双方の反デタント派は色々と言いたい事もあるだろうが、あくまで「魔法界からの」援軍と言う名目で派遣されているため表立って文句は言いにくいのである。
 何か問題が起きればここぞとばかりにまくし立てるだろうが、それまでは虎視眈々と見守るつもりなのだろう。

「さて、フェイトの件じゃが……残念ながら、まだ発見には至っておらん」
 会合が始まっての学園長の第一声。それを聞いた周囲の面々からため息が漏れる。
 その件については前線の面々が一番よく分かっていたようで、それ以上は触れられる事なく話が進んでいく。
 現在この場には独立部隊である横島パーティ以外に関東魔法協会と関西呪術協会の二者が存在する。
 フェイトという共通の敵がいるため協力しているが、本来ならば長年争い続けていた両者。しかし、意外な事に会合は穏当に進んでいった。
「では、援軍の方々には郊外のはぐれ魔族への対処を。我々は表で『告白阻止』を。そして一部の者にはフェイトの調査を行ってもらうという事で」
「うむ、異存は無い……しかし、大変ですな。そちらも」
 どこか呆れたような表情の関西呪術協会の代表。
 実は今回の麻帆良祭、フェイトの存在以外に大きな問題がある。
 それは生徒達に『世界樹』と呼ばれる巨木――正式名称を『神木・蟠桃』というのだが、これが二十二年の周期で魔法力が極大に達し樹の外に溢れ出してしまうのだ。
 本来は来年のはずなのだが、異常気象が原因で一年早まり今年になってしまった。
 魔王アシュタロスの降臨が影響しているとも言われているが、真相は定かではない。
 問題はこの魔法力は人の心に作用し、即物的な願いこそ叶わないものの縁結びに関しては呪い級の効果を発揮してしまう事だ。
 生徒達の間で囁かれる学祭最終日に世界樹の下で告白すれば必ず意中の人と結ばれるという『世界樹伝説』は正にこれが原因である。
 惚れ薬のような人の心を操る術を禁じている関東魔法協会としては、これは絶対に阻止せねばならぬ事であり、学祭中は一般人の告白行為全てへの対処に追われる事になってしまっていた。
 これは関西呪術協会にとっては功績にもならない事なので、上手い具合に役割を分担する事ができているのである。
 そして横島達が黙って推移を見守っている間に会合は終わった。特に波乱も無く、予定通りの内容だったと言えるだろう。
「俺ら、何も言われなかったな」
「木乃香さんのことにはあまり興味が無いのでしょうね、学園長以外」
 横島パーティがないがしろにされている状態だが、功績を立てなければとか考えていない彼としては、皆の安全を確保できる今の立場はむしろ望むところだったりする。
 という訳で会合終了後も方々で集まって何やら話し合ってる面々を横目に、横島達は早々にレーベンシュルト城に引き上げてしまった。

 しかし、横島達が去ってしばらくしたところで事態は動く。
「……誰かに見られています」
 学園長の側に控えていた明石教授が、会合を盗み見している存在に気付いたのだ。
 誰よりも早く反応したのは魔法先生の神多羅木、スッと一歩前に出ると指を鳴らして魔法を一閃、会合の場を撮影していたドローンを真っ二つにした。
 落ちた残骸を怪訝そうに見ながら、関西呪術協会から来た恰幅のいい男が呟く。
「……フェイトでしょうか?」
「あやつが機械に頼るか、微妙なところですな……」
 長い髭をなでながら学園長が答える。フェイト本人より、その協力者ではないかと内心考えていた。
「要するにスパイやな! 行くで、ネギ!」
「う、うん!」
「修行の成果を見せるチャンスだぜ、兄貴!」
 そして小太郎がネギに声を掛け、二人で追跡を開始する。
 いや、正確には二人と一匹だ。ネギの肩の上にはオコジョ妖精カモの姿があった。
 学園長は一瞬止めようとしたが、狗族のハーフである小太郎は追跡させるには適任だと考え「深追いは禁物じゃぞ!」と声を掛けるだけに留める。
 そのまま会合の場を離れ、小太郎の鼻を頼りにドローンの主を探すネギ達。しかし、ネギ達が見つけるよりも早くに路地裏からフード姿の人物が飛び出してきた。
「なんやあいつ、全然臭わへんで!」
「魔法で迷彩掛けてやがるぜ! 兄貴!」
「分かった!」
 ネギが習ったばかりの魔法を掛けると、フードが火花を散らして迷彩の魔法が解除された。フードの人物は小さく舌打ちをすると、スピードを上げて距離を取ろうとする。
「逃がすか!」
 しかし小太郎がそれを許さない。彼もスピードを上げ、徐々に距離を縮めていった。


 一方その頃、横島達は世界樹前広場を離れて帰路についていた。
「横島さぁ〜ん
 途中でアスナが大きく手を振り、護符リボンを結った髪と共に揺らしながら駆け寄ってくる。彼女が狗族だったら尻尾もブンブンと振っていただろう。
 少し遅れて近付いてくるのは刹那。二人ともたくさんの買い物袋を手に提げている。
「二人とも、こんなところでどうしたんだ?」
「今の内に買い出しです。麻帆良祭が始まると、店も混雑するでしょうから」
「ああ、行ってる暇も無さそうだな」
 茶々丸は、元々祭りの期間中は買い物に行かずに済むように予定を立てていたが、クラスメイトが毎晩泊まっているため、食料の消費が予定よりも多くなってしまったらしい。
 横島は、麻帆良祭の準備が終わった晩にバーベキューパーティをした事を思い出した。おそらくあれが原因だろうと。
「というか、もうちょい連れて来いよ。流石に二人でそれは多過ぎるだろ」
「いえ、これくらいは……」
 何にせよ二人が持つ買い物袋は、少女二人に持たせる量ではない。
 横島は半分は持とうと手を伸ばし、アスナは日々の修行の成果を見せようと遠慮する。
 そんな時だった、彼等のすぐ側の出店に人が落ちてきたのは。
「な、なんだぁ?」
「大丈夫ですか!?」
 素っ頓狂な声をあげて振り返る横島。愛衣が真っ先に駆け寄り、壊れた出店の残骸からフード付きのコートを羽織った人物を助け起こす。
 するとその人物がフードを降ろしてその顔を見せた。それを見てアスナが驚きの声をあげる。
「あ、あれ? あなたは……」
「丁度良かった、助けてくれないか? 私、怪しい奴らに追われてるネ」
 そのフードの人物の正体は、黒髪をシニヨンで左右にまとめ、そこから小さなおさげを伸ばす少女。
 中華料理屋台『超包子』の経営者であり、茶々丸の生みの親でもある天才。
「超……」
「助けてくれるのかナ? 横島師父」

「弱々しいフリしても説得力無い」

「……やっぱり?」
 そして、かつて京都では神通棍を手に大暴れした霊能力者、謎の少女・超鈴音であった。





つづく


あとがき

 レーベンスシュルト城に関する各種設定。
 関東魔法協会、及び麻帆良学園都市に関する各種設定。
 魔法界に関する各種設定。
 各登場人物に関する各種設定。
 アーティファクトに関する各種設定。
 これらは原作の表現を元に『黒い手』シリーズ、及び『見習GSアスナ』独自の設定を加えて書いております。

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